書店と迷子
騎士アトラと模擬戦をした翌日、ヒイナはキルシュガルドと共に王都を観光していた。
「まずは何をするんだ?」
「ん〜、最初はネイル達にお土産でも買おうかなと思ってね…何かオススメとかある?」
「そうだな…ネイルには薬草とかの図鑑がいいだろうな…後、あの青いの…アオユキだったかには魔導書とかいいんじゃないか?」
ヒイナは、「魔導書?」と疑問に思った。キルシュガルド説明によると、魔導書とは読むだけでその魔法を覚える事ができるという大変強力な物らしいが…一度使用するとただの本に戻ってしまい、ある程度高いINT値を持たないと覚える事が出来ず、高価でとても値段が高いらしい。
そして、キルシュガルドの案内でヒイナは王都で有名な書店へ足を踏み入れた。
「おぉ…天井まで本が積んである…」
「あぁ、欲しい物があったらここの司書が取ってくれるからな…おーい、ドチビ」
「誰がドチビなのじゃッ!?私は偉大な…」
「あー、そういうのいいから…魔導書を売ってくれるか?えっと確か…氷属性の奴を頼む」
本が無造作に積み上がった隙間から顔をちょこんと出した幼女が講義の声を挙げるが、キルシュガルドはどこ吹く風だ。
「はあぁーーー…安全な氷属性のやつならアレとコレ、後はソレじゃの」
大きくため息をついた後、幼女は手に持った短杖を振ると、それに合わせて本棚から数冊の魔導書が飛び出し、キルシュガルドの目の前で空中に留まる。
「おう、ありがとな」
「はよ代金を払っ、て…」
その幼女が、キルシュガルドの背後にいたヒイナを見て目を丸くし、表情が固まる。
「“クロ”…?クロッ!!」
「え、えぇ?」
幼女はヒイナに抱きつくと、肩を震わせながら顔を埋める。
「アルニス、悪いがそいつはヒイナだ…あの人じゃない」
「すん…確かに、どことなく違うの…申し訳ない」
「いえ、大丈夫ですから…」
幼女はヒイナに対して謝罪をすると、表情を引き締め直す。
「…おほん、私はここの司書である賢者:アルミスなのじゃ、よろしくの?」
「賢者、という事は魔法にはかなり詳しいんですよね?」
「当たり前じゃ、ここにある魔導書は私が作ったものじゃからの」
「この数を…ちなみに、魔導書は一体どうやって作るんですか?物凄く高価らしいですけど…」
アルミスによると、魔導書を作成するには作成者がその魔法を習得していなければいけないらしい。
魔導書にするには、自身が覚えた魔法を特殊な本に移すらしいが…移しても覚えた魔法は消える事はないが、習得した魔法のレベルが下がるらしい。魔法のレベルが下がると、当然威力が減少したりするとの事。
「魔法のレベルは何千回何万回使ってようやく上がるような物じゃから、普通の魔法使いは魔導書を作るよりも普通に働いたほうが良いし、威力を戻すのにも時間がかかる…それに、特別な魔法ならいざ知らず、初級や中級の魔法では対して高く売れんしの」
それから話を聞いたり、色々な図鑑を買ってから店を後にする。その時に、「偶にで良いから話相手になって欲しい」と言われたので、一応覚えておく。
(それにしても…私の事を“クロ”っいう人と間違えてたけど、誰なんだろ)
そんな事を考えていると、いつの間にかキルシュガルドとはぐれており、辺りを見回すが人通りが多く見つけることができない。
「何処にいるんだろ…?あの子、迷子かな…」
ヒイナの視線の先には、黒いローブを着た幼い少女がそわそわした感じにキョロキョロと見回していた。
「えっと…大丈夫?迷子?」
「っ…!?」
黒髪に淡い紫色の瞳をした少女は私の顔を見ると一瞬、表情が強張ったが、直ぐにほぐれて声を出した。
「迷子…でも、いつもの事、連れがいるから、大丈夫」
「い、いつもの事…」
その時、少女のお腹からクゥ〜と可愛らしい音が鳴った。
「…コレ、私が焼いたクッキーだから、あげるね?」
「…ありがと」
「おーい、ヒイナ?」
「あ、呼んでる…それじゃあ、早く一緒に居た人に会えるといいね…バイバイ」
ヒイナは少女に別れを告げて、キルシュガルドの声がした方向に駆け出すのを…少女は小さく手を振りながら、クッキーをポリポリと口に運んでいた。その時、少女のもとに腰に細身の剣を挿した緑色の髪と瞳をしたエルフの少女が駆け寄る。
「ここに居たのね、ハデス…探したわよ」
「…見つけるの、遅い…ぽりぽり」
「勝手に離れたのはそっちでしょ…それは?」
「…貰った」
ハデスは迎えに来たエルフの少女の手をとって歩き出した…
(´・ω・`)…ハデス?
…エルフの少女も誰か分かるかな?




