氷の大精霊:フィレ
「…何か、言うことは?」
「う〜ん…ごめんね?」
腕を組んで、あからさまに不機嫌そうな眼差しで見つめるフィレにカノンは舌をちろっと出して謝罪する。
「はぁ…許す」
「わ〜い♪」
小さくため息をついて諦めた様子のフィレに対して、カノンは脳天気に笑みを浮かべて喜んでいた…
時間は少し遡る…
カノン達は暫く時間を空けてアフテリアにある森のゲートを潜ると、そこには氷で作ったテーブルとイスで紅茶を飲みながら待ち伏せしていた氷の大精霊:フィレに遭遇した。
「えっ、えっと…」
「…ごめん…なさい…」
突然のフィレの丁寧な謝罪に、アオユキ達は驚いた。なにせ、初めにあった時はまるでバーサーカーの如く無差別に攻撃をしてきたのに対して、今はそんな雰囲気を感じさせないからだ。
「そうそう!!悪いことをしたら謝らなきゃね♪」
「…なら、カノンも、謝罪」
「え?なんで?」
「…は?」
フィレ、渾身の真顔からのガチトーンでカノンに圧力をかけるのだった。
回想終了…
「…で、何しに、来たの…?」
「ん〜…ちょっとこの青い髪の子が氷系統の素材が欲しいらしくてね?それならフィレちゃんが詳しいし、あとついでに加護をあげて欲しいな〜って…どうかな?」
フィレは口元に手を当てて少し考え込む…アオユキ達をちらりと見て、答えが出たのかカノンに視線を向けた。
「いいよ」
「やった、ありが…」
「ただし…」
喜びの声をあげようとしたカノンの言葉を遮って、フィレは言葉を綴る。
「最近、彼女がまた暴れ始めてる…彼女を鎮めるお手伝いを、して貰う…加護はその報酬で授ける」
「それは…ちょっと荷が重いんじゃない?」
「…なら、その程度の奴に、私の加護は与えられない」
カノンは出された条件に苦虫を噛んだ顔をしたが、フィレは頑として譲らない。
「ヴァトスは、そっちの、金髪の子には加護を、与えたみたいだけど…」
「そ、そうだよっ!!だからフィレちゃんも…」
「…なら、なんでカノンは誰にも加護を授けないの?」
フィレの言葉にカノンは目を背けて押黙る。まるで、何か知られたくない秘密に触れられたかのように、左手で右腕を押さえる仕草をする。それを見たフィレは目を閉じて小さくため息をつく。
「…まだ駄目なのか…それでもいいけど…いつかは真実を伝えないといけないから…」
フィレは透き通った黄金色の瞳をカノンに向けたあと、アオユキ達を自身の所有している屋敷に案内した。
そして、その夜…
「…ん、ここに居た…」
「…確か、アオユキ?…何しに、来た?」
とある一室のテラスで林檎酒を飲んでいフィレに、アオユキが話しかける。
「…貴方と話してから、カノンの様子が変」
「…そう、それは…」
「悪いことをしたな」と言って魔女が被っているような三角帽子の唾を持つと、顔を隠すように下げる。
「…教えて、カノンに、何があったの…?」
「…ごめん、なさい。それは、私の口から…それ以前に、本人の知らない所で、簡単に言っていい話じゃない…」
「…んぅ…」
「でも、これだけ…カノンは、ある事を後悔して、怖がってる…今はまだ、聞かないであげて…カノンにも、心の準備が必要だから…」
「…分かった」
フィレはアオユキが部屋から出たのを確認すると、空に浮かぶ月をぼんやりと眺める。
「…私も、覚悟を決めないと…」
その小さな呟きを聞くものは、何処にもいなかった…
Q彼女って誰?
Aもう登場してるけど、登場してない。
Q魔王とはまだ戦わないの?
A次の章から…
Qフユルト杯どこ行った?
Aいや、本当…近いうちに投稿するんで…許して下さい…
【精霊化】
精霊と何らかの繋がり…つまり、スキルなどによる繋がりがある場合、その精霊の性質を一時的に使用できる。だが、精霊よりもプレイヤーのレベルが低い場合は精霊化時の性能が大きく下がってしまう。火の大精霊:ヴァトスなどの大精霊で精霊化する場合は、【□□の大精霊の加護】が必要になる。




