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第45話「春風、残る影」
ミラが去った翌朝、セカンドリーフはどこか静けさを帯びていた。
リリがテラスの椅子を整えながら、ふとつぶやく。
「なんだか……ちょっとだけ、春が進んだ気がしますね」
神田は笑みを浮かべて応える。
「誰かが来て、去って。それでもまた、ここは変わらず続いていく」
その頃、ノクは事務室でミラが置いていった報告書の草稿を見つけた。
そこには、きれいな筆跡でこう記されていた。
『評価とは異なる指標が、確かに存在する。これは制度の始まりであるよりも、ひとつの“証明”である』
ノクはその言葉を胸にしまい、そっと神田に伝えた。
「ミラさん……ちゃんと、見ていってくれたんですね」
神田は目を細めて、うなずいた。
「そうだな。——でも、ここからが本番だ」
春の風が、縁側を優しく吹き抜けていった。
今回は、ミラが去った後のセカンドリーフの“静かな余韻”と、彼女が残していった言葉を中心に描きました。
大きなことは起きなくても、誰かの思いが確かに残っていく。そんな雰囲気を感じていただければ嬉しいです。
次回からは、また利用者や職員たちの日々のエピソードへと戻っていきます。




