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文学少年の恋物語 〜令和版源氏物語〜  作者: AYASAM
1年生2学期
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111/118

夏の自由研究その11 成果報告

 10月10日。六時間目。

今日は自由研究の成果報告の締め切り日だ。


俺たち三人は先週同様、第一講義室の後方席に集まっていた。

教室内には、PCやタブレット端末を開いて、最後の調整をしているグループが多い。

スライドを確認する者、動画編集をしている者、原稿を読み返している者。

中間報告のときよりも、明確に慌ただしい雰囲気である。


俺はノートPCを開き、提出前の最終確認を進める。


今回提出する成果物は二種類。

一つは研究内容をまとめた論文形式の文書ファイル。

もう一つは、文化祭展示用を見据えたスライド資料だ。


もっとも、土台自体はすでに完成している。

先週万和人が大部分を整理し、グループLINEに共有した。

今日はその資料の確認と微修正が中心だ。


「この図、ちょっと位置ずれてるかも」


日代さんがiPadを見ながら言う。


「どこ?」


俺が画面を覗き込むと、確かにグラフ横の説明文が少しだけ下にずれていた。


「ほんとだ」


万和人が自分のタブレットを操作しながら修正する。

以前の彼なら、こういう細かい部分は面倒がっていたかもしれない。

けれど今は、意外なくらい真面目に取り組んでいた。


「スクショ入れた関係でレイアウト崩れたっぽい」

「今すぐ直すよ」


俺はそう言いながら、文章を確認していく。


内容は主に四分野。


学習環境。

学習メディア。

学習法。

学習習慣。


さらに、目標設定やモチベーション管理についても軽く触れている。


三人で調査範囲を分担し、夏から実践・検証を続けてきた。


物理的環境やアウトプットについては全員で調査。

時間管理やメタ認知は俺。

文房具やデジタル環境は日代さん。

動画教材や社会的環境は万和人。


それぞれ違う視点から集めた情報を、一つの形にまとめていく。


俺はスクロールしながら、研究結果のまとめ部分を読み返す。


『人によって適した学習法は異なる』


『ただし、環境整備・アウトプット・習慣化などは、多くのケースで一定の有効性が見られた』


中間発表の頃より、かなり研究らしくなったと思う。


最初は正直、形になるか見えていなかった。


万和人も最初は乗り気ではなかったし、俺自身も「やれるだけやる」くらいの感覚だった。

でも、試行錯誤を重ねるうちに、少しずつ面白くなっていった。


「古暮くん、ここの文章ちょっと硬すぎるかも」


日代さんが画面を指差す。


「どこ?」

「この学習効率の最適化ってところ」


俺は文章を読み返す。


「……確かに」


スライド資料に関しては文化祭展示を見据えて作成している以上、難解すぎる表現は避けたほうがよい。


「勉強しやすい状態を作る、くらいでいいんじゃない?」


万和人が提案する。


「それだ」


俺は早速文言を修正した。


わかりやすい言葉にすぐ言い換えられるのは、万和人の強みだ。

研究を始めた頃より、確実に磨きがかかっている。


その後も細かい確認を進めていき、提出時間十分前。


「……よし。これで大丈夫そうだね」


そう問いかけると、二人も頷いた。

俺は学校アプリの提出画面を開き、最終ファイルをアップロードする。


文書ファイル。

スライドデータ。


アップロード完了。

数秒後、提出完了の通知が表示された。


「提出したよ」


その瞬間、三人同時に小さく息を吐く。

教室の空気も、どこか安堵感が混じり始めていた。


「なんとかなったね」


日代さんが静かに笑う。


「だね」


俺も頷く。

自由研究が始まった頃は、ここまで続くとは思わなかった。

けれど実際にやってみて分かったことは多い。


環境や習慣で集中力・メンタルは変わること。

自分に合う方法の探し方はいろいろあること。

試行錯誤していけば、自分に合う形へ近づけること。


「次は成果発表だね」


日代さんの言葉に、俺は現実へ引き戻される。


「俺らの研究、万が一選ばれたりしないよな?」


万和人が聞いてきた。


「どうだろう」


選ばれる可能性はそれほど高くないと予想するが、結果が出るまでわからない。


「まあ念のため、発表する覚悟はしておこう」


俺の意見に二人が頷く。続けて、


「ああ、それと、文化祭展示用の資料作成をしなきゃいけないね」


念のためそう伝えると、万和人が応える。


「あーそれ、俺がやってもいいか?」

「ホント?」


日代さんが聞く。万和人は軽く頷いた。


「うん。報告資料作ったし、きっと俺が一番早くできるから」


俺はその意見に賛同する。日代さんも頷いて納得したようだ。


「なら、頼めるか?」


俺がそう言うと、


「おう」


万和人が意気込んだ。


夏の自由研究も、いよいよ終わりが近づいてきた。

あとは成果発表を残すのみ。それまでは気を抜かずにいこう。


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