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第29話「はじまりの掲示板」


 数日後、セカンドリーフの玄関脇に、小さな木製の掲示板が設置された。


「“支援のかたち”ってやつか……」

 神田は掲示板に貼られた紙を見上げながら、少しだけ照れくさそうに笑った。


 そこにはこう書かれていた。


【訪問支援について】

セカンドリーフでは、施設外の支援も行っています。

物品(食材・布・薪など)や労働(掃除・水汲みなど)を通して、

“つながりの証”をいただけると、助かります。

お互いを支え合う関係を、共に育てていけたら幸いです。


 言葉はリリがまとめ、文字はレオンが書き、最後にヴァルゴが魔力を込めて雨風に強くしてくれた。ささやかだけれど、皆の気持ちがこもった掲示だった。


「神田殿」

 背後からヴァルゴが声をかける。


「このような“見返りを求めぬ善意”を、我は軽んじてはおらぬ。しかし、続けるためにはやはり……形が必要であるな」


「うん。みんなの生活もあるし、こっちの負担が大きすぎれば、いずれ支えられなくなる。……だからこそ“対価”って大事なんだと思う」


 神田は少し遠くを見るように言った。


「本当は、利用者の“ありがとう”だけで続けられたら、理想なんだけどね」


「だが、理想の中に現実を据えるのが“道”というものだ」


 ヴァルゴの言葉に、神田は思わず笑った。


 その日の午後、さっそく最初の依頼が掲示板に貼られた。


「薬草摘みの手伝いをお願いしたい。腰が曲がって長時間しゃがめない」

【提供できるもの】山の蜂蜜、干し肉、娘の織った布


 神田はそれを見つめ、深く頷いた。


「さあ、動き始めたぞ……“介護”の仕組みが」

今回は、セカンドリーフに“掲示板”という新しい仕組みが生まれるお話でした。


介護の現場では、「必要な人にどう届けるか」という仕組み作りが本当に大事になります。

異世界でもそれは同じで、掲示板という形で「誰が、どんな支援を求めているのか」を“見える化”することは、大きな一歩です。


この掲示板が、ただの情報のやり取りだけでなく、

「誰かが誰かを思い、支えたいと願う気持ちがつながる場所」になっていく。

そんな未来を、神田たちは少しずつ形にしようとしています。


次回からは、実際に掲示板を使った支援の物語が始まります。

そこにどんな人たちがいて、どんなありがとうが生まれるのか。

楽しみにしていてください。



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