赤き災厄
「へ?何でグリス達がここに居るの!?」
混乱するヒイナに、グリス達は自分達もテストプレイヤーに選ばれた事を告げる。
「そういうことか」
「あぁ、それで後ろの2人が…」
「あ、ヒイナちゃんだ♪」
グリスの紹介を遮るように、白黒髪の少女はヒイナに抱きつく。ヒイナは少し悩む素振りをして、答えに辿り着く。
「もしかして、黒江さ…」
「もう、プライベートなんだからクロエだけでいいの!」
「うん、分かったよクロエ。えっと…」
「…ここではライネスだ。ヒイナ」
「よろしくね、ライネス」
「ヒイナ、その2人と知り合いだったのか?」
「うん、一応…」
歯切れの悪いヒイナに疑問が浮かぶグリスだったが、それを聞く前に、近くで「ドゴォンッ」とナニカが爆発したような音が響き渡った。
「ふぇ!?なになに!?」
「これは…ちょっとマズいかも」
「何がマズいのか知らないけど、取り敢えず行こう、カノン」
ヒイナは青い顔をしたカノンの手を握って音がした方向のカギラスの村へ駆け出した…
キルシュガルド視点〜
「団長、少し待って下さい!?」
「悪いが、どうにも嫌な予感がする…だから追いつけないと思ったら無理すんな」
私はリニアスにそう言って、森の中を全速力で駆けている。爆発みたいな音がした場所を気配探知を使って調べたら…かなりヤバいのが居る。あの村にはヒイナとネイルが居たはずだ…だとしたら
「急がないと…なッ!!」
私は更に脚に力を込めてカギラスの村へ向かった。
ヒイナ視点〜
村が見え始めた辺りで、女性のような声が響いた。
「この村にゆうしゃ?とか言うのが居るはずなのだぞ!!どこなのだ?」
更に近づいて行くと、それが赤い髪と瞳をした少女だと分かる。見た目はただの女の子…だが、それを否定するように、カノンの手が小刻みに震えていた。
「ねぇ、あの子は一体何者なの?」
「あ、あれは…“紅城の魔王”で、魔王の中で最強格の…って、ヒイナ!?」
私はその言葉を聞いて居ても立っても居られなくなって、紅城の魔王の元へ走り出す。そんな奴がもし村で暴れでもしたら、とんでもない被害が出る。なら、少しでも時間を稼いで…近づいているのが悟られたのか、紅城の魔王は私へと振り向くと、その口元を緩めた。
「あ、見つけたのだぞ!」
「ッ!?」
気づいた時には、私は紅城の魔王に何故かハグをされていた。
何で、あそこからはまだ距離があったし、全く動く素振りもなかった。ただ、振り向いただけ…そして消えたと思った瞬間にここまでどうやって距離を…いや、取り敢えず離れないと…って、振りほどけない!?
「ん?離れないと武器が使えないのか…ほら、離したのだぞ!」
彼女が離した瞬間、私は後ろに大きく下がる。…取り敢えず、前にもらった【十六夜】をインベントリから取り出して構える。
「よし、準備出来たなら私から行くのだぞ!!」
「流…」
その言葉と同時に、紅城の魔王から大量の赤い槍がとてつもない速さで飛来する。駄目だ、流星が間に合わない!?その瞬間、背中に冷たい汗が流れ目を閉じる…同時に何故か浮遊感が襲う。ゆっくりと目を開けると、そこにはキルシュガルドが私を抱えていた。
キルシュガルド視点〜
暫く走っていると、森を抜けて赤い髪をした少女が見えた…多分あれが気配の発生源で…その近くに武器を構えたヒイナの姿が目に映った。
「ッ!?あの馬鹿ッ!!」
何やってんだ、どう考えても勝てる相手じゃないだろうが!!そこで、仕方なく私は加速系スキルを使用する事にした。
「《アクセラレーション》《身体強化LV10》《電光石火》《アル・ガイド》」
体に少し負担がかかるが、ちょっとすれば治るし大したことないだろうからな。そうして、赤い槍がヒイナを穿くよりも速く、私がヒイナをお姫様抱っこの状態で離脱する方が先だった。
:何で一瞬でヒイナに抱きつけたのか
一応ヒント、紅城の魔王:ダインスレイヴは血液なので自由自在に形を変化させられます…
え?これじゃ分からないって?しょうがないな〜
最大ヒント!!実はダインスレイヴはヒイナちゃんの足元に血液を細く伸ばしてたんだよ?そして形を変えられる…




