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13超能力

見てくださってありがとうございます。

滅鬼と少年の戦いは苛烈さを増していました。

滅鬼と少年は地上を旋風のように駆け抜け、破壊と破壊をぶつけ合います。

「これはどうだ!?」

「っ!

滅鬼が掴み投げ放ったのは建物でした。

回避を許さない範囲攻撃。世界の理から外れたその一撃を、少年は同じく理から外れた『力』で対抗します。

少年の右拳が、砲弾と化して襲いかかってきた建物を粉砕します。

「面白いカラクリだな小僧」

滅鬼は追撃に来ることなく、少年に語りかかけてきました。

「…………あァ?」

「そのカラクリごと粉砕してやるつもりであったが……どうやら方針を変えねばならぬな。仕組みを丁寧に紐解いていく必要があるらしい」

「………………」

少年の手の内を見せない狙いを滅鬼に気づかれてしまいました。 気づかれたのはそれだけではありません。

「魔法か、超能力か……どこの世界の異能か知らぬが、人間もなかなか侮れないものよ」

「馬脚を現しやがったな。鬼のフリはしまいってかァ?」

この世界に住む鬼には決して知り得ぬ異世界の情報。それを滅鬼はあっさりと認めました。

少年も少年で滅鬼の正体を把握していたことを口にします。

「ふふっ、お互いにな。まさか我の正体に気づいているとは思わなんだ」

自分の正体を看破されてもなお、余裕を崩さない滅鬼の不気味さに、少年は心の中で舌を打ちます。

「となると、小僧……貴様は天の差し金か?」

「ンなくだらねェやつの言いなりになった覚えはねェよ」

「なに……?」

「ついでに言えば、この世界がどォなろォと俺の知ったことじゃねェ」

「ならば、何故我に歯向かう?」

「さァな。しいて言うなら何となくだ」

「『何となく』……?」

「大層な理由でもあると思ったかよ?残念だったな。俺は悪党だ。世界を背負うに足る立派な覚悟や信念なンざありゃしねェ……」

「………………」

「笑えよ。おまえの天下は俺の『何となく』で終わることになるンだからよ」

「……挑発であるのは明白だが、ただの軽口というわけでもなさそうだ」

滅鬼の言った通り、少年の言葉の目的は挑発でしたが、しかし全くのでたらめというわけでもありません。

そんな少年の言葉を受け、滅鬼が笑いました。

「……滑稽だな。小僧、貴様は何もかもがちぐはぐだ。口にする言葉、行動……挙句の果てには己の戦う理由すらも理解できないときている」

「あァ?」

滅鬼は少年にも分からない言葉で少年を語り、そして断言します。

「貴様がどのような力を持とうとも、そんな半端で我を倒せるほど甘くはない。貴様のような半端は力を持とうと、為せることなどたかが知れているというもの」

「半端だァ……?」

滅鬼の言葉を受け、少年の額に青筋が浮かび上がります。

『挑発です!乗ってはいけません!』

「黙ってろ」

『少年!』

少年は女神様の忠告を一蹴しました。

「誰に噛み付いたか分かってンだろォな?」

「ふっ、案ずるな。力を持て余しているだけの半端者を相手に恐れることなどありはしない」

「……殺す」

少年が初めて見せる正面からの前傾姿勢。 そして、『能力』によって得た莫大な力を推進力に変え、少年は超神速で滅鬼に肉薄します。

「ナメてンじゃねェぞ!?三下ァあ!」

「ふっ」

枝のように細い少年の腕から放たれる右の拳。 対するは大木のように太く頑強なの腕から放たれる滅鬼の左の拳。 正面からぶつかり合った拳は爆発的な衝撃を生み出し、

「ほぅ?」

「っ!」

滅鬼の腕から先が弾けて四散しました。 見事に打ち勝った少年ですが、口の端を苦々しく歪めます。しかし、それも一瞬。 少年は滅鬼の首を掴み、一気に勝負を決めにいきます。

「がはっ!」

滅鬼は無事な手を使って少年の手を引き剥がそうとしてきますが、

(動かぬ……?)

また、再生した拳や足で少年の無防備な身体を殴打してきますが、

グシャリ。

「……!」

少年の身体に触れた途端に不自然な方向へと折れ曲がってしまうのでした。

「聞かせてくれよ。悪魔ってなァどこまで壊して平気なンだ?」

「ほ……ざけ……」

滅鬼は最後まで口にすることができませんでした。 少年は滅鬼の首を握り潰し、

「半端はテメェの方だったなァ!?」

そして支えを失って落下する顔面に足を振り抜き、滅鬼の頭部は風船が破裂するように跡形も無くなってしまうのでした。 しかし、

「面白い力だ」

「……ちっ」

少年のもたらした死を嘲笑うかのように、滅鬼は何事も無かったかのように復活を遂げていました。

『どうやら滅鬼を殺しきるのは難しいようですね。もはや再生能力の域を超えているようです』

「………………」

「その力……跳ね返すだけではないな。それ以上の力で返ってきているようだ」

「解説してやる義理はねェ」

「ならばこれはどうか?」

パチン。

「!」

滅鬼が指を鳴らすのを合図に、少年は一瞬にして煉獄の業火に包まれました。 生身の人間が浴びれば一瞬にして骨も残さずに蒸発してしまう桁違いの熱量。ですが、

「残念だったな」

「……ほぅ」

少年は業火をものともせず、平然と立っていました。

「せっかくだ。こっちも試させてもらうとするか」

「何?」

少年を焼き尽くさんと纏いつく業火は意思を持ったかのように揺らめき、その形を変え、収縮し、少年の掲げた手の上に収まりました。

まるで小型の太陽。桁外れの熱は少年の能力により一点に収縮され、

「壊してダメなら焼いてみろってなァ?」

「!」

『あなた島ごと消す気ですか!?』

女神様の焦った声は少年に届きません。 少年の掲げた手が振り下ろされ、小さな太陽は矢のように放たれ、

「うぉおお!」

避けられないと判断した滅鬼は結界を何重にも展開しました。

小さな太陽は爆発し、滅鬼の結界ごと呑み込んでしまいました。

天上をも焦がさんと彼方へと伸びる業火。しかし、少年の制御により島全体への被害はありません。

地を溶かし、肺を焼き尽くさんばかりの熱風が吹き荒れ、世界の終わりと錯覚する程の地獄絵図。

やがて、業火は消失します。

しかし、

「面白い芸当であったぞ。小僧」

「………………」

滅鬼の身体には煤の一つもついていませんでした。

『……すみません……さすがに想定外でした。滅鬼にここまでの力があるだなんて……』

「おかげで貴様の異能の正体が掴めてきた。どうやら貴様は『力』を操ることができるらしい」

滅鬼は推測を語ります。

「水の流れる力、衝撃の力、そして熱の力……恐らく触れることをきっかけに貴様の制御下に置かれるのだろう」

「解説してやる義理はねェっつってンだろォが」

「構わん。こちらは貴様が制御に置けない力をしらみ潰しに試してみるだけだ」

「面白ェ……!」

『挑発に乗ってはいけません!少年!ミツユキが合流するまで何とか持ち堪えるのです!』

「ごちゃごちゃうるせェンだよ……!」

『少年!』

「こいつは俺がぶっ潰す。テメェは黙って見てろ」

『くっ……!』

少年は凶悪な笑みを浮かべ、滅鬼に向き直ります。 滅鬼も少年に応えるように笑い、二人は再び激突するのでした。

続きもお願いします。

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