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■第15章:守るための力

「今度は、連れて帰ります」


その一言。


空気が凍る。


ルミナがゆっくり立ち上がる。


シャーロットを地面に寝かせる。


「……やらせない」


低い声。


神官が手を軽く上げる。


「確保しろ」


随行が一斉に動く。


その瞬間――


「来るな!!」


ルミナが踏み込む。


魔力が走る。


衝突。


短い、鋭い交錯。


「……っ!」


一人を弾く。


もう一人の攻撃を受け止める。


「邪魔だ!」


だが――


数が違う。


連携もある。


一瞬の隙。


「……っ!」


刃がかすめる。


ルミナの肩に、深く入る。


血が飛ぶ。


「お姉ちゃん!!」


シャーロットの声。


意識が戻る。


目を見開く。


ルミナが膝をつく。


「……平気」


そう言おうとして、


言い切れない。


血が地面に落ちる。


その光景。


シャーロットの中で、

何かが切れる。


「……なんで」


小さく呟く。


震えている。


「……なんで」


視線がゆっくり上がる。


教会の人間を見る。


「……やめてって言ったのに」


声が低くなる。


ルミナが気づく。


「……シャーロット」


危険。


でも――


止められない。


「……わたしの」


一歩、立ち上がる。


「家族に」


空気が、変わる。


重くなる。


「……触るな」


その一言。


きらり――


今までで一番強い光。


でも、


今度は“揺れない”。


“固定される”。


地面が静かに震える。


草が、ぴたりと止まる。


風も止まる。


「……っ!?」


神官が初めて動揺する。


「これは……」


ルミナが息を呑む。


(……違う)


今までと違う。


“整える”だけじゃない。


“押さえつけてる”。


空間そのものを。


シャーロットの目は、

完全に感情で染まっている。


「……もうやめて」


静かな声。


でも、


圧がすべてを覆う。


随行の一人が動こうとする。


その瞬間――


膝が崩れる。


「……っ!?」


立てない。


“整えられている”。


強制的に。


戦う意思すら、

押さえつけられる。


セレスティアの目が細くなる。


(……到達したか)


一段階上。


だが――


「……長く持たない」


小さく呟く。


シャーロットの呼吸が乱れる。


負荷が異常。


それでも――


止めない。


ルミナを見ている。


「……大丈夫?」


優しい声。


ルミナは血を押さえながら、

笑う。


「……ほんとに」


「やりすぎ」


でも――


「……でも、ありがと」


小さく言う。


その瞬間――


シャーロットの肩が、わずかに揺れる。


「……よかった」


小さく呟く。


そして――


ふっ、と。


力が抜ける。


空間の圧が、

一気に崩れる。


風が戻る。


草が揺れる。


音が帰ってくる。


「……っ!」


シャーロットの膝が崩れる。


そのまま、前に倒れる。


「シャーロット!!」


ルミナが無理やり体を動かす。


痛みを無視して、

手を伸ばす。


抱きとめる。


完全に脱力。


呼吸はある。


でも――


意識はない。


「……っ」


ルミナの顔が歪む。


「……バカ」


小さく呟く。


でも、その声は震えている。


セレスティアが近づく。


状態を見る。


「……限界を越えたな」


静かに言う。


「命に別状はない」


「ただし――」


「しばらくは動けん」


はっきりと。


ルミナはシャーロットを強く抱きしめる。


「……分かってる」


その時。


村人たちが、ゆっくりと膝をつく。


「……聖女様」


恐れと、敬意。


そして確信。

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