番外編5「ノク、ひとり立ちの日」
神田が珍しく、隣町の福祉連絡会に出張となった日。
「今日は、全体の責任者はノクに任せる」
その一言に、ノクは一瞬凍りついた。
「ぼ、ぼくが……全部?」
「大丈夫。周りにはリリもレオンもいる。困ったら、ちゃんと頼れ」
朝、いつもより少し早く目覚めたノクは、制服の襟を整えながら深呼吸をした。
「よし……やれることをやろう」
午前中は順調だった。
リネン交換、点呼、記録魔法の操作。
ヴァルゴの助言もあり、全体の流れを滞らせることなく進められた。
しかし、昼過ぎ。
妖精族のラルナが転倒してしまった。
「大丈夫ですか!? どこか痛くないですか?」
ノクは即座に対応し、周囲に声をかけ、レオンに連絡。
幸いケガはなく、驚いて腰を抜かしただけだった。
「ノクくん、びっくりしたね。でも、すぐ助けてくれて、ありがとう」
その一言に、ノクはほっと息をついた。
夕方、神田が戻ってきた。
「どうだった、今日一日」
ノクは少し照れくさそうに笑って言った。
「失敗もありました。でも、みんなが支えてくれて、なんとかできました」
「それでいい。最初から完璧なんてない。誰かと一緒にやる、それがチームケアだ」
ノクはその言葉を胸に刻んだ。
その夜、ノクの机には一枚のメモが残されていた。
『今日の自分を、信じていい。次もまた、やれるはず』
今回はノクにスポットを当てた“成長”の一日を描きました。
経験を重ねながら支え合い、少しずつ自信をつけていく。
そんな“介護の現場らしさ”が、読者の心にも響けば幸いです。
次回は、セカンドリーフの日常をゆるやかに振り返る、エピローグ風の特別編に続きます。




