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第28話「対価のかたち」



 午前の見守りを終えた頃、施設の扉が開き、一人の村人が駆け込んできた。


「神田さん、手伝ってほしいんだ!祖父がまた腰を痛めて……自分らだけじゃどうにもならなくて」


 神田はすぐに応じた。リリとヴァルゴに施設の状況を託し、レオンを伴って村の外れの家へ向かう。


 現場では、腰を痛めた老ハーフリングが畳の上にうずくまっていた。神田たちは丁寧に体位変換し、レオンが治癒魔法で痛みを和らげる。


 落ち着いた頃、家族が頭を下げる。


「本当に助かりました……お礼がしたいのですが、何も……」


 神田は静かに首を振った。


「気にしないでください。僕たちは、できる範囲で支え合いたいだけですから」


 けれど、帰り道、レオンが口を開いた。


「……このままだと、訪問を続けるのは厳しいかもしれません」


 神田も頷く。






「そうだな。人手、時間、物資……いまの体制じゃ、いつか限界がくる」


 その夜、セカンドリーフの談話室では臨時の職員会議が開かれた。


「訪問の継続には、やはり“何かしらの対価”が必要ではないか?」と、リリが口火を切る。


 ヴァルゴも頷く。


「価値ある行為には、価値ある返礼を。これは我が世界でも同じ理である」


 神田はしばらく考え、口を開いた。


「金銭でも、物品でも、労働でもいい。“負担”ではなく、“つながりの証”として受け取る。……そんな形なら、どうかな」


 皆が静かに頷いた。


 新たな訪問介護の仕組みは、まだ形にならない。けれど、“支え合い”を続けるための一歩は、確かにそこに芽吹いていた。

今回は、訪問介護の“持続可能性”をテーマに描きました。


現実の介護現場でも、「善意だけでは続けられない」という壁に直面することがあります。

異世界という舞台でも、それは同じで——誰かを支えるという行為には、時間も体力も、人手も、そして資源も必要です。


だからこそ、“対価”というものは冷たいものではなく、「つながりの証」として受け取れるものであってほしい。

そう思いながら、神田たちの次の一歩を描きました。


次回は、この新しい仕組みをどう地域に広げていくか。そして、それにどう向き合う人々がいるのか——

そんな視点で描いていけたらと思っています。

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