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20贄

「やってしまえぇええ!礼太ぁあ!」

「お願い!二人とも頑張って!」

「圧倒している……あの滅鬼を圧倒している!」

少年の猛攻撃に、滅鬼はもはや防戦一方の有様。

傷の再生は全く追いついておらず、呼吸も荒くなっていました。

『この調子です……!このまま押し切ってしまうのです!』

三人だけでなく、女神様もこの優勢を疑いませんでした。

「女神様、礼太は大丈夫なんじゃろうか?」

『前と今では状況が大きく異なります』

女神様が戦況を解説してくれます。

『前回、少年は己の手の内を可能な限り見せずに時間を稼ぐ戦いを強いられました。要は後手に回らざるをえない状況だったということです。結果、滅鬼が先に少年を倒す手立てを確立してしまいました』

「なら今はどうなのですじゃ?」

『今はミツユキがその手立てを巧みに封殺してくれています。少年は口で認めはしないでしょうが、背中を預けて存分に戦うことができています。おかげで滅鬼の結界を破ることに成功しました』

ミツユキは少年が滅鬼を打倒してくれることを信じ、魔術の封殺に専念。 少年はミツユキが魔術を封じ込めてくれることを信じ、滅鬼の戦いに専念。 互いに命を預けられるほどの信頼関係。互いの力を理解しているからこその芸当です。

『こうなれば二人が負ける道理はありません!最強の名は伊達じゃないのです!』



滅鬼は確実に追い詰められていました。 少年を引き剥がすことがかなわず、攻撃を防ぎきることがかなわず、着実に傷は広がっていきます。

「おのれ……おのれおのれ!おのれおのれおのれおのれおのれぇえええ!」

滅鬼は飛翔し、空へと逃れます。 少年も滅鬼に続いて空へ。

(傷の治りが遅すぎる……その上この消耗の早さ……魔力の限界が見え始めてきただと……!?)

滅鬼は身体を巡る魔力に感覚を向けてみると、不自然な流れが生じていることに気がつきました。 まるで、穴の空いた容器から水が漏れ出るように、魔力が抜け落ちていたのです。 そして、その流れ出た魔力の行く先はミツユキでした。

「貴様か……!小癪な真似をしてくれおって!」

『……エナジードレイン。余程目の前の男が恐ろしいようだな。隙だらけだったので回復させてもらった』

「恐ろしいだと……!?我が!貴様らを恐れていると申すか!?」

事実、滅鬼は迫り来る死を感じていました。 数多の世界の異能を我が物とする滅鬼でしたが、この状況を打破するための異能は存在しません。 このままでは……

「許さぬ……!我が破れることなどありえぬのだ!」



「集え!贄どもぉおお!」

滅鬼が上空で手を掲げると、地上に大きな赤い光が生じました。 その赤い光は幾何学的な模様となり、やがて異能が発動します。

「な、なんじゃあれは!?」

「わ、分かりませんよ!どうなのです!?桃太郎!」

「何らかの妖術でしょう!」

赤い光の陣が更に強い光を発したのを合図に、陣から鬼の大群勢が現れました。

鬼は負傷している個体がほとんどで、ミツユキ達が懲らしめた鬼達であることが分かります。

突如として現れた新たなる脅威を前に、少年とミツユキの動きが止まります。

そして、異変は続きます。

陣から赤い光の鎖が生じると、現れた鬼達に絡みついていきます。

「うぁあああ……」

「ぐぅあぁあ……」

鎖に絡みつかれた鬼達は苦しげに呻き、意識は朦朧としている様子です。

「一体何が起こっとるんじゃ……!?」

おじいさんの疑問に、

『儀式です!悪魔の儀式です!』 悪魔の儀式。鬼の寿命を対価に、鬼の繁栄をもたらした滅鬼の儀式です。

「あそこにいるのは……?」

桃太郎が視線を向けた先には小さな赤い光の陣があり、そこにはミツユキが倒した美鬼がいたのでした。

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