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滅鬼の気を引くおじいさんの策は無駄に終わりました。 そして、おじいさんの命を散らす煉獄が迫ってきます。
それでも、おじいさんの顔には落胆の色はありませんでした。
「っのクソ野郎がァああ!?」
「!?」
おじいさんを庇うように前へ躍り出たのは白髪の少年でした。 煉獄の砲撃は少年の身体を呑み込んだかに見えましたが、煉獄の炎は形を変え、少年の掲げる手に収まりました。
「礼太……」
「……答えろジジイ……テメェ……どういうつもりだ……?」
「……信じておった……いや、分かっておったよ。こうしてワシが無茶をすればお主が再び立ち上がることを」
「何を根拠に……カン違いしてンじゃねェぞ。俺ァ悪党だ。テメェがどこで死のうが俺には……」
「くくっ、説得力は皆無じゃな」
「ちっ……」
おじいさんは少年に語りかけます。
「……まだ自信が無いか?」
「………………」
おじいさんの問いに、少年は口を閉ざします。
「お主は強い」
「……俺の力は無敵じゃねェ」
「そうじゃないわい」
「あァ……?」
「……倒れてもこうして再び立ち上がることのできる強さがある。それは紛れもない、お主の本物の強さじゃ」
ミツユキとの戦いで少年が口にした言葉。そして、ミツユキとの戦い。規格外の異能の力とはまた違う、確かな強さをおじいさんは知っていました。
「………………」
「どうじゃ?まだ滅鬼が恐いか?」
おじいさんはいたずらっぽく笑って少年に問いました。
「……耄碌したかよクソジジイ」
少年は吐き棄てるように答え、そして、おじいさんから視線を外しました。 そして、少年の瞳は倒すべき敵へと向けられます。
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「………………」
「死に損ないめが。今更何の用だ?」
滅鬼は少年を嘲笑しながら問うてきました。
「貴様はつい先ほど己の無力を思い知ったばかりであろうが!それともニワトリのように忘れたと申すか?ガハハハ!」
「よく喋るじゃねェか」
「……あ?」
「見てて分かった。テメェの強さは絶対じゃねェ……テメェの方こそたった今思い知ったばっかだろォが」
「貴様……!」
「とりあえずこいつは返すぜ」
少年は手に収めていた煉獄を滅鬼に向かって放ちます。
「貴様ぁあああ!」
圧縮した大気を混ぜ合わせ、更に凝縮しておいた煉獄は滅鬼が放った時の威力の比ではありませんでした。
滅鬼は全力で結界を展開させますが、防ぎきれない地獄の熱が滅鬼の身を焦がします。 結界ごと吹き飛んでいく滅鬼を尻目に、少年はミツユキの元へと飛翔します。
『……ヤツは強い……今の攻撃でも恐らくは……』
「言われなくとも分かってンだよ」
事実、滅鬼は煉獄をやり過ごし、こちらを睨みつけていました。
「……手ェ貸せ。怪物」
『……女神から事情は聞いた。降りかかる火の粉は私が払おう。貴様は存分に暴れるといい』
「………………」
少年は返事の代わりに、ミツユキよりも一歩前へ出ます。
「この半端者めが!まだ我の前に立ちはだかるか!」
「立ちはだかるだァ?くくっ……テメェ自分の立場分かってンのか?」
「何……?」
「不死身を失ったテメェはもはやただのザコってことだ」
「ほざけ……!」
変わらない軽口。ですが、少年の表情からは一切の無駄が削ぎ落とされていました。 そして、研ぎ澄まされていくのは冷酷なる殺意。
「悪ィがこっから先は一方通行だ……悪魔だか何だか知らねェが、尻尾ォ巻いて元の場所へと引き返しやがれ!」
「ほざけぇええ!」
両者は再び激突しました。




