ログアウト
「…どうしようか」
村長とキルシュガルドが屋敷の奥に行ってからずっとそんな事を考えていた。
そんな様子に気付いたネイルが小声で『どうしたんですか?』と聞いてきた。
『いや、そろそろ私達ログアウトした方がいい時間帯でしょ?でも…私達が目の前で消えたらNPCからはどう映るのかな〜って』
『…もう一度来たときに面倒くさい事になりますよね』
現在の時刻は7時を過ぎて8時に差し掛かっていた。
つまり、現実世界に早く戻らないとかなりの空腹に襲われる事は目に見えている。
もしこれが、この世界からログアウトした時間で止まって、次にまた始める時はそこから〜ならばこんな問題はない…しかし、そうではない事を、レベル上げの時に二人は気付いていた。
う〜んと悩んでいるうちに、ヒイナはある解決方法を見つけた。
「ねぇ、リニアス…今から少し村の周りを散策してきていい?」
そう、一度村から出て人目のつかない所でログアウトすれば何も問題はない。
「別に散策程度なら構わないと思うが、その剣の潜在スキルだけは使うな…それを守ってくれるなら好きにしていい」
そうして、意外にあっさりと村から出てログアウトする事に成功したヒイナ達。
――――――――――
現実世界〜
ベットで横になっていた少女が、ヘッドギアを外してまるで疲れをとる様に背伸びをする。
「あ〜、長いようで短かったな」
物思いに耽るようにそう呟いた少女はおもむろにスマホを手に取って連絡をする。
『あ、ネイル?今度は何時に入る?』
『そうですね、10時頃がいいと思います』
『了解!』
そう言って少女は通話を終了すると、小さな欠伸をしながら、少し遅い朝食を摂るために広々とした廊下へと歩き出した。




