27話 武器を持って、突撃せよ、
「す……すげぇよ!バデールさん!こ、これなら」
「あぁ、この魔道具があれば!魔物を一撃だろ!」
「これはすげぇ!!」
皆が先ほど彼が魔法を放った箒を触りながら、騒ぎながら俺に尋ねる。
これなんて名前なんです?
……え?名前ですか?単純にそこらにあった箒と魔石だけですが。
誰から叫ぶ。
「バデールの杖さえあれば俺達は無敵だ!」
あ、そういう名前になるんですね。
一度、俺達の家に戻り、今後の行動が決まる。森を伐採しながら、魔物を狩り、その魔物をピストン輸送で冒険者組合の買い取り場へ運ぶ。森から街の組合まで往復で1刻程、5台の荷馬車にそれぞれボロークを繋いで、冒険者5名と“バデールの杖”を装備した2名、約半数近い35名が狩った魔物の輸送係り。残りが魔物狩りと木々の伐採となった。
また魔石は石炭のように街の雑貨屋で1つ小指ほどであれば、120ギルで、拳大のものでも500ギルで買えるということで、荷馬車に乗るだけ購入した。
そして俺は森の入り口で伐採した枝に魔石を抓むように挟み込み、魔力を込めて、荷馬車に動向する僅かな魔力を持つ冒険者に使い方を何度も教えて、その杖を渡す。
実際、何度か大型の魔物に襲われたようだが、無事倒せたらしい。1名だけ噛まれたと怪我をしていたが、大事には至らずに終わったらしい。さすが冒険者だ。
せっせと魔石に魔力を込めているなかで、少し色々と試してみると、拳大の魔石で7~8発は魔法が込めることができる事が分かる。また込めた魔石は明るい場所だと分かりづらいが、うっすら光ってるようだ。時間が経てば込めた魔力も多少は減っていくのだろうか?これは後で調べる必要があるな。
それと、俺の横には何故かマービナさんやエアーナさん、ミミリーさんが俺の護衛になっていた。“バデールの杖”を作りの護衛という事らしいが……別に護衛いらないとは思うが。
その日は午後から狩りで67頭の魔物を狩る事になった。また伐採して進む作業だが、腕も回りきらない太い木々を伐採するのは1本で数刻掛かるため。40名近い人数で行なったが、20メートルも進まなかった。
翌日も、また翌日も狩りと伐採が行う。稼げるチームと組合で聞いたのか、気がつけば10日程経つと、家に冒険者が毎日のように数人が冒険者組合の職員を伴って訪問してきて、“仲間に入れてくれ”“お願いします”と来るようになった。職員もぜひ彼らの面倒を見ていただきたいと頭を下げる。
仕方なしに承諾すると、今度は冒険者組合を退職した職員を雇ってくださいとか、どういう伝か分からないが、元商人の男が訪問してきて雇ってくれと願いにくるようになる。
人が増えて、夜は家で酒を飲む冒険者で混乱する日々も続くようになったが、ある夜、両腕に女性を抱いたバケログテさんとミダリが“ちっとは片付けないねぇとお前ら殺すぞ!”と怒り始めたこともあり、それが効いたのか、彼らは自ら率先して血のついた荷馬車や武器を綺麗に並べて整理するようになった。
流石に俺も杖造ってるばかりじゃ問題あると、マービナさん達に相談して、孤児院へ片付けを依頼してする事にしたり、鍛冶屋に魔石を嵌める為の金属製の棒を発注かけたりした。
1ヶ月……2ヶ月と経つうちに、元冒険者職員や元商人の彼らが率先して、勝手に組織の仕組みを提案してくれるようになった。
討伐する冒険者には月に1,200,000ギル、運搬のものには800,0000ギル、職員には……と。討伐する者は1日働いて2日休みとか。毎朝打ち合わせという名の会議が開かれて、昨日の買取額はこれくらいですから、こうしましょう、冒険者がこれくらい増えましたから、これくらいの収益が上がりますから、荷馬車を何台買いましょうとか……そんな具合だ。
そしてなぜか俺はリーダーや若と呼ばれていたが、途中から“ボス“と呼ばれるようになった。
夜に仕事を終えた俺達は家の広場に用意した大きなテーブルで酒を飲みながら話をする。いつのまにかこの家の元卸場というか広間は大衆食堂のように奥にカウンターが出来て、近所の酒屋が毎晩臨時で店を出してる。
伐採した木を利用して大きなテーブルや椅子まで用意されていて、本当に酒場のような状態になってる。
「さすがにボスはないですよね?ボスは?」
30名程が座れるテーブルにぎっちり俺達バデールズの主要な人間が座り、酒を飲みながら会話をする。
「いいじゃねぇか、バデール、いや、ボスか、がははは、
お前がすげぇ怖いって俺も奴らに教えてるからな!
バデールに逆らうと、全身の血を抜かれるってな!がははあ!」
「そうだ、ボスなんだから間違いねぇよ、
俺もいつも奴等に教えているぜ、最高の魔導師だってな!
おいおい、もう飲めネェぞ?」
バケログテさんとミダリさんはテーブルの向かいに女性を両腕に抱いて、女性たちに酒をお酌してもらっている。俺といえば、両脇にマービナさんがいるが、そこまで密着はしていない。
「あたい達も知ってるさ、最高の魔導師だってね。特に夜の特製バデールの杖がすごいってね!」
「がははあ!すげぇな!バデールの杖!そいつはどんだけ伸びるんだ?がはは」
「そりゃ、昇天するまでよ!うふふ」
おぉう……大人か会話だな……。
バケログテさんとミダリさんは、あの日を境に変わった。今では毎晩、がっつり女性を部屋に連れ込んで、ベットの上でスモールパッケージホールドを決め込んでいる。稼げる……かつマッチョな男だからな、モテモテなんだろうな。一瞬、ミダリさんへ“奥さんは?”言いそうになったが、それを考えて、悲しくなり俺も温くなった酒を飲んだ。
しかし森の奥へ進む作業は思ったように進まず、2ヶ月経った今でもまだ200メートルも進んでいない。
そして、俺が造った“バデールの杖”の噂が、冒険者と通じてロバルの街、そして王都まで話が流れるまで、そう時間が掛からなかった。




