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翌日。
海斗が広間で愛歌がくるのを待っていると、玄関からレオンがやってきた。
「よう海斗。今から見回りか」
「そうだよ。そっちは朝帰り?」
「ちげえって。走り込んでたんだよ」
見たらわかるだろ、とばかりに両手を広げて自分の恰好を見せつける。
「ご苦労様」
「なあ海斗」
「ん?」
「真理のことは気にすんなよ。後から話を聞いた限りじゃ、お前は全然悪くねえんだから。リーダーなんて立ち位置にいると、弱音なんて簡単に見せられないだろうけど俺にはそんなこと気にすんじゃねえぞ。なんたって俺は頼れる兄貴なんだからよ」
「女癖の悪さが治ったらそうさせてもらうよ」
「ははっ、言ってろ」
大丈夫だという意味を込めて冗談を言うと、レオンは安心したように笑う。
「と、うちの姫さんの到着だ。じゃあ俺は邪魔にならないように部屋に戻るとするよ」
愛歌がやってきたことに気付いたレオンは、二人の仲を邪魔する気はないとばかりにそそくさと部屋へ戻っていった。
「待った?」
一般人に紛れる必要があるため愛歌は私服だ。目立つ白髪を隠すためにキャスケットをかぶっている。そんな姿でこんなことを言うのだから本当にデート前のような錯覚をしてしまう。
「なんか今日の服装気合入ってないか?」
夏場ということもあるが、肌色がやけに多い気がしたのだ。下手をすれば戦闘になることもありえるため、遠まわし気味に注意する。
その一方で愛歌はオシャレをしてきたことに、気付いてもらえて嬉しそうにする。
「だって男女二人で出かけてるなんて他の人からしたらデートにしか見えないもん。だったらそれっぽい服装のほうがいいでしょ」
どう聞いても方便にしか思えないのだが、それでも的を射ていることに違いはなく海斗は反論できない。
確かに不自然になって必要以上に注意を引いてしまうよりは、周囲に溶け込んだ方が効果的だ。
「それ銃持てるのか?」
何かあった時のためにハンドガンを隠し持つ必要があるため、暑い中でも海斗はホルスターを隠すために上着を着ている。しかし、愛歌にはそういった類のものが見られない。
「スカートの下に隠してる、ほら」
そう言って軽くめくりあげるとスカートに隠されていた太ももサイホルスターが露になり、XD-Sと呼ばれる愛歌の愛銃が見える。
手の小さい愛歌でも使えるようにとコンパクトであるため、秘匿するのも容易い。
「ならいい」
「むう」
そこに銃があることを確認し淡々と返事をした海斗に愛歌は不満そうに顔を歪めた。
「ちょっとぐらいドキドキしてくれてもいいんじゃないかな?」
恥ずかしい思いをしつつスカートめくったのに、と少し頬を染めている。
「そんな見え透いたの分かってたから、ドキドキも何も無いよ」
戦闘になれば動き回る必要もあるため、いくらスカートをはいているとしてもその対策はしてあるはずだと思っていた。そのためスカートをめくったところで見えるのはスパッツか短パンだろうと考えており、実際それは外れていなかった。
「……。まあリーダーがそれだけ私のこと分かってくれてるってことだから、それはそれでいいかな」
だがすぐにポジティブに考え直し、嬉しそうに笑う。決して本人には言うつもりはないが、海斗は愛歌のこういう表情がころころと変わるところが好きだった。
「さっさと行くぞ」
「はーい」
玄関の扉を開ける海斗の後ろを愛歌はついて歩く。




