32話 都合のよい神
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村は必要なもの意外は全て焼き払い、必要な家財を荷馬車で引き、40名ほどの魔族を引き連れて、俺たちは街に戻った。
アジトに着き、元冒険者組合の職員に引き連れた魔族の住まいを手配するように頼む。
そして俺はバケログテ、ミダリ、ラダールの元魔王親衛隊の3名と、人族のハゲ頭の冒険者アルビン、一緒に村に言った女冒険者のマービナ、エアーナ、ミミリー、そして元冒険者組合職員だったゲインズ、人族4名、俺を含めて8名が1階の広間の円卓テーブルに座る。それ以外者は広間から出て行ってもらった。
「どうしたよ?リーダー、改まって?行った集落で何かあったか?悪いもの食ったか?」
アルビンは座りながら、自慢の斧を杖代わりに両手で持ち、顎を乗せながら言う。
「きっ……きさま!バデール卿になんて口を!」
「はあぁ?バデール卿だ?なんだよ、こいつは!?」
ラダールが立ち上がり、アルビンに掴み掛かりそうなるのを俺は手を上げて止める。
「ともかく、どうした?俺にはまったくわからねぇよ!」
「そうですね。いきなり集落から帰ってきたと思ったら、村人連れ帰ってきて、話し合いするというのですから」
元冒険者組合のゲインズもアルビンに同調するように言い出す。俺は皆に向かって話し出す。
「俺たちが山間の部族で、仲間を探していると、一部には説明したと思う……」
俺はゆっくりと話し出す。
もしこの説明がうまくいなければ、この人族どもは全員殺さなければならない。
それとこの街から出て行くしかない。……かと言って魔族というのを打ち明けてしまうと、問題がある気がする。俺は考えて秘策を出すことにする。
「あれは嘘だ……実は我は神の使徒なのだ」
「「「 え? 」」」
「「「ふぁ!?」」」
全員が唖然として声を出す。特にバケログテ、ミダリ、ラダールの元魔王親衛隊の3名は何を言い出すのか?と口にしようとするが、手を上げて止める。
人族は弱き故に神を信じる。日本の世界の記憶でも守護霊呼んだりする団体や変な水や壷を高額で売りつけたり、はたまた解脱だかゲッツだか知らないが、無理やりジャンプして空中浮遊とか言いつつ交通機関に毒ガスをぶっ放す“宗教”団体もいた。
実際に神がいるか?そんな事は分からないが、ともかく人族は神を信じるのだ。
一方、魔族は神など一切信じない。信じるのは王族の血筋のみ。“何言い出しちゃっての?この魔王は?”って表情のバケログテ、ミダリ、ラダールのこちらを見つめる目が痛いが……そのまま俺は話し続ける。
俺は口から出任せと生前に日本でいた記憶で話を紡ぐ。
「黙っていて申し訳なかった。我は神に選ばれた使徒だ。聖なる国を作るべく戦った……だが邪悪な悪魔に我ら種族は負けてしまったのだ……いや、これが試練なのだ。我はここに神の国を興すべきここにおるのだ」
雰囲気かもし出すように俺はゆっくりと話す。
「我はこの時より、再び聖なる国を、エルカンター……いや、グランダールを興す!」
「なっ……なぜ今なって?集落に行って、何かあったのか?いや、あったのですか?」
人族のアルビンが目を見開いて俺に言う。
「……時は来た!ただそれだけだ」
俺は見事に言ってのける。
隣でバケログテが若干、笑っているように思うが、お前ガッデムすんぞ?
「で、ですが……か、神ですか」
元冒険者組合のゲインズが疑問そうに言う。
あ……やっぱ、そう思うよな。
いきなり神とか神の使徒とか“なに言ってんの?”とかなるよな。
どうしようか、この国の国王の守護霊でも呼び出そうか、いや、この国王知らないし、どうするか。
なにか神の奇跡でも起こさないと無理か。
このバーシツト卿の記憶では、この世界に魔王の王族だけが使える“空の魔法“と呼ばれる魔法がある。バチバチと。つまり電気、雷魔法。どうやって電気を出しているのか不明だが、俺は使える。
なら、これで……と思い立ち、雷魔法でテーブルの上に“塊を出す”。何ボルトあるか分からないが、テスラコイルのように光り、バチバチと音を立てる。その塊を街の教会の前で見た何かの石像に似せて変形させる。
「な!!? 神サデバルト!!」
ゲインズがそういうと、人族4名が目を見開いて電気の塊を見る。
あ、そうなんだ、この像は神サデバルトなのか。初めて知った。というか神でよかった。神社でいう狛犬的なの呼び出したら“あれ?なにその門番?”とかなるものね。
あとはあれか、電気ショックか、まぁ死なないかなと軽く全員にバチっ少しだけ感電させる。
全員が椅子から転び落ちる。……やりすぎたか?
というか魔王親衛隊にはやる必要なかったな。茶番だと分かってるのに。
電気の塊を消して俺は、俺は椅子から立ち上がり、テーブルから離れた場所に立ち、皆を見る。この茶番で人族が信じて貰えるか……これは賭けだ。
椅子から転び落ちた皆が震えるようにこちらを見上げる。
やはり電気強すぎたか……。
その瞬間、慌てるように皆が俺に近づき、足元に跪く。
「神の使徒バデール卿!」
「我ら今、神の信託を受けました!」
「聖なる国を興すべく我が身を持って!」
口々に言う。
だ……大成功!人族よ……愚かな種族よのうぅ。
「我ら使徒の種族も!」
バケログテ、ミダリ、ラダールも同じように言う。
あれ?魔族なのになぜ?お前らまで??
神なんて信じているのか??乗ってくれているのか?




