■第16章:理解という境界
静寂。
白い空間。
何もない。
音もない。
ただ――
「……ここ」
シャーロットが立っている。
自分の姿を見下ろす。
「……どこ?」
分からない。
でも――
怖くない。
不思議と、落ち着いている。
その時。
足元に、小さな光。
ぽつり。
一つ。
それが、
ゆっくりと広がる。
草になる。
花になる。
水が流れる。
世界が“整っていく”。
「……わたし?」
小さく呟く。
その光景を見て、
理解する。
「……これが」
「わたしの……」
その時。
別の光が現れる。
少し歪んだ光。
さっきの暴走。
揺れていた力。
「……これも」
両方、同じ。
整える。
でも――
“やりすぎると壊れる”。
その感覚が、
はっきりと分かる。
「……そっか」
小さく笑う。
「いっぱいじゃダメなんだ」
「ちょっとでいい」
自分の言葉で、
理解する。
その瞬間――
光が安定する。
広がる。
でも、暴れない。
穏やかに、
均一に。
「……えへへ」
少しだけ笑う。
その時。
遠くに、二つの影。
ルミナ。
セレスティア。
ぼんやりと見える。
「……待ってる」
その一言で、
理解する。
戻る場所。
守りたい人。
「……帰る」
一歩、踏み出す。
その瞬間――
光が一気に収束する。
現実。
古城。
ベッド。
「……っ」
シャーロットの指が動く。
ルミナがすぐに反応する。
「……シャーロット?」
顔を上げる。
ゆっくりと、
目が開く。
今までと同じ。
でも――
少しだけ違う。
「……お姉ちゃん」
声は弱い。
でも、はっきりしている。
ルミナの目が揺れる。
「……遅い」
小さく言う。
でも、安心している。
セレスティアも静かに見る。
「……戻ったか」
短く。
シャーロットは少しだけ笑う。
「うん」
「分かったかも」
ぽつりと。
ルミナが眉をひそめる。
「何が」
シャーロットは少しだけ考えて――
「やりすぎないこと」
シンプルな答え。
でも――
核心。
セレスティアの目が細くなる。




