↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
29/48

第29話 急にある人物が登場する/第30話 新たな失踪

【第29話】


作者です。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

ここで、ち(・)ょ(・)っ(・)と(・)だ(・)け(・)長(・)か(・)っ(・)た(・)序章―プロローグ―が終わります。

引き続き、本編をお楽しみください。


―――――

【第30話】

「メモはどうしたの?

メモを見れば、住所は分かるよ」


「ああ、安心して。

ビリビリに破って、捨てたよ」


「ビ、ビリビリぃだと!?」


私は、仁王立ちのポーズを崩さなかった。


「個人情報は厳重にって、鷹宮(たかみや)さんに言われてたし。

絶対に復元できないくらいビリビリに破いたから、安心して。

ほら、ボクって退職してからも、ちゃんとしてて偉いでしょ?」


マモルくん、言ってることがメチャクチャ!


「あのねぇ―

2月14日に手作りクッキーをもらったのに、お返ししないつもりだったの?」


「ええぇぇぇー、あれ手(・)作(・)り(・)だったの?」


「そうよ」


参ったか!―


「マジで?

…汚(・)っ(・)た(・)ね(・)ぇ(・)ー(・)!!」


ここで、国友くんの顔がゆがみ切った。

国友くんは、忍び足でドアの外に逃げて行く。


「ま、まぁ、いいわ。

とりあえず、カフェに行ってお話ししましょう」


「ああ、ごめん。

これからカズヤと用があるんだ」


「国友氏は、お帰りになりました」


え?という表情。


「じゃあ、行こうか。

私と、じーーーーーーっくりお話ししましょうね♡」


――――

文学部棟からカフェに移動するあいだ、自分を恥じた。

私は探偵なのに…気づくべきだった、と。


―これ、手(・)作(・)り(・)?(・)―

―いや、ス(・)ー(・)パ(・)ー(・)で(・)買(・)っ(・)た(・)んだよ―

―じ(・)ゃ(・)あ(・)、も(・)ら(・)う(・)よ―


並山(なみやま)であげた稲荷(いなり)寿司(ずし)。

手作りが欲しかったんじゃない。

手作りがイヤだったんだ。


スーパーの商品は衛生的、素人の手作り料理は不衛生―


マモルくんは、そう考えてただけ。


そう、私はすぐに反省できる女。

えらい、えらい。


だが、マモルくんは、カフェに着いてもまだ気にしてる。


「ねぇ、あれって本当に神馬さんの手作りだったの?」


「そうだよ」


「六本木さんの手作りじゃなくて?」


何が言いたい?―


「どういうこと?」


「六本木さんの手作りクッキーをくれたんじゃないの?

ボクと六本木さんの橋渡しをしてくれて」


「そんなこと、するわけないでしょ!」


「なーんだ。あいかわらず気が利かないなぁ」


いや、ちょっと待って―


「私の手作りはアウトで、六本木さんの手作りはセーフなの?」


「六本木さんの名前、たからって言うんだって。

聖母の“聖”で、たから。

だから、六本木さんの手作り料理は聖(・)潔なんだよ」


さっき反省したことを、今、反省した。


「はいはい、よくわかりましたよ。

つまり、こういうことね。

二階堂くんは、お母さんみたいな女性が大好きなマザコンってこと」


「はぁ?

なに言ってるの?

六本木さんがいくら大人っぽくても、クラスメイトだよ。

―同じ年齢の女性をお母さんの年齢に脳内変換して、恋愛の対象にする―

そんなこと、考えもしなかった。

もしかして、神馬さんってそういう発想ができるド変態なの?」


なんと、マモルくんは、真顔だった。


私は、マグカップを手に取り

「ま、まあ、その話はいいとして、本題に入りましょう」


マモルくんは、眉間にしわを寄せ

「まさか、またアッシーをやれって言わないよね?」


私は、コーヒを飲み

「察しがいいね」


「えー。もう終わったじゃん」


「終わりにしなかったのは、二階堂くんだよ。

バレンタインのお返しをしなかったのが悪い」


「ここのコーヒー代を出すよ」


「まったく足りない」


「そうかなあ」


「でね、ちょっといい?

顔をこっちに寄せて」


「イヤだよ、ボクの貞操が危ない」


「バカ言わないで!

個人情報を守るため!」


渋々ながら顔を近づけて来た二階堂くんに、小声で伝えた。

協力してほしい事件を。


私のささやきボイスを聞いて、マモルくんがまた真顔になってくれた。


――――

鷹宮(たかみや)探偵事務所・社長室―


鷹宮先生が、オーバーに両手を広げて

「いやぁー、二階堂くん、もろ手を挙げて歓迎するよ」


手を挙げてない。広げてる―なんて突っ込むのはヤボだろう。


「さぁ、さぁ、座って」


私とマモルくんが、鷹宮先生とテーブルを挟み座る。

社長室のソファは、あいかわらず心地よい。


「だって、これ、日本を騒がしている重大事件じゃないですか?

神馬さんならともかく、なんでボクなんですか?」


そう。

私たちが担当するのは、日本を騒然とさせている事件―


石橋心桜(みお)ちゃん失踪事件


「心桜ちゃんのご両親が、君たちを指名してるんだよ」


「神馬さんを―ですよね?」


「鷹宮先生は、きみた(・)ち(・)っておっしゃったの。

私と二階堂くんの2人セットでのご指名よ」


「ええー。なんでボクまでセット?」


「安藤食品の石橋さんと、ミオちゃんのお父さんが親せきなんだと。

安藤食品の石橋さんが、お父さんに君たち2人を推薦したらしい」


「行夫さん失踪の真相を突き止めたのは、神馬と二階堂という2人の若者―ってことになってるらしい。

わかった?」


「ええと…安藤食品の石橋さんって誰だっけ?」


わかってないのは、そっちだったか―


「はじめて安藤食品に行った時にいた人。

例の部屋に案内してくれた若い男性」


「ああ、たしかに石橋って名乗ってた男性がいたね。

あの人、ミオちゃんの父親の親せきなのか…」


「そういうこと。

もちろん、協力してくれるよね」


「ま、まぁ、車とその運転手は必要だろうから」


マモルくんは、こういう性格だよね―


「ところで、二階堂くん。

失踪事件のことはどのくらい知っているかね?」


「マスコミもネットも大騒ぎなので、ある程度は知ってます。

4才の女の子・石橋心桜(みお)ちゃんが、3月下旬に失踪した。

ミオちゃんはお母さんと一緒に都内の桜を見に行ったけど、お母さんが目を離した隙(すき)にいなくなった。

お母さんが探したけど見つからず、警察に通報。

だけど、今日(こんにち)に至るまで発見できず―

この程度です」


「うん、間違ってないね。

犯罪の可能性が高いので、もうちょっと正確に事件を詰めよう」


「はい」


「3月19日、母親とミオちゃんが、東京都××市にある春桜山(しゅんおうざん)に行った。

この山は名前の通り、春の桜がキレイなんだ。

××市で唯一の名所と言っていい。

お母さんは、地元の方(かた)で、子供のころからずっと春桜山の桜を見に行っていた。

だが、今年は1つ不運なことがあった。

異常な暖冬だ」


「暖冬…ですか?」


「今年の暖かさは、異常だ。

だからお母さんは予測を誤った」


「桜が満開になる季節を?」


「いや、その予測は間違ってない。

正確には、満開になるちょっと前を狙っているそうだ。

満開になってしまうと人が多すぎるから。

特にミオちゃんが生まれてからは、満開の時期を避けていた。

だから、今年も満開のちょっと前に行ったのだが…

思ったよりも花見客が多かった。

つまり、混雑の読みを誤ってしまった。

この微妙な混雑が悲劇を生んでしまった」


「微妙な混雑だとダメなんですか?」


「うん。

まず、混み過ぎていると幼児を誘拐するのが難しい。

人が多いという事は、人目も多い事でもある。

逆に花見客がほとんどおらず、ガラガラだったら?

誘拐するには、目立ちすぎる。

母親に気づかれる可能性も高い。

この2つの間の―幼児誘拐するのに都合が良い絶妙な混み具合―が生まれてしまった。

異様な暖冬によって、3月19日という想定外の日に」


「なるほど。

お母さんが読めなかったのは桜じゃなくて、花見客の動きだったんですね。

でも…お母さんは、誘拐に気づきそうなものですが…」


マモルくん、ずいぶん成長したね―


「いい視点だ。

そして、今の質問こそが、鷹宮探偵事務所の調査にも大きな影響を及ぼす点でもある。

だから、二階堂くんが提起した問題を先に話そう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。