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文学少年の恋物語 〜令和版源氏物語〜  作者: AYASAM
1年生1学期
18/51

徒競走、障害物競走、◯×クイズリレー観戦(体育祭 その3)

体育祭。ここからが本番です。

ドンドン!!!


晴天の下、狼煙が上がった。


「これより、開会式を始めます!」

「解説は3年B組、赤坂翔子がお送りします。そして解説はーー」

「3年A組の神山浩二がお送りします」


今日から三日間に渡って執り行われる体育祭。俺は先生がこの前言っていたことを思い出した。


~~~~~~~~


「来週は体育祭です。勉強のことは忘れて、精一杯楽しみましょう!」


~~~~~~~~


体育祭。みんなが一致団結して優勝を目指す、青春の舞台だ。そうそう、中学ではこれを機にクラスメイトと仲良くなったんだよな。

この体育祭でみんなとの仲を深めないと。



今は開会式で、全校生徒が校庭のグラウンドに並んでいる。クラスごとに、デザインの違うクラスTシャツを身にまとい、色の違う鉢巻を頭に巻いている。気合は十分だ。


今回体育祭は、中学までとは違い、各クラスが敵だ。つまり、赤組や白組というような区別ではなく、何年の何クラスが最小単位ということだ。

なので、どのクラスかを見分けるという仕組みが必要なわけで、各クラス、それぞれ自分たちでデザインを考えたクラスTシャツを、今は身につけているというわけだ。


俺たちのクラスのTシャツはベースが黒で、前側は1Bと書かれたワンポイント。そして、裏側は背番号のように書かれた出席番号。いわばスポーツのユニフォームだ。

ビミョーなデザインだが、派手なものじゃなくて良かった。


聞くところによると、クラスTシャツのデザインが順位付けされて、クラスのポイントに加算されるらしい。体育祭といえど全てが体力勝負というわけではないみたいだ。


とまあ、クラスTシャツの話はよしとして、今日から体育祭だ。

昨日は、速攻で睡魔が襲ってきて、「体育祭が楽しみで全然眠れなかった……」という少女漫画にありがちな状況にはならなかったので良かった。


体調は万全。これから体育祭の幕開けだと思うと、期待がより一層高まってきた。


「次はラジオ体操です。競技で怪我をしないよう、準備体操をしっかりとやりましょう。」


実行委員長らしき人がハキハキと喋る。

ラジオ体操なんて懐かしいな。やるのは中学の体育祭以来だ。


「腕を前から上に、まずは背伸びの運動から、はいっ! 1、2、3、4……」


ラジオ体操の後、校長挨拶や選手宣誓が終わり、その他詳細説明がなされた。そして、


「それではただ今より、体育祭の開会を宣言します」


パチパチパチパチ、ヒュー!!!


スケール大の拍手喝采によって、いよいよ体育祭が始まったという実感が湧いてきた。



俺が今日出る種目は徒競走、障害物競走だ。

まず最初に徒競走がある。これは全員が参加で、学年同士の対戦だ。クラスから1人ずつ、計六人が一斉に走る。えーと、一学年につき二百四十人だと、全校七百二十人。なので計百二十回、パーンと音が鳴ることになる。二分で一組が走り終わるとして、全部で四時間か。もしワンサイクルが一分で終わるとしても二時間かかるか。これ、徒競走午前で終わらないな。


俺は出席番号が早い方なので、あまり時間が経たないうちに出番が来た。


「位置について、よーい」


パーン!


俺はスタートを切った。結構上手くいった。

中間の五十メートルあたりで周りの様子を確認する。

少し前を走るのが一人、ちょうど真横に並んで走るのが一人か。

俺はペースを少しずつ上げていき、テープの直前まで来た。


サッ!


テープを最初に切ったのは前にいたE組の男子だった。俺は全力で走ったが、追いつけなかった。息もかなり荒い。一位の彼は息が少し荒いくらいで、そんなに疲弊しているようには見えない。何かしら運動をしているのだろう。


俺はハアハアと息をしながらクールダウンした。2位か、好成績だ。

満足しながら、走り終えた選手の列に並ぶ。


顔を上げてみると、次に走るのはライトだった。


パーンという始まりの合図が鳴り、男子六人がこちらの方に全力で走ってくる。


好スタートを切ったライトはみるみる他の男子たちを突き放していく。ライトの独壇場だ。 さすがバスケ部のエースと言われるだけのことはある。

ピンと貼られたテープを切った後、ライトは澄まし顔でこちらに向かってきた。


「すごいね、ライト!」

「ああ、ありがとう。和人も良かったよ」

「いやいや、ライトに比べたら全然だよ」

「ま、本気出したらこんなもんだろ」

「そっか」

ライトは本当にすごいな。



 十数分後。

俺とライトは順位を運営委員にチェックされた後、1Bの陣地に戻った。


「和人、見てみろ。葉山の出番みたいだ」


ライトが指差した。

お、ホントだ。よし、お手並みを拝見。


パーン!


葉山は風のように百メートルを駆け抜けた。一瀉千里、疾風迅雷、電光石火のごとく、神速いや光速並みの……とにかく、ものすごく速いということを言い表したい。

テープを切ったあと、黄色い声の数がさらに増大して、鼓膜がつんざかれた。

これが陸上のトップ選手か。全然次元が違うな。

これから彼のことは、現代の韋駄天様と呼ぶことにする。



 数分後。

男子は全員が走り終え、女子の出番になっていた。

今度は琴吹さんが走る番だ。どれどれ。


パーン!


琴吹さんの組はあまり差がないようで、六人が並んで走っているように見えた。

クラスの男子が激しく騒いでいたが、俺は固唾を呑んでじっと見守った。


琴吹さんら真ん中くらいの順位でゴールしたようだ。

しっかり見ていたけれど、三位か四位どちらかの区別はつかなかった。


もう何組が走り終わると、一斉に他の男子が騒ぎだした。

「次、日代さんだ!」「おー頑張れー!」

日代さんは大変注目を集めていた。


パーン!


日代さんは圧倒的だった。他の女子たちを置いてきぼりし、一瞬でゴールしてしまった。

「速いなー」「すげーよ日代」「ホント超驚き!」

俺も皆と同感だった。まさか、こんなに早いとは思わなかった。周りの人達も真剣に走っていたはずなのだけれど、あんなに差が出るとはな……。



 数分後。

女子全員が走り終え、陣地に戻ってきた。

「葉山くん、すごかったねー!」「いやー、日代さん最高っす!」

などと、クラス内で賞賛されるものや、

「く、覚醒の時はまだ早い」「またビリ。もーやだ」

など、結果不良のものもいた。


みんなが落ち着かない中、日代さんがいつの間にか群衆から抜け出して、俺に声をかけてきた。


「小暮くん、二位だったでしょ。やるじゃん!」


「ありがとう。でも、日代さんの方が凄いと思う。圧倒的一位だった!」


「ありがとう。みんな本気で頑張ってるから、私も頑張らなきゃね」


彼女の顔色はとても良く、疲れというものを知らないといった様子だ。

そのパワーの源はどこにあるのだろうか。がっちり体型ではないようだが。

どんなトレーニングをしたらそんなにスタミナが付くのだろうか、興味が湧いてきた。

あとで日々のトレーニングメニューを聞いてみることにしよう。


「体育祭はまだ始まったばかりだよ。お互い、もっと頑張ろうね!」


「うん」


まさに光のような存在だ。クラスで圧倒的に輝いている。

容姿が良いのに加えて、運動でこれほど好成績を取れるとは。

彼女ならもしかして、体育祭のMVPを取れるんじゃないだろうか。


それから数時間が経ち、三年女子の徒競走が終わった。もう午前は回っていた。

昼飯はさっさと済ませた。よし、今度は障害物だ。




 グラウンドに来てみると、舞台のセッティングが済んでいた。


「次は障害物競争です。代表者はスタートライン付近に集まってください」 


「障害物競争の概要を説明します。まず、スタート直後にあるハードルエリア。次に、網の下をくぐるネットエリア。その次は平均台エリア。三本ありますが、太いものは渡る距離が長く、細いものは短くなっています。そして最後にフラフープエリア。印から印までの10メートルをフラフープを回しながら移動します」


ハードルや網、平均台はいいとして、フラフープが回せるか心配だ。何せ小学校以来だから。


俺はクラスの男子代表ということで、障害物に出ることになったので、下手な順位を取るわけにもいかない。頑張らないと。


ついに出番がきた。いざ、出撃!


「位置について、よーい」


パーン!


俺はスタートを切り、ハードルを飛び越える。ポンポンと上手く飛ぶことができた。

次に網をくぐる。なぜか懐かしい感じがした。あ、そうだ小学校の時もこんな競技があったんだ。

難なく網をクリアし、平均台に着いた。

俺は一番細いものを選んだ。バランスには自信がある。タッタッタッと爽快に駆け抜ける。


そして、問題のフラフープ。両手に持って左に回した。グルングルン!

輪っかを落とさないように、腰を唸らせてっと。

おお、意外にいけるぞ! フラフープってなかなか楽しいな。

回しながら移動するのは少し不安だったが、まったく心配する必要はなかったな。


そして……ゴール。

すでにテープは切られていた。


結果はまたしても2位。

もしかして俺、一位から嫌われてたりする? なんだかトップを取れないような気がしてきたぞ。

でもまあ、楽しかったから良しとしましょ。


3年生が競技を終えて、順位の集計が終わり、俺は陣地に戻った。


「和人、なかなかの順位だ。やるな」「やりますねぇ」「ええぞ、和人はん」 


「え、ありがとう」

近くに寄ってきた男子に称賛の言葉をかけられた。こんなに褒められたのって初めてかも。とても嬉しい。



男子たちの輪から外れたところで、誰かが後ろから俺の肩に手を回してきた。


「小暮。アンタ、運動神経いいじゃん!」

「だねだねー、超イケてるー」


振り向くと、知らない女子が二人いた。

誰だこの人たちは? ーー俺は驚きながらも二人の様子を伺った。……同じクラスTシャツ。


思考する暇もなく、この女子らがクラスメイトであると気づいた。そういえばクラスで何度か見かけたことがあるな。全く話したことないけど。挨拶すらしたことない。


「あ、ありがとう」

俺は戸惑いながらもそう答えた。すると、俺の肩に手を回している女子が、ニッと笑った。


「IBのためにもっと貢献しろよな!」

そう言って、その女子は俺の肩から手を離した。


「う、うん。頑張って、みる」

「それじゃまた!」

「ふふっ、頑張れー」


二人の女子は手を軽く振って、すぐに場から居なくなった。本当に驚いた。話したことのないクラスメイトに急にボディタッチされるとは思わなかった。これが高校の体育祭か。すごいな。



男子たちの輪に戻る途中で、琴吹さんと目が合った。彼女はニコッと笑い、女子たちのグループに入っていった。話したわけではないけれど、自分の結果を褒められた気がして、とても嬉しかった。


 数分後。


トラックに四つのクイズポイントが同じ間隔で設けられた。

どうやら今度は○×クイズリレーをやるようだ。


「問題はこの放送で出題します。回答者は各クイズポイントにあるボタンで○か×いずれかの回答をしてください。正解したら一つ進み、不正解ならその場に止まってください」


クラス三人ずつで一人一周、計三周か。最速でも十二問は正解しないといけないな。俺たちのクラスはガリ勉っぽそうな二人と、そうでもない一人が代表だ。


「問題は全部で十五問用意しています。もしそのうちにゴール出来なかった場合、最後の問題が終わった地点から普通のリレーとなります」


そういえばこの競技、霞先輩が出るっていってたよなーーそう思って霞先輩を探すと、一年生の後ろの列の一番端に彼女はいて、しゃがんで待機していた。


「位置について、よーい」


パーン!


一斉にスタート。


第1問 この学校の正式名称は県立北高校である。


なんだ、簡単じゃん。


第2問 校長先生の誕生日は七月七日である。


うーん、勘だな。


第3問 この学校の職員の数は全部で三十人である。


確か入学式の時に言ってたよな。どうだろ、そんなにいたっけ……。


この後もこの学校に関する問題が出続けた。

そして我がクラス1Bは、なんと一位でゴールした。

「ブラボー!」「ヒュー!」

自陣地から喝采が起こった。俺も激しく手を叩いた。



そして次は二年生の番が来た。

霞先輩は立ち上がって、スタートラインについた。検討を祈ります。


パーン !


第1問 今年修学旅行で訪れるのはヨーロッパである。


あー、これは○だ。二年生ならまず間違えないだろうな、


第2問 ヨーロッパの国の数とアメリカの州の数は同じである。


これは○。旅行の経験はないけど、いろいろ調べているおかげで知識はある。数を答える問題なら、五十で正解だ。


第3問 学校の校章のモチーフになっている花は菊である。


うーん、わからない。桜だった気がしなくもない。


その後も、クイズは続いた。先輩たちのクラスは、一つも間違えなかったようだ。


全員がゴールした。


先輩のクラスは当然、一位を取った。さすがです先輩。


その後、三年生も同じように競技を行った。

一年生は学校に関する問題(勘で答える問題)がほとんどだったが、三年生は試験で出そうな問題(知識問題)が多めだった。よって、正答率は徐々に上がっていった。


そして、クイズリレーも終了した。


そのあと何個か競技があったが、どれも見ていて面白いものだった。時間が超特急で経過していくように感じた。


体育祭一日目が終わり、解散となった。

部活は体育祭があるため、休みになっていた。

なので、点呼を取った後皆と別れて、すぐさま帰宅した。




 夜、ベットに横になると、すぐに眠くなった。

よし、明日も頑張ろう。ぐぅ……。



これからもよろしくお願いします。

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