■第18章:聖女の居場所
数日後。
古城の近く。
村の一角。
「ここがいいでしょう」
神官が場所を示す。
少し高台。
村全体が見渡せる位置。
セレスティアが頷く。
「悪くない」
ルミナは腕を組んでいる。
「監視しやすいわね」
ぼそっと。
神官が苦笑する。
「お互い様でしょう」
静かな牽制。
そのやり取りの横で――
「ここに作るの?」
シャーロットが少しだけ不思議そうに聞く。
「えへへ」
まだ実感が薄い。
若い女性が近づく。
「はい」
柔らかい声。
「あなたのための場所です」
シャーロットが首を傾げる。
「わたしの?」
「聖女としての役割を果たす場所です」
はっきりと。
シャーロットは少し考えて――
「……そっか」
小さく頷く。
完全には理解していない。
でも――
拒否もしない。
建設が始まる。
木材。
石。
村人たちも手伝う。
「聖女様の教会だ」
「しっかり作るぞ」
自然と士気が上がる。
シャーロットも手伝おうとする。
「わたしも――」
「ダメ」
ルミナが即止める。
「まだ安静」
はっきりと。
シャーロットが少ししょんぼりする。
「……はーい」
「えへへ」
仕方なく見守る側へ。
シュバルツと一緒に、
少し離れた場所に座る。
「にゃ」
時間が流れる。
日が変わる。
少しずつ形になる。
柱が立つ。
屋根ができる。
簡素だが、整った建物。
“教会”。
完成の日。
小さな鐘が設置される。
「……できた」
誰かが呟く。
村人たちが集まる。
静かな期待。
シャーロットが呼ばれる。
「聖女様」
自然な呼び方。
シャーロットは少しだけ緊張している。
「……うん」
ゆっくりと前に出る。
教会の前に立つ。
ルミナが少し後ろで見ている。
セレスティアも静かに見守る。
神官が一歩前へ。
「この地に」
「新たな祈りの場を」
「そして――」
シャーロットを見る。
「一人の聖女を」
短く宣言する。
空気が静まる。
シャーロットは、
少しだけ戸惑いながら――
それでも、
「……よろしくね」
小さく言う。
「えへへ」
その言葉。
堅苦しくない。
でも――
村人たちは一斉に頭を下げる。
「聖女様……!」
静かな、でも確かな信仰。
ルミナはそれを見て、
小さく呟く。
「……ほんとに、なったわね」
セレスティアが答える。
「いや」
少しだけ目を細める。
「これからだ」




