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文学少年の恋物語 〜令和版源氏物語〜  作者: AYASAM
1年生2学期
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109/117

生徒会長選挙

 10月上旬のある平日。五時間目。

今日の午後は生徒会長選挙だ。場所は体育館なので、昼休憩の後、体育館へ向かう。


「候補者の動画のさ」


隣を歩くライトが俺に声をかけてくる。


「演出、けっこう派手じゃなかったか?」

「うん、ゲームのOPみたいだった」


そう感想を述べると、ライトが吹き出した。


「ぷっ。的確だな」


そんなくだらない雑談をしながら、二週間前のことを思い出す。

「文化祭前に生徒会選挙を行います」――担任の一ノ瀬先生から告知があり、日程や立候補方法の説明もあった。


生徒会長は二名まで立候補可能で、書類提出や推薦人の承認が必要だ。

立候補届が受理されると、正式な候補者として認められ、動画作成や校内挨拶といった選挙運動を行うことになる。

副会長や書記、会計といったその他の役員は、会長が決まった後に推薦で決定されるらしい。

俺は特に関わる気はなかったため、話半分で聞いていた。


二年生の候補者が二人承認されると、彼らは選挙運動を始めた。


動画は主に2つ。独創的な自己PR動画。そして、学校に関する特定のトピックについて、放送部と対談をする動画だ。

これらは投票の一週間前にアプリ上で公開され、生徒は投票の前日までの視聴が義務付けられた。


そして挨拶運動。


「学校行事を盛り上げます!」「勉強しやすい環境を目指します!」


朝と昼と放課後、昇降口の前で候補者たちは声を張り上げていた。とても熱心だと感じた。

なんとなく眺めていただけだが、雰囲気は掴める気がした。


体育館の入り口を抜け、クラスごとの列に並んで座る。



 しばらくして、演説が始まった。


推薦人演説、そして候補者の生徒Aが壇上で文化祭や学校の目標に関する考えを述べる。


「皆さんの協力があれば、より良い学校が作れます」


俺は軽く頷き、ふーんと心の中で受け止める。


続いて候補者Bとその推薦人。学生の声を尊重して、協力できる学校環境を作ることを強調する。


「皆さんの意見を大切に、全員が参加しやすい学校生活を実現します」


堂々と話す様子を見届けながら、話に耳を傾ける。



 そして演説が終わる。次は投票時間だ。


全員がスマホを取り出して学校専用アプリで投票する。

俺も迷わず選択し、画面を閉じる。


投票時間が終わると、集計に移る。アプリ投票のため、瞬時に集計がなされ、生徒会長が決まった。


パチパチと拍手が起こる。


そして、選挙が終わり、続いて任命式。

特筆すべきこともなく、無事終了した。


教室に戻るとき、ライトが俺の肩を軽く叩き、「和人。来年、立候補してみないか?」と聞いてきたので、「いや、それはちょっと……」と苦い笑みを浮かべた。



 数日後、新生徒会メンバーが発表された。会長、副会長、書記それぞれの名前があった。

特に関わりのある生徒はいないため、どこか他人事だ。


今年の選挙は、淡々と流しただけだった。

別に志があるわけでもないので、仕方ないといえる。


最近の青春ラブコメだと、こういう選挙には何かしらドラマがあるものだ。

ヒロインを応援する、あるいは対決する。もしくは陰ながら騒動に巻き込まれる。

青春が詰まっているイベントといえる。

今回はただ静かに眺めて終わってしまったので、ほんの少しだけ残念な気がしないでもない。

せいぜい生徒会ものの作品を読んで満足するとしよう。

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