第30話「薬草と布と、ありがとうの重み」
掲示板に貼られた薬草摘みの依頼。神田はレオンとともにその家を訪れた。
依頼主は、腰の曲がった年老いた女性――ラナ婆さん。種族はリザードフォークで、背中には薄く鱗が浮いている。
「すまんなあ、こんな年になっても薬草に頼らんと生きとれんでな……」
ラナ婆さんは照れくさそうに笑った。彼女の家の裏には、斜面を利用した小さな薬草畑が広がっていた。
しゃがみ込んで作業するのは、神田とレオン。
「これ、摘むときは根元をちょっと残すんですよ」
「なるほど……これでまた生えてくるんですね」
レオンは器用な手つきで根を痛めないように丁寧に摘み取りながら、時折ラナ婆さんに確認をとる。
一時間ほど作業が進んだ頃、ラナ婆さんが家の中から布包みを持って出てきた。
「これは娘が織った布と、山の蜂蜜。それから干し肉じゃ。あんたらのおかげで、ええ収穫になった。……ほんとに、ありがとうな」
神田はその言葉を胸に刻んだ。
今回は、掲示板から始まった実際の“支援”の現場を描いてみました。
神田たちは「介護」を届けているようでいて、同時に「信頼」や「安心」を受け取っている。
そのやり取りの中には、現実の訪問介護でもよく感じられる“ありがとうの重み”があります。
異世界だからこそ描ける素朴な交流を、今後も丁寧に綴っていきたいと思っています。
次回は、掲示板を見てやってきた新しい依頼者との出会いです。魔法と介護が交差する、新しい一歩をお届けできたらと思っています。




