13話 旅は道づれ?
ノリで書いています。
誤字脱字もあると思います。
ご指摘くださいませ。
翌朝、食堂で出された朝食を食べながらミリーデ達の話を聞く。デリダルさんの話では、西にあるニーミの街で数日滞在し、更に西にあるロバルの街へ向う。ミリーデはそこで魔法学校に入り、執事のデリダルさんは、それを見届けた後に、更に北にあるミガベジーニへ使者として向うという。
「あのさ、宿や食事をありがたいが、俺達は別に雇われた訳じゃない」
「なによ!貴方達は蛮族で逃げているのでしょ!!私みたいな貴族の一緒にいれる事を感謝しなさい!」
彼女いわく、ロニテア王国で逃げているのに貴族と一緒にいられる事を感謝しなさいということらしい。バケログデさんもミダルさんも、このお嬢さんに何を言っても無理だと無視してガツガツ黒パンと焼いた肉を食べながら、お前が話して決めろと丸投げ状態だ。
俺も面倒だし、宿と食事が提供してくれて、情報が集まるなら同行する事にした。予定として今日のうちに準備をして、ニーミの街へ向うという。ロバルの街までは、このあといくつかの街を経由して、20日程でたどり着くとも聞く。目下の目標のニーミの街は街道があり2日程で着く距離だという。
食事が終わると執事のデリダルさんと唯一の護衛生き残りダゲーラさんが2日分の野営物資を買いに向う。聞くと、盗賊に追われているときに馬車を軽くするために、不要な荷物は捨てたからだという。この村は人が少ないが街道沿いということで、小さな商店はあるというのでそういった店があるという。俺も何か買ってもらえないか?というとならばお手伝いくださいと一緒に買出しに向う。
店に入ると、2日分の食糧。それと俺の装備……まずは靴と下着を買ってもらう。それにしても靴はありがたい。最近まで自分達で獣の皮で作った靴だったからな。足汗でヌルヌルするしね。盗賊の血のついたローブでは問題でしょうと、デリダルさんは黒いローブと手荷物が入る革の鞄を買って渡してくれる。
「本当は杖もお渡ししたいとこですが、お店に在庫がないそうで……申し訳ありません」
「いえいえ、これで十分ですよ!」
ああ、気の利く方だ……さすが執事。早速。俺は、黒いローブに店先で着替える。聞くと俺達が着ていたローブはいかにも魔法使いで冒険者が強くみせようとカッコをつけようと着るものらしく、こちらのほうがいいですよと、落ち着いて、高級そうなローブを3着も買ってくれた。ちらっと値段を見ると1着12,800ギルと書いてある。このロニテア王国の相場が分からないが、たぶん高級なのだろう。盗賊たちの住処から俺も少し貨幣みたいものを拝借してきたが、いずれ使い方を聞かないと。
2日の食糧を馬車に積み、俺達はその日の昼までには街道を東に向った。日が落ちて暗くなる時には街道沿いで開けた場所に出て、そこで野営する事になった。ミリーデは箱馬車から出てこない。疲れたので休ませて欲しいと。
ダゲーラさんと執事のデルダルさんと、俺達で焚き火を用意して手鍋で干し肉を茹でて食事の用意をする。猪に似た獣の肉で、身が厚切りで固いので、ザックリと斧のような包丁で切り分けて鍋に入れる。随分とアクが出るので、俺はアクを取りながら見ていると“これも一緒に煮込んでください“と侍女に言われて、乾燥した枝のようなものも入れる。”あとは私が“という侍女さんがいうので、俺は執事さんに顔を向けて話しかける。
「盗賊も出るなら、どうして護衛が少なかったのですか?それに貴族なんですよね?」
デルダルさんに聞く。
「そうですな……。いずれ分かる事ですので、お話を……」
デルダルさんは言いずらそうに事情を話す。彼女エッツオ家の長女で侍女と一緒に、ロバルの街へ向う最中で、執事さんはロバルの街の近くのミガベジーニで使者の役割を担っていたという。色々とデルダルさんは回りくどく説明するが……要はエッツオ家はロニテア国では貴族に属しているが、田舎の貴族。更にエッツオ家は現在、お家騒動中だという。
「でも、貴族だかなんだか知らんが、長女なんだろ?……まぁお前らの事情は知らんが」
バケログテさんが火を枝で突きながら小声で言う。
「えぇ、ですが……、本来家を継がないはずの長女のミリーデ様が継ぐ事になりますので」
デルダルさんは何故か落ち込むように言う。
良く分からないので聞くと、この世界の貴族の家は長男が継ぐらしいが、優れた魔法使いとなれば、爵位を持ち、領主として継ぐ事ができるらしい。エッツオ家はミリーデより7歳年上の長男がいるが、妾の子であり、さらにミリーデは本妻の子。さらに優秀かどうかは分からないが、ミリーデに魔法使いの才能があると分かり、領地内の豪家がいくつかの派閥に分かれているという。今回護衛が少なかったのも何かあるのでは?とデルダルさんは言う。
「でも!ここからは大丈夫ですよ!ほらこのお二人が……痛いっ!うぅぐ!」
護衛のダゲーラさんが裏拳でミダリさんに、殴られる。“お前は黙れ”と睨まれてひぃひぃ言っているが。
「申し訳ございませんが、いずれにしてもこの先の街、ニーミへ向い護衛を雇います。最悪、そこまでお付き合いくださいませ……気が向きましたら、ぜひロバルの街までご同行いただければ……」
深々とデルダルさんは頭を下げる。俺達は無言でそれを見て、渋々と頷いた。もともと俺達は村の仲間を探すしか目的がないのだ。現状は情報を集めるしかない。
それから俺達はグランダールという地名は本当に心当たりがないか聞くが、分からない返答を貰う。このロニテア王国も魔物が出る大きな森がいくつも存在している上に、他の種族も独自に生活もしているため、完全に人族が統治している訳でもなく、“もしかしたら、その名で呼ばれる場所もあるかもしれません“とはっきりしない答えが返ってくる。
しょんぼりした顔つきのバケログテさんとミダリさんに俺は、いずれにしてもロバルの街には魔法学校もあり、何かしら手がかりが見つかりますよと、小声で励ました。
煮ている鍋からいい匂いが漂い出した頃、馬車からミリーデが出てくる。どうぞと侍女さんに渡された器には、野菜と先程煮込んだ肉、それと乾燥した枝……あ、これはゴボウのような食感なのか。肉も脂身が乗っていて美味い。味付けは塩辛い。良いタイミングで侍女さんが“これを……果実酒です”と勧めてきて、飲む。
辺りは暗くなり、器から肉をフォークのような物で食べながら、夜空を見上げる。遠くで梟のような鳥の声が聞こえる。とりあえずニーミの街で何か村の皆の手がかりが見つかるといいなと思って果実酒を飲んだ。
その後、皆がそれぞれ寝静まり、焚き火がパチパチと音を鳴らす音だけが響く中、俺は少し離れた場所に移動して、夜空に浮かぶ星を見ながら今後の事を考えていた。まずは人族の街へ行き、情報を集めてから……と。
「ちょっといいかしら?」
「ああ、どうぞ」
ミリーデが俺の隣に座る。
「あのね、実は私ね……」
彼女が口を開きかけたとき、土を蹴る蹄の音と街道のほうに何か動くものが見えた。この時間も進んでいるのか?と目を凝らすと、街道を外れて、数頭のボロークが何かを乗せ、こちらのほうに走ってくるのがうっすら見えた。そして俺は答える。
「狙われてるとか?」
「え?なんで分かるの!?」
そりゃ分かりますよ。だって……ほら、こっちに向ってくるボロークに乗っている人族、剣とか構えてるもの。




