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アイビス!  作者: フユルト
第六章 流星は駆け、騎士は眠る
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激化する状況

筆が乗りに乗って長くなっちゃった…いいよね?

とある山岳に、一体の黒い竜が眠っていた。その山岳には白骨化した竜の亡骸がいたるところに転がっていた。その中で眠る竜は数百年生きている個体で、この世界で少数で倒せる者はそれほど多くはない。だが…


「グルルル…」


黒竜は何かに気づいたのか、空を見上げた。そして…ソレは突如現れた。空中から着地し、地面の岩を砕く。そこに居たのは、一人の女性を抱えた紺色の金属質な鎧だった。




「あら、私を見ても逃げないのね?よほど自信があるのかしら?それとも………」




「ウゴアアアァァァッ!!!!」





黒竜が咆え、目の前の小さき者に襲いかかる。それはまるで自分こそが強者であると証明するように。ここにもともと生息していた竜を一切の容赦なくあっさりと皆殺しにした。それもあり、黒竜は同種の肉を喰った事でさらなる力を得た。しかし、自尊心と傲慢さが肥大化すると同時に…













「私が何者か理解出来ないのかしら?」













………相手の力を測れなくなってしまっていた。






紺色の鎧が女性を庇うように前に立って背中の大剣を抜き、迫る黒竜の頬を面で叩く。たったそれだけで黒竜の牙が折れる。そして、切り返すようにして振り上げられた大剣の峰が黒竜の顎を打ち捉え、バキバキッと骨の折れる音が響く。




「グリュウァァァッーーー!?!?」




「《クリエイト:マリオネット》」




地面から青黒いラインの入ったゴーレムが大量に出現し、黒竜に続々と張り付き、登り、覆っていく。黒竜は暴れて抵抗するが、どんどんとゴーレムが這い出た地面に空いた穴にその身を入れられ、身動きが取れなくなる。しかし、黒竜はまだ怖気づいてなどいない。それは、自身の強靭など鱗が残されているからだ。




「グルルウウウアアァァッ!!!!」


竜は黒いブレスを女性に向けて放ったが、地面からまたしても現れた大量のゴーレムが壁を形成し、迫る炎から女性を守りきった。


「………どうやら矯正されたいようね…私の人形達?そこの汚らしいトカゲを黙らせて頂戴な」


その言葉に従うように、腕がまるで剣のように変形したゴーレム達が黒竜の口に殺到する。


竜の鱗は並大抵の武器では傷すらつけられない。それは年月を重ねるごとに強靭となり、何百年も生きたのならその防御力は計り知れない。だが、それを突破する方法は簡単な事だ………




………内側から攻撃すればいいのだ。大抵の生物は、外側は固くとも内側は柔らかく弱い。



それに気づいた黒竜は慌てて口を閉じて抵抗したが、それも虚しく紺色の鎧が大剣を横薙ぎに振るってその牙を砕いた事で無駄に終わった。


内部に侵入したゴーレム達が、剣に変形した腕で斬り裂いていく。返り血でその身が赤く染まろうともお構いなしに、奥へ奥へと歩みを止めずに腕を突き立て、斬り裂き進む。


あまりの激痛に叫ぼうにもゴーレムが喉を中から押さえつけてそれも出来ず、のたうち回ろうにも巨大な穴に頭以外の身体の全てをまるでプールの水のような大量のゴーレムによって押さえつけられている為、出来ることといえばもぞもぞと無様に抵抗する事だけだった。




「もういいわ、出て来なさい」



そして、とうとう黒竜が抵抗をやめて暫く経った後に、女性は口の中から体内に入っていたゴーレムに対して戻るように命令し、わざと黒竜の視線上に立たせた。




「さ〜て…」


「クキュルルゥ…」


カツン、カツンと、女性が一歩ずつ歩く音が響く。黒竜はそれに比例して恐れがこみ上げ、自身の返り血を浴びたゴーレム達を見て怯えてしまう。そして、頭の上に手を置かれて女性に対しての恐怖が最高潮に達した時…黒竜の運命が決まってしまった…















「《玩具:マリオネット》」


















そして、女性の触れた手から青い光が放たれて…………











「一応回復ポーションを飲ませておいたし…早く帰って寝たい…抱えてちょうだい?」


「…」


群青色の髪をした女性の言葉に、紺色の鎧はお辞儀をすると、女性の背中と膝に腕を通して…所謂お姫様抱っこをして帰路へと向かった。


「…さて、一応言われた通りのことはしたし、あとはあの白黒が勝手にするでしょう…ふわぁ、眠いわ…」


「…」




「グガルルルゥアアアーーーッ!!!」





…その背後の山岳では、身体に青い線を浮かべた漆黒の竜が飛び立っていた。





彼女の名は、群像の魔王:ルフィネス…傀儡を従え、人形のように操る魔王…彼女とヒイナ達が直接戦うのは、まだ少し先の話…







………




「…凄い…」




それはヒイナのミストルティンへの純粋な賞賛だった。初期状態とはいえ《流星》を使用したヒイナを越える速度に、サイクロプスを圧倒的な力で捻じ伏せる強さ。まさしく自身の上位互換である。




「だけど…」




ヒイナは、集団のゴブリン達が放った矢を全て回避する。それと同時に流星の雷光が一層強くなり、ゴブリン達へ一直線に加速する。その速度に驚き、呆けていた一体の首を通り抜けざまに刈り取り、すぐさま反転して十六夜で肩口から腰へ刃を振り抜いてがら空きの背中を両断する。最後の生き残りのゴブリンがやぶれかぶれで放った矢を、ヒイナは矢のシャフトと呼ばれる棒の部分を右手の甲で弾き飛ばし、振り抜いた腕を引き戻して喉笛に突きを放った。




「私は、役に立つから」




たとえ一対一ではミストルティンに及ばなくとも、敵が集団ならばヒイナのスキルは強力になる。そして、ヒイナはインベントリから取り出したマナポーションを飲み干すと、次の魔物へ駆け出した。






「ヒイナさん、頑張ってますね…」





迫ってくるグレートウルフを処理しながら、ミレアはヒイナから注意を逸らさない。初めは何かあったら自分が守らなければという思いでだったが、今はそんな考えも消え失せ、ただただ感心していた。


「私には無理だなぁ…」


ミレアには、ミストルティンのような速度や、ヒイナのような敵の攻撃をギリギリで回避するような技術はない。だが…



「聖剣…アステレスっ!!」



ミレアの言葉に呼応するように、聖剣から銀色の粒子が溢れ出す。そして、その粒子がミレアの全身に纏わりつくと、純白の防具が銀色に変化していき、髪までもが銀色になった。



「ウガアァッ!!!」


そこに、急接近したオーガが拳を振るう。ミレアは咄嗟に腕で防御した。普通ならミレアの腕は耐えられず折られて吹き飛ばされていただろう…しかし、実際にはミレアの腕はオーガの一撃を受けて無傷であり、その威力に微動だにしていなかったのだ。


「お返しですっ!!」


驚いたオーガの隙をついて、聖剣で脇腹を斬りつける。その刃はなんの抵抗もなく振り抜かれて、オーガを仕留めた。


ミレアの持つ聖剣:アステレスの能力は4つ。使用者へのあらゆるダメージを70%軽減、ノックバック耐性、全ステータス強化、そして全ての状態異常に対して強い耐性を得るというもの。


確かにミレアには、ミストルティンやヒイナのような速さや技術力はない。けれど、ミレアには聖剣がある。ただそれだけで、ミレアは十分強者足り得るのだ。





そして、ヒイナ達の健闘によってスタンピードは鎮められた。そして、一度報告のため帰還しようとした時…上空から黒いナニカが地面に衝突して、土埃が舞う。



「ウゴオアアアァァァーーーッ!!!」




そのナニカが翼を使って土埃を飛ばして、姿が顕になる。それは、身体に青いラインが入った異様な黒い竜だった………




Qスキル詳細ぷりーず

A↓

《クリエイト:マリオネット》

・群像の魔王の基本能力。魔力を消費することによってゴーレムを創り出す事が可能。創り出す数に上限はないが、魔力がかなり必要。どんな素材でも作成出来るが、土などは強度的に問題があるため、平原で使用する場合は土の層の下の石の層から作成する。


『群像の魔王の操り人形が、村を、都市を飲み込む…』



《玩具:マリオネット》

・群像の魔王の基本能力。対象が使用者に対して恐怖し反抗心がなくなった場合に使用できる。影響を受けた対象は使用者の忠実な操り人形となる。これは精神支配の魔法だが、精神支配耐性ではレジスト出来ない。ただ、死を怖れないプレイヤー相手ではあまり効果はない。


『心が折れた者は奴の傀儡となり、喜んで家族や仲間を殺すだろう』




Q群像の魔王ってなに?


A群像の魔王:ルフィネス

・他の魔王と同じ元は□□で、かつて存在した国の王女だったが、冤罪をかけられ処刑されそうになったのだが、なんど無罪を主張しても聞き入られず、そればかりか国民が「さっさと殺して晒せ」という心ない言葉に絶望し、そのせいで□□の■■に汚染されて魔王になった。その時に国を自身の操り人形で満たして殺戮をした。


Q横にいる鎧は何だよ

A「心中しようと何度も思った、『彼女も貴方の手で死ぬのなら本望だ』と言ってくれた…だけど、自分には出来なかった…」自身の無力さを嘆き、せめて隣に立って歩み、罪を背負おう事と、彼女を支配しようとしている□□の■■を討ち倒すと誓った騎士。彼の名を知るものは彼女だけ。





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