流星を纏いし少女
ライネス達が火山採掘に行く少し前の頃…ヒイナはキルシュガルドに連れられて王都に来ていた。
「お〜、凄く賑わってるね」
「まぁ、王都は国の中枢だからな」
城壁で囲まれた王都は、中世的な建物が並んでおり、石畳の道が張り巡らされている。二人は王城の近くに建てられた騎士団の拠点へ赴いていた。
そこでは、鎧を着た騎士が金属音を鳴り響かせながら、刃を潰した鉄剣で模擬戦を行なっていた。
「全員、訓練中止!!直ちに集合せよッ!!」
「「「「「「「「はっ!!」」」」」」」」
キルシュガルドの号令に、騎士達は剣を鞘にしまい即座に集まり片膝をついて赴く。
「私が離れていた間、腕を鈍らせている者は居ないな?」
「はい、第一騎士団以下58名、訓練に抜かりありません」
騎士の一人が代表して、キルシュガルドに伝える。
「そうか…私の隣にいる人物が気になるだろうから紹介しよう、任務の最中で将来有望な若者がいたからな」
「どうも、ヒイナです!!」
「…恐れながら、キルシュガルド団長…彼女からは特にそのような風に見えないのですが?」
代表して発言した男は、ヒイナに対して疑いの眼差しを向ける。
「ほぉ…私の目が節穴だと?そう言いたいのだな…騎士アトラ」
「…恐れながら」
「では、ヒイナと模擬戦を行なってその実力を測るといい…ヒイナ、見せてやれ」
「えぇ…まぁいいけど」
ヒイナは騎士の一人から鉄剣を受け取り、騎士アトラの前に立つ。
「貴方の実力、見せてもらいます」
「あんまり上から目線で言われるとイラッとくるんだよね…」
「それでは…始めッ!!」
「〈流星〉」
「…ッ」
開始の合図と同時に、水色と金色のエフェクトを纏ったヒイナは一気に接近し、剣を横薙ぎに振るう。
アトラは反射的にヒイナの攻撃と自身の間に剣を差し込み、何とか防ぐが、その威力に僅かに体勢を崩したところをヒイナの回し蹴りがクリーンヒットし、大きく後退させられる。
「これでも私、結構鍛えたんだよ?」
【ヒイナ】Lv79
職業:剣士
HP:45
MP:300
STM:285
STR:330
VIT:15
AGL:420
INT:15
DEX:15
スキル:
〈コンバット・ストラクト〉
〈バースト・ストライク〉
〈アクセルエッジ〉
〈流星〉
〈首刈り〉
〈剣術〉
〈火炎耐性〉
〈クル・レイド〉
今のヒイナのステータスはこの位まで上がっており、しかも〈流星〉のバフもプラスすればかなりのものだ。
「〈アクセラレーション〉!!」
アトラも負けじと、加速スキルを使ってヒイナヘ肉薄し刺突を繰り出すが、ヒイナは左脚を弧を描くように地面を滑らせるようにして半歩移動してスレスレで回避する。回避した事によって〈流星〉の効果が発動し、さらにヒイナが加速する。
「なっ…ガッ!?」
ヒイナは一瞬にしてアトラの背後に回り込み、がら空きの背中へ膝蹴りを叩き込み、その場で回転し〈アクセルエッジ〉でさらに加速を加えて、アトラの脇腹を振り向きざまに剣で一閃。その衝撃によって地面をゴロゴロと転がる。
「くぅ…まだ…」
「いや、もう終わりだよ」
剣を杖代わりに立ち上がろうとしたアトラだったが、一瞬で距離を詰めたヒイナによって首筋に鉄剣を当てられ、両手を上げて降参する。
「…で、まだヒイナの実力に不満を持つ奴はいるか?」
キルシュガルドの言葉に、反論する者は居なかった。
…翌日…
「おい、聞いたか?」
「聞いた聞いた、何でも第一騎士団のアトラが負けたらしいな」
「ヤバいよな、だってアトラは王都の武道大会で五位になった奴だぞ?ソイツ相手に圧勝らしいぜ?」
「倒した奴は、灰色のローブを着た、流星を纏った少女だって言われてるぞ」
そうして、ヒイナは“流星を纏った少女”として騎士団に噂が広まった…
一位、ミストルティン
二位、キルシュガルド
三位、ハデス・ヴォルザード
四位、リニアス
…実はキルシュガルドは二位なんデス…
…リニアス以外全員イカれたスキル持ってるっていう…




