第27話「ホワイト統治と、究極の丸投げマネジメント」
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「アリス! ザック! 今すぐこの荒野の周辺にいる盗賊どもを制圧し、奴らのアジトから『活動資金(ガチャの軍資金)』を全額没収してこい! 合法的な資金調達だ!」
ルークの目に、狂気じみた投資家の光が宿っていた。
自力でインフラを整えるなど、ハードワークの極みである。しかし、このガチャを使えば、資金さえあれば指先一つで街が作れるのだ。
「はっ! CEOの腕の見せ所ですね!」
「ルーク様の『新規事業計画』のために、無法者どもから搾り取ってまいります!」
二人の強力な部下が荒野を駆け回り、次々と活動資金(銀貨や魔石)をかき集めてくる。ルークはそれを惜しげもなくガチャの円筒に投入し、ひたすらハンドルを回し続けた。
『【SR】:無限湧水の中庭(浄化機能付き)』
『【R】:防音・空調完備のプレハブ型執務室』
『【SSR】:自律型・業務管理ホムンクルス(事務作業特化)』
ポン、ポン、ポンとカプセルが開くたびに、荒野に次々と近代的なインフラと、優秀な(文句を言わない)スタッフが出現していく。
ルークは前世で読んだ経営学の教え――「マネジメントの役割は、人が生産的に働ける構造を作ることである」という理念を、ガチャの力で極端なまでに具現化していった。
一ヶ月後。
かつて無法地帯と呼ばれたサン・アンド荒野は、信じられない光景に変貌していた。
碁盤の目のように整備された石畳。清潔な水路。完璧に分業化された自律型ゴーレムとホムンクルスたちが、無駄な残業を一切せずに24時間体制で街の機能を維持している。
そこに集まってきた流浪の民や元・盗賊たちも、「労働時間は1日8時間厳守」「有給休暇あり」「福利厚生完備」というルークの定めた『絶対的ホワイト労働法』の前にひれ伏し、涙を流して真面目に働いていた。
「……ふう。ゼロからの立ち上げ(グリーンフィールド・プロジェクト)はどうなることかと思ったが、投資とシステム化のおかげで、最高の環境が完成したな」
ルークは、ガチャで引き当てた最高級の執務室の中で、絶対安眠チェアに深く腰掛け、最高級のコーヒーを優雅にすすっていた。
彼が構築した組織は、もはや彼自身が何も指示を出さずとも、自律的に回り続ける完璧なエコシステムとなっていた。
「ルーク総督……! これぞ真の『さすてなびりてぃ』! この短期間で、無法の荒野を誰もが笑顔で暮らす理想郷へと変えてしまうとは!」
アリスが感動のあまり泣き崩れている。
「俺、ルーク様に一生ついていきます! ここは天国だ!」
ザックも、元チンピラとは思えない穏やかな顔で書類の整理(趣味)をしている。
誰もがルークを「奇跡の統治者」「慈愛と効率の神」として崇め奉っていた。
しかしルークの頭の中にあるのは、「いかに自分がハードワークを避け、運とシステムに依存して、究極のぬるま湯を構築するか」ただそれだけであった。
事なかれ主義のおっさんは、その強烈な保身のエネルギーとガチャの力によって、異世界に誰も見たことのない「完璧なホワイト統治エリア」を爆誕させてしまったのである。
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