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【第21話】嵐の前の静けさ――新たな問題の影、迫る


春も深まり、セカンドリーフの庭には花が咲き始めていた。


「今日の天気、いいなぁ……洗濯日和だ」


「午前中は訪問支援、午後は認知症の体操教室。

 夜は詩の会合。ん……これ、職員のスケジュールじゃないな」


優一は、掲示板に貼られた職員表を見て頭をかいた。


その隣では、ヴァルゴが日差しの下で詩集を書きながらパンをかじっていた。


「“咲く花は 老いの足元 飾るように”……ふむ、良きかな」


「ところで、ヴァルゴ。おまえ、いつから住み着いてるんだっけ?」


「この書庫塔(仮)は我が詩の聖域。我に問うは野暮というものよ」


「生活費どうしてんの?」


「パンの在庫整理、ゴミ回収、あと“癒やし朗読”でポイントが貯まると聞いて」


「それ完全に施設通貨じゃん……」


その日、王都から再び一通の書状が届いた。


封を開けた優一の表情が固まる。


「……“制度見直し”?」


レオンが顔を上げる。


「なんですか、それ……?」


「次回の定期審査までに、“登録職員数・魔法資格者比率・生活指導記録”の

 最低要件をすべて満たさないと、本登録取り消しの可能性がある、だってさ」


空気が凍った。


「そんな、じゃあ今のボランティアさんたちは……」


「制度上、“正式な職員”ではないから、評価対象外になる可能性が高い」


その夜、優一は一人、屋上で空を見上げていた。


(制度に合わせて変わらなきゃいけないこともある。

 でも――変えたくないことも、たくさんある)


そこにヴァルゴが現れた。


「詩を一つ。

 “変わる風 それでも咲いた 菜の花の”」


「……意外と慰めになるのな、それ」


「ふふ……我が朗読、今なら“精神安定魔法”の申請も通るかもな?」


「じゃあ給料つけるか……」


次の日。優一は職員全員を集めて、こう言った。


「制度の壁がまた一つ来る。けど、俺たちのやってきたことは間違ってない。

 だから、“守りながら、形にしていこう”。

 制度に食われず、制度を食えるくらい、柔軟に、でもしっかりと」


皆が頷いた。


「俺たちなら、きっとやれる。――“介護の未来”を、自分たちの手で」


次回:「仲間を守るために――認定職員試験、始まる!」


王都で“正式認定職員”となるための試験が始まる!

サラ、レオン、そして優一も受験へ――それぞれの覚悟と絆が問われる!

第21話まで読んでいただき、ありがとうございます。


今回は、介護を取り巻く“制度”の話に少し踏み込みました。


現実の福祉の世界でも、制度や書類、配置基準や人件費など――

現場の思いだけではどうにもならない“壁”にぶつかることがあります。


それでも、そこで立ち止まってしまわないために。

「なんとか続けたい」と願う人たちが知恵を出し合い、支え合って、

一歩ずつ積み重ねていくことが、介護という営みの力だと思っています。


今回の物語でも、理想と現実の間で揺れながらも、

登場人物たちが何を選び、どう行動するかを丁寧に描いていきたいです。


次回は、その“選択”が試される、大切な一歩が始まります。

引き続き、見守っていただけたら嬉しいです。



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