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「妹がバカかわいくて平凡な農家ライフが崩壊しそうなんだが!」  作者: やまちゃぁん


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ミーナと“おおかみ騒ぎ”!? 〜猫たちと叫んだら大事件〜

◆ ミーナ、今日も元気に勘違い


王都近くの小さな村。

春祭りが終わって数日、村はどこか“祭りの疲れ”と“楽しかった余韻”に包まれていた。


ミーナはというと、相変わらず畑で猫たちと一緒に走り回っていた。


「みんなぁ! 今日は“見張りのお仕事”だよ!」


「にゃああ!」


「みゃっ!」


猫たちはよく分かっていないが、ミーナが楽しそうなので全員テンションが高かった。


そこへ、ルークがあきれた顔でやってくる。


「……見張りって、何の?」


ミーナはどや顔で胸を張る。


「おおかみが来たら大変でしょ!」


「おおかみ? この辺、出ないけど……」


「でも山の方にいるって聞いたもん!」


猫たちも一斉に頷く(※本当は何も理解していない)。


ルークはため息をつきながらも、ミーナの“本気の心配顔”を見ると、つい付き合ってしまう。


「……まあ、気をつけるに越したことはないけど」


「よし! るーくも一緒に見張ろうね!」


「僕もやるのか……」


その瞬間、ミーナが耳をぴんと立てた。


「……今、なんか音がした!」


「え?」


ミーナは畑の方を指差した。


「お、おおかみだぁぁぁぁ!!」


「えっ!? ちょ、ミーナ!?」


猫たちは全員、ばらけて各方向へ猛ダッシュ。


ルークは慌ててミーナを追う。


だが――畑にいたのはただの 風で揺れた案山子 だった。


ミーナは肩を落とす。


「……あれ、案山子だった」


「だから言ったでしょ……」


――この日はこれで終わった。



◆ ミーナ、二度目の “おおかみだぁぁぁ!!”


翌日。


ミーナは懲りずに見張りを再開していた。


「今日は絶対に気を抜かないんだから!」


「にゃっ!」「みゃっ!」


猫たちもまた全員、意味も分からずやる気満々。


ルークは腕を組んで見守る。


「また案山子じゃないといいけど……」


その時。


ガサガサ……。


ミーナの耳が再びぴくっと動く。


「き、きた……! 今度こそ本物だよ!」


「またぁ?」


だがミーナは臨戦態勢に入っていた。


「猫たち! 配置についてぇぇ!」


「にゃにゃ!!」


猫たちは何も考えず散らばっていく。


ミーナは叫ぶ。


「おおかみだぁぁぁ!!」


村中に響く声。


ルークは頭を抱えた。


――そして出てきたのは。


「ん……? あら、ミーナちゃん?」


イザベル嬢である。


春祭りの“勝負服・改造版”を着て、軽くお散歩していたところだった。


「イザベルお姉ちゃん……!?」


ミーナは固まる。


ルークはミーナの後ろでそっと呟いた。


「ほらね……」


イザベル嬢は口元を押さえてくすくす笑った。


「おおかみにはちょっと見えませんわね、わたくし」


「ご、ごめんなさい……」


ミーナはしょんぼり。


イザベル嬢は優しくミーナの頭を撫でた。


「ふふ、でも“守ろう”とする気持ちは素敵ですわ。

でも、叫ぶ前に確認はした方がよろしいですわね?」


「……うん」


ルークは小声で付け加える。


「猫たちも毎回大騒ぎするし……」


イザベルはにっこり。


「それはそれで可愛いのですけれどね?」


猫たちはなぜか胸を張った。



◆ 三度目の叫びと、村の混乱


その翌日。


ミーナは決意していた。


「今度こそ、ちゃんと見極める!」


ルークも少し距離を置きながら見守る。


イザベル嬢は馬車で来たついでに「眺めにきましたわ」と言って畑の近くで優雅に座っている。


猫たちは相変わらず自由。


そんな時――またもや茂みから音が。


ガサ……ガサ……。


ミーナはぐっと息を呑む。


「こ、今度こそ……」


ルークが肩越しに覗き込む。


「ミーナ、落ち着いて。まず確認――」


ミーナは大きく深呼吸した。


そして……


「おおかみだぁぁぁぁぁぁ!!!」


ルーク「確認してない!!」


猫たち「みゃあああああっ!!」


イザベル嬢「まあっ!? またですの!?」


村のおばさまたち「大変だよ!」「どこだいどこだい!」


ギャリソン「落ち着いてください皆様……って、猫が……猫が……!」


猫たちがギャリソンの上に一斉に飛び乗る。


「やめなさい、爪を立てないで……! そこに座らない……っ!」


ミーナはというと、茂みの前で完全に戦う気満々。


ルークが必死に止める。


「ミーナ、まだ何も出てきてないから!」


「でも今度こそ――」


バサッ。


そして出てきたのは……


羊であった。


ミーナ「あれぇ……?」


ルーク「どうして毎回違うんだ……」


イザベル嬢は優雅に微笑む。


「ミーナちゃん、これは羊さんですわ」


ミーナはついに泣きそうになる。


「……ごめんなさい……」


イザベル嬢はしゃがみ、優しく微笑んだ。


「いいえ。

あなたが“みんなを守ろう”とした気持ちはとても立派ですわ。

でも、叫ぶと村が混乱してしまいますの。

だから――次からは、まずルークさんに『見て』とお願いするとよいですわ」


ルークは軽く頷いた。


「僕、ミーナのためならいくらでも確認するから」


ミーナの目が輝く。


「ほんと!?」



◆ 本当に“おおかみ”が来たら……


その日の夕方。


ルークが薪を運んでいると、ミーナがそわそわ近づいてきた。


「にぃにぃぃ……ちょっと……」


「どうしたの?」


「なんかね……畑の方から、変な音が……でも、今度はちゃんと呼んだよ!」


ルークは目を細めた。


「よし、見に行こう」


二人はそっと茂みに近づく。


猫たちも静かに後ろに並ぶ。

イザベル嬢も(何故か)優雅に後をついてくる。


茂みの向こうから――低いうなり声。


グルルル……。


ミーナはルークの袖をぎゅっと掴む。


「にぃにぃ……」


ルークはそっとミーナの頭を撫でる。


「大丈夫。僕がいる」


そして茂みをゆっくりかき分ける。


――そこには。


本物の 小さな狼の子 が、足を挟まれて動けなくなっていた。


ミーナ「わ、わんちゃん……?」


ルーク「子狼だね。ケガしてる……」


イザベル嬢は目を丸くする。


「まぁ……怪我して苦しんでますわ」


ミーナの顔が真っ青になる。


「わ、わたし……これを“おおかみだぁ”って叫んでたら……助けられなかったかも……」


ルークは優しく笑った。


「気づけたのはミーナのおかげだよ」


ミーナの目に涙が浮かぶ。


「……ほんと?」


「ほんと」


猫たちも「にゃ……」と心配そうに近づく。


ミーナは子狼にそっと声をかけた。


「もう大丈夫だよ。みんなで助けるからね!」


イザベル嬢も髪をまとめ、しゃがみ込む。


「ミーナちゃん、枝を押さえてくださる? わたくしが子狼を引き出しますわ」


ルークは重しになっている木をどかそうと力を込める。


三人と猫たちの連携で――


無事、子狼は救出された。


子狼は怯えていたが、やがて森の方へと元気に戻っていった。



◆ そして “ほんとうのほのぼのエンド”


子狼を見送りながら、ミーナはぽつりと呟いた。


「……今日、叫ばなくてよかった」


ルークは笑って頭を撫でる。


「叫ぶ前に呼んでくれたからだよ」


イザベル嬢も微笑む。


「ミーナちゃん、あなたは優しい子ですわ。

これからも“みんなを守る見張り番”として頑張ってくださいませ」


猫たち「にゃぁ!」


ミーナはぱぁっと笑った。


「うん! 今度からはちゃんとにぃに に『見て』って言うね!」


ルーク「うん。何度でも見に行くからね」


イザベル嬢は空を見上げ、春の風に髪を揺らした。


「ふふ……今日もよい一日でしたわね」


ギャリソン(猫に囲まれ座れない)「……誰か……助けていただけませんか……」


ミーナ&ルーク&イザベル嬢「(聞こえないふり)」


猫たち「にゃぁぁ♪」


――

そして村には、いつものほのぼのとした空気が戻るのだった。



ミーナは今日も “みんなの見張り番”。

叫びすぎても、泣きそうでも、

最後には必ず優しい春がやってくる。

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