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17切り札

ミツユキと滅鬼の戦いは苛烈を極めていました。

滅鬼は遊びや慢心を捨て、ミツユキの命を散らすことに全霊をかけています。

対するミツユキは滅鬼によりもたされる死の運命から足掻くように生にしがみつき、何とか滅鬼の隙を生み出さんと牽制の攻撃を放ちます。

「ぬるいわ」

『っ!』

何度目か分からない、生々しい死の未来を知覚したミツユキは空間転移を駆使し、命を繋ぎとめます。 女神様が言った通り、ミツユキは激しく消耗していました。 この戦況が長引くことは、ミツユキの死が刻一刻と近づいていくことを意味します。

どこかで変化を作らなくては……ミツユキが必死に考える中、その機会は突如として訪れました。

「こりゃぁあ!滅鬼ぃいい!」

「む?」

『!?』

おじいさんです。

おじいさんは老人とは思えない、否、人間とは思えない速さで駆けてくるのでした。 そこで滅鬼のミツユキへの攻撃が止まります。

「お主を止める切り札はこの手にある!」

おじいさんの手には一本の団子がありました。

「これは幻のきび団子!一度口にすれば最後!お主はワシに従うことしかできぬようになるのじゃ!そこのミツユキを従えていることこそが何よりの証拠!」

滅鬼にもその効果が適用されるのならば、確かな切り札となりえますが、

『嘘です。あれはあなた達が食べた物とは別物です』

『!?』

女神様はおじいさんの狙いをミツユキに告げます。

『もちろん、滅鬼も鵜呑みにはしないでしょう。ですが、同時に無視もできない。限りなく可能性が低くとも、万が一真実ならば、敗北に直結する脅威となるわけですから。つまり、あなたへの警戒の一部が、あの団子に割かれるということです』

おじいさんの命懸けの策。しかし、滅鬼は表情をピクリとも動かさず、手の照準をおじいさんに合わせます。

「問答に付き合うつもりは無い」

「っ!」

滅鬼の手の先に煉獄の炎が収束されていきます。

『やめろぉおおお!』

ミツユキは最大出力で滅鬼に闇の波動を叩き込みます。 ですが、滅鬼の結界に阻まれ、届きません。

『っ!?』

「羽虫はとっとと消えるがいい」

滅鬼は目障りな虫を振り払うように、煉獄の砲撃をおじいさんに放ちました。

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