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アイビス!  作者: フユルト
第六章 流星は駆け、騎士は眠る
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“流星”と“千剣”

…そして、現在ヒイナは訓練場に連れて来られていた…。


「えっと…本気でいいんですよね?」


「えぇ、殺す気で構わないわよ?」


ヒイナは白い刀身を持つ十六夜を取り出して正面に構える。対して、ミストルティンは細身の片手剣を構えていた。


「審判は私がやるよ…それでは、始めッ!!」


「〈流星〉!!」


水色と金色のエフェクトを纏いながら、ヒイナは一気に近づき十六夜を斜め上へ振り上げる…が、いとも簡単にミストルティンの片手剣がその攻撃を弾き、ヒイナの眉間へ最小限の動作で突きが放たれる。それをあと少しの所で回避し、少し距離をとる。


「あら、その程度なの?」


「むぅ…ならッ!!」


ヒイナは煽られた事に対して少し顔をむすっとさせると、抜刀の構えを行なって一歩踏み込む。


(さっきより速くなった?でも…)


他にスキルを使った様子はないので、先程から使用し続けている〈流星〉に何らかの原因があるのだろうと結論づけ、水平に振るわれた斬撃に対して片手剣の表面を滑らせるようにして弾き返し、身体を少し倒しながら前へ踏み込むのと同時に振り上げた片手剣を握る手を一瞬にして引き戻しながら刃を振り下ろす。だが、ヒイナはそれを屈んで避ける。そこへ突きを放つが、十六夜に阻まれダメージを与えられず、ヒイナに後退されてしまう。



「…隙がない」


ヒイナは冷静にミストルティンをそう評価する。自分の攻撃に対して的確に弾き返し、そこから最短距離で振るった武器を引き戻しながらのカウンター。はっきり言ってヒイナとの相性は悪い。


そもそも、ヒイナの使用している〈流星〉は敵の攻撃を弾くか回避するかによって自身を強化する能力だ。つまり相手の動きを見切っていないと被弾してしまう。被弾するとスキルの効果が切れてしまうので使う人によって強くなったり弱くなったりするスキルなのだ。しかも、今戦っているミストルティンはかなりの腕前だ。長期戦に持ち込まれれば自身の癖を見抜かれてダメージを受けてしまうだろう。


「もう終わり?なら…こっちから行くわよ?」


「…っ」


その瞬間、ミストルティンの気配が一気に膨張し空気を震わせる。その圧力に思わずヒイナは一歩後ろへ下がる。


「〈飛剣〉」


ミストルティンは剣を振るう。それはまるで剣舞を舞っているかのように美しいが、その刃はヒイナから距離があり、普通であれば届くことはない…だが。その剣を振るった動作に合わせて、大量の緑色のエフェクトを放つ斬撃がヒイナヘ殺到する。


「…よし、イケる」


斜めに振り下ろされたであろう斬撃を、身体を半歩ずらして避け、横薙ぎの斬撃を屈んで回避し、高速で振るわれた事によってバツ印となった斬撃は〈アクセルエッジ〉による加速を加えた回転斬りで対抗し、打ち砕く。その他に迫る斬撃をそうやって対処し、その猛攻を凌ぎ切った。


「中々やるわね」


「いいや?ここからが本番だよ…〈クル・レイドッ!!〉」


金の雷光が赤へ、水色のオーラが黒に染まる。そして、これからヒイナのHPは1ずつ減少する。その代わりに、HPが少なければ少ない程ヒイナのステータスは上昇する。


赤き雷光を纏った凶星が、ミストルティンヘ一瞬にして迫り、その刀身が高速で振るわれる。そこへ、ミストルティンの細身の片手剣が合わされる。現在、ヒイナのSTR値は〈流星〉の恩恵によって大幅に上昇しており、このままではミストルティンの剣が押し負ける…筈だった。


「〈千剣〉」


その言葉に呼応するようにして、ミストルティンの剣が緑色に光り輝き…ヒイナの持つ【白竜の爪刀:十六夜】を空へ弾き飛ばした…



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