28話 遺跡へ向かうが、
当初、74名だった俺達“バデールズ“は、現在では冒険者以外の事務や内部の細々した作業も行なってくれるメンバーも入れると154名となった。手伝いに来る孤児院の子供たちや近くの鍛冶屋や道具屋、一階でなぜか飲み屋をやっている人もいれると、200名近い。
「これだけの組織はもう軍隊のようですな」
家で、朝の出撃前の話し合い前に元組合職員だったゲインズが俺の横で呟くように言う。俺がその言葉を聞いて彼の顔を見ると、ゲインズは続けて話す。
「これもボスの賜物ですよ!バデールの杖があれば……正直、このまま大きくなれば、このロニアテ王国の騎士団さえ勝てそうな気がしてきましたよ。あはは」
いや、無理だろ。
しかしこの街の過半数の冒険者が集う俺達の組織は大きくなった。彼が言う魔石に魔法を込めた杖のお陰で、ここまで大きくなったのも事実。そして、まだバデールズがどこまで組織が大きくなるのかは分からない。
それにしても森の中にあるという遺跡には一向に辿りつかない。本当にあるのかも怪しいが。
会話の流れで、その話をすると、“腕の立つ数名や杖を装備した数名で探索したみたらどうですか?”と、数名が言ってくる。
……確かに。
その後の朝の話し合いで、俺とミダリさんで森の中に探索へ行くと話す。
「あたいは一緒にいくよ!死んでもいくよ!」
「私も行きますから!」
「勿論です!私も!」
「いや、死んだら無理だし、危ないから!」
「がはは!ボスはモテモテだな!」
「いや、アルビンさん、茶化さないでくださいよ」
マービナ、エアーナ、ミミリーの三人も言う事を聞かず、最後にはそれぞれ“罠を良く知ってる”という理由から、5人で探索隊として向かう事になった。また俺が居ない間、狩りで使う杖については、5~6日分の在庫を多めに作り、俺達、探索隊は森の中に切り開いてる道の先を向かった。
起伏の多い原生林を歩きながら、これは迷うかもと、強めの風魔法で先まで木々に傷を付けながら進む。少し呼吸を荒げながらも一緒に歩くマービナに尋ねる。
「その遺跡の事、他に知ってることは?」
「噂で魔物が湧いてくる場所ってことぐらいしか……見た人もいないし、本当に噂ね」
「あ、その事なんだけど、思い出したことがあって!森の奥深くに赤く光る目があって、そこが遺跡だって!」
ミミリーが聞こえたのか会話に混ざる。
聞くと街の北西に集落があって、その村からの討伐依頼で仕事したときに、集落の人から森について聞いた事があるという。どうやってその赤い目を見たのか聞きたいが、それも集落の人は教えてくれなかったという。
「あれは何か隠してると思ったけど、呪われるのが怖いからそれ以上は聞かなかったよ」
「呪われる?」
ああ、あの集落ね?とエアーナも会話の混ざる。聞くとロバル街から北西にあるその集落は呪いの集落と言われているらしい。
「なんでも、色々儀式があって、怖いのよ……変な飾りも沢山あるし、その上、自分達は“魔族の子孫だ”っていうしね。冗談にしても笑えないわよ。魔法も使えない集落の人が自分は“魔族の子孫”なんて……ねぇ?魔物の討伐じゃなければ絶対行かないわ、あの集落」
「「え!?」」
俺とミダリさんはその言葉を聞いて驚いたような声を出す。
「なんでそれを先に言わない!あぁ……ミダリさん!」
「ああ、今から向かうぞ!」
え?なになに?と3人は驚くが、俺達は引き返す。
切り開いている道へ1刻程で戻ると、バケログテさんと見つけて、近くまで行き声をかける。
「お?どうした?忘れ物か?」
バケログテさんの近くまで行き、小声で先程の事を伝える。一瞬、驚くような顔をして直ぐに彼も一緒に行くと話がまとまる。他の冒険者には忘れ物だと伝えて、そのまま6人で、彼女達の案内でその集落に向かう事になった。聞くとロバルの街から1~2刻で行ける距離だというので、ボロークに引かせた馬車で向かう。
どうしたのさ?と聞く彼女達に、“親戚かも?“と、魔族という話題は誤魔化しながら馬車を走らせる。
そして、俺達は集落に1刻も掛からずに到着した。




