■第14章:制御できない力
「……できない」
その一言。
空気が、歪む。
きらり――
光が強くなる。
今までとは違う。
“抑えようとしているのに、広がる”。
「……っ!」
ルミナが踏み出す。
「シャーロット!!」
叫ぶ。
でも――
止まらない。
地面。
草。
木。
一斉に“整う”。
不自然なほどに。
傷んだ葉が一瞬で戻る。
折れかけた枝が伸びる。
村の空気が一気に変わる。
「な、なんだこれ……!」
「息が……楽に……!」
難民たちがざわつく。
一部の者は、
体の痛みが消えていく。
でも――
「……っ」
シャーロットの顔が歪む。
明らかに負荷が異常。
「やめろ!!」
ルミナが叫ぶ。
近づく。
でも――
見えない圧に押し返される。
「……っ!」
足が止まる。
セレスティアが前に出る。
「限界を越えている」
冷静に言う。
その目は鋭い。
「このままでは“整いすぎる”」
危険域。
その時――
神官が呟く。
「……やはり」
確信の声。
「本物だ」
若い女性の目が輝く。
「聖女……」
完全に確信。
状況は最悪。
ルミナは歯を食いしばる。
「……セレスティア様!」
叫ぶ。
セレスティアは一瞬だけ考え――
決断する。
「ルミナ、道を開け」
短く指示。
「……は!?」
「今しかない」
はっきりと言う。
ルミナは一瞬迷う。
でも――
「……っ」
一歩引く。
その瞬間。
セレスティアが踏み込む。
まっすぐ、シャーロットへ。
揺れる空気の中を、
無理やり進む。
「シャーロット」
低く呼ぶ。
反応はない。
意識が半分飛んでいる。
「……聞け」
一歩近づく。
「“誰のために使っている”」
その一言。
シャーロットの目がわずかに揺れる。
「……だれ」
かすれた声。
「全員を救おうとするな」
はっきりと言う。
「一人に絞れ」
強く。
その言葉。
ルミナの教えと繋がる。
“必要な分だけ”
シャーロットの手が震える。
「……ひとり」
周囲を見る。
倒れている子ども。
一番弱っている。
「……この子」
意識が集中する。
その瞬間――
広がっていた力が、
一気に“収束”する。
光が一点に集まる。
「……っ!!」
強い反動。
空気が弾けるように戻る。
静寂。
そして――
シャーロットの体が、
そのまま崩れ落ちる。
「シャーロット!!」
ルミナが駆け寄る。
抱きとめる。
完全に脱力。
意識なし。
周囲は静まり返る。
誰も動けない。
神官がゆっくり言う。
「……確認できました」
その声。
冷たい確信。
「正式な“聖女候補”です」
完全にバレた。
若い女性が微笑む。
「今度は、連れて帰ります」




