流星
ヒイナがネイルと合流する前…施設内にて
「おい、明日にはあのガキ共を売り渡す手筈だよな」
「売った金で宴か…」
二人でそんな事を話し合っていたのだが、後ろから来ていた男の声がピタリとやんだ。
「ん?一体どうし…ッ!?」
そう言おうとした瞬間、首筋にナイフが突きつけられた事に気付く。
「おっと、騒がないで?あと、私の質問にだけ答えて…ね?」
「わ、分かった…」
ヒイナはその言葉を聞くと早速質問をした。
「今まで捕まえた子供達は何処にいるのかな?」
「そ、そんな事を聞いて何に…ッ!?」
言おうとしない男の首に少し刃を強く当てて「余計な口を利くな」と脅す。
「が、ガキ共は地下の牢屋に閉じ込めてる…」
「人数は?」
「さ、3人だ…なぁ、もういいだろ?」
その言葉に「うん♪もう用はないね!!」と言って男を開放して地下に歩き出すヒイナ。
「ヘヘッ!!馬鹿がよ…ッ!?」
解放された男は何を思ったのか、背後からヒイナに襲いかかる…が、ヒイナは腰に掛けていた異邦人の鉄剣を鞘から抜き、振り向きざまにその首を切り落とした。
「やっぱりこうなるのか…馬鹿すぎて笑えないよ…ん?」
男の行動に呆れていると、新しくスキルを入手したとの通知が来た。
「なになに、《首刈り(デュラハン)》…?物騒だなぁ」
《デュラハン》対象の首の部分に攻撃を命中させた時、ダメージが10倍になる。
「10倍か〜でも首を狙うのはできたらでいいかな?」
そんな事を考えている内に、地下に通じる階段を発見して問題の子供を見つけた。
「お、お姉さん誰?」
そこには、怯えた表情を浮かべた3人の女の子が抱き合っていた。
「ん〜、君達の王子様かな?」
そう言って牢屋の施錠を叩き斬って扉を開けるヒイナ。
「ふぇ?」
「さぁ、ここから出ましょう可愛らしいお姫様達?」
ヒイナはきれいな動作で膝をついて、少女達に手を差し伸べる。
3人の少女は顔を見合わせて、その手を握った。
そしてヒイナに連れられて外に出た所までは良かったのだが、大量の盗賊に包囲されていた。
「お、お姉ちゃん…怖いよぉ…うぅっ」
「大丈夫、私に任せて…《流星》」
その瞬間、ヒイナは金と水色のエフェクトを纏っていた。
――――――――――
《流星》消費MP100
能力1:一定時間、STRとAGLが2倍。
一定時間(追加で10秒にMP1を消費し、0になったら終了する)
能力2:敵の攻撃を防御するとSTRを追加で2倍、回避するとAGLを追加で2倍する。
(ダメージを受けた場合、リセットする)
――――――――――
(私のMP的には50秒が限界か…それまでに倒せれば私の勝ちだッ!!)
そして、敵の元へ一直線に駆け出したヒイナ。
「全員、矢を放てッ!!」
その言葉と同時に大量の矢が飛来するが、その全てを持ち前のセンスで弾き、時に躱してはどんどん加速していく。
「なっ!?」
「遅いっ!!」
とうとう敵の前衛に到達して、一人また一人とヒイナに倒されていく盗賊達。
「こ、こうなったら…目覚めろ、トロールキングッ!!」
その言葉と同時に施設が崩壊して高さは50メートル程あるだろう巨大なトロールが現れた。
「ハハハッ!!これで俺達の…」
全て言い終わる前に、ヒイナの手によって首をチョンパされた最後の男。
恐らく彼がリーダーだったのだろうが、ヒイナにとってはただのモブだ。
そして、ヒイナはトロールキングを見る。
――――――――――
【トロールキング】
HP:1600
MP:10
STM:440
STR:440
VIT:100
DEX:10
スキル:
《貪る者》HP、STM、STRが2倍。
《生命力Lv5》HPが2倍、1秒間にHPを100回復する。
――――――――――
「お姉ちゃん、大丈夫なの?」
「お姉さんを信じて…ね?」
安心させるために女の子の頭を優しく撫でると、トロールキングへと駆け出すヒイナ。
(残り時間は…5秒ッ!!)
トロールの腕を駆け上がろうと思えば出来るが、その時間すら惜しいヒイナは、一歩手前の地面に思いっきり踏み込んで上へ飛び上がる。
トロールキングもそれに対応しようとするが、今のヒイナはスキル《流星》によってSTR4000超え、AGLに至っては7000に到達している。
さらに…
「ウオォッ!!《デュラハン》ッ!!」
駄目押しとばかりに《デュラハン》を発動してSTRは驚異の4万を超える。その攻撃を受けたトロールキングの首はまるで水風船のように弾けた。
勿論、トロールキングは赤いエフェクトとなって消え、ヒイナは監視塔にいる最後の生き残りに目を向け、空中で位置を調整しながらそこに降り立つ。
「この化け物がッ!?」
(え〜、急に人を化け物扱いしてくるなんて…傷つくなぁ)
男の言葉に少しだけ傷ついたヒイナだった…




