22話 目指す道はどこにあるのか?
こんにちは、バデールです。
……現在に危険な状態になっています。
冒険者組合を出たら、数え切れないほど人族が、武装した同業の冒険者に囲まれています。両脇に立つバケログテさんとミダリもその状況を察して、瞬時にそれぞれ手に魔力を込め始める。
だが、数の多さからとてもじゃないが、数で押し切られるような人族の数。50、いや60~70人はいる。俺達がそれぞれ魔法を打っても、この距離では袋叩きになるだろう。
バケログテさんとミダリが彼らを睨みながら、小声で囁く。
「バデール……いいか、俺が地面に風を叩き付けるから、一気に逃げろ……」
「メケルアとミーアに、逢えたら、愛してたって伝えてくれな」
「そ……そんな……」
俺達は思い出した。
________俺達は数を上回る人族に追われて来た魔族だと。
忘れた訳では無かったが、暫しの安全で忘れようとしていたのかも知れない。だが、俺は瞬時に考えた。どうしてだ?魔族と身元がバレたのだろうか?それとも何か司祭とか魔術師が居て俺達の事を知ったのか?もしくは昔からいる冒険者に疎まれているからか?
バケログテさんが風魔法を打ち込もうとした時、囲んでいた彼らが、一斉に膝を地面に付きしゃがむ。彼らの防具の音で鳴り止んだ時、ひとりが大きな声で叫んだ。
「バデールズ!どうか!俺達を!仲間にしてくれ!」
___え?
口々にそれぞれの冒険者が“お願いします!!”と声を上げる。
その声で俺達は唖然とした。
その後、俺達と囲んでいた人族の代表と思われる数名が、冒険者組合の一室を借りて、会議が始まる。
彼らが言うには、俺達がいつも狩る大きな熊、正しい名前はフォレストベアだが、それは手練の冒険者6名が2チームで罠を仕掛けながら1~2日をかけて狩る魔物で、それ以外の魔物も10~20人で狩るような魔物。それを3人で毎日数頭狩ってくる俺達は憧れであり、前々から一緒に狩りに行きたかったらしいと。
話し合いで聞くと、俺達を囲んでいた冒険者は70名近くで、この組合には200名程在籍しているらしいが、それほど稼げていないのが現状だという。
「バデールさん!お願いします!俺達、本気なんです!」
「そうよ!私達も!」
「頼む!バデールさん!」
ハゲ頭の厳ついオッサンと目つきの悪い女性、それと若そうな青年が俺に拝むように問う。え?俺になぜ問う?バケログテさんとミダリさんのほうがマッチョで相談する役割じゃないのか?
「お前がリーダーだ、決めていいぞ」
「ああ、そうだ」
「ちょ……ちょっと待ってください!あ、3人で少し話しいいですかね?」
バケログテさんとミダリと3人になり話し合うことになった。気まずい沈黙の中、ミダリさんが口を開いた。
「俺達は追われて、逃げてきたんだよな?」
「ああ……そうだな」
「そうですね……」
言葉は少ないが、考えている事は同じだと認識した。
生まれ育った封印された魔族の村。そこに押し寄せた残忍なロアン人。俺達は家族や仲間を失った。転移魔法で脱出した仲間を探す旅を続けて、俺達は今後もさまようのか? だが俺達は数で上回る人族には勝てない。いや、祖先の軍を率いていた魔王バーシツト卿でも打ち破ることが出来なかった人族を敵にして勝てる訳がないのだ……。
今、取れる選択は限られている。
このまま3人で情報を集める日々を続けるか、人族の仲間を増やして進むか。だが人族を嫌うバケログテさんとミダリはそれが可能だろうか。
「あの!……」
俺が声を上げる。二人は半ば諦めてようにこちらを見る。
祖先バーシツト卿は残忍なロアン人と戦い我々は封印されたが、同じ人族かもしれないが、ロアン人が敵であり、この王国は別の人族だと、苦しい例え、“それは同じ蛇でも種類が違うなら……”と二人に説明をする。
二人は大きくため息をついて、返事をする。
「ああ、バデール。分かってるさ、」
「安心しろ、天才バデールさんの考えは分かってるって、なあ」
再び俺達は冒険者と合流する。
そして俺は彼らに告げる。
「一緒に頑張りましょう!」




