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アイビス!  作者: フユルト
第六章 流星は駆け、騎士は眠る
115/116

恐怖を乗り越えて

「…どうします?」



「そうね…アレの注意を少しだけ引いてくれる?そうすれば、私がアイツに直接〈千剣〉を叩き込むわ」



「なんでわざわざ…あー、あの速度が出せるなら〈飛剣〉込みの〈千剣〉だと避けられそうですもんね?」



ミストルティンの切り札とも言える〈千剣〉には、ある程度応用が効く。



例えば、斬撃を飛ばす事が出来るスキルである〈飛剣〉であれば〈千剣〉の斬撃を飛ばす事が出来るが、〈千剣〉単体で使用するよりも斬撃の速度が落ちる欠点がある。



…それでも、そこらの相手ならば回避など出来ないのだが。



「【雷聖剣:トニトルス】〈ウェアサンダー〉【光聖剣:ルークス】〈ライトメルト〉【冥聖剣:アンフェール】〈ダークブレイク〉」



雷聖剣の効果によって雷光を纏ったアスタは深淵の使者へ高速で接近し、対応してきた鉤爪を光聖剣で防ぐ。すると、鉤爪から熱した鉄板に水滴をたらしたかのような音がし、深淵の使者はすぐさま距離をとろうとする。



だが、それをアスタが許す筈もなく今度は冥聖剣を深淵の使者の心臓があるであろう場所へ突き立てる。しかしそれは身体を傾けて避けられたが、紫色のエフェクトを放つ冥聖剣が逃すことなくその脇腹を通過したと同時に、周辺が抉りとられる。



『ーーーー!?!?』



「おっと、意外と効果抜群だね?」



『ーーーーーーー!!!!!』



その言葉に反応してなのか定かではないが、深淵の使者は金切り声をあげながらアスタへ襲いかかりーーー



「ーーーそっちばかり見てていいの?〈千剣〉!!」



直後、深淵の使者の身体に緑色のエフェクトが無数に舞い、その身体をズタズタに斬り裂く。すると、その身体から黒い結晶のようなものが飛ばされ…状態異常から回復したクロエの足元に落ちる。



「ん…?ナニコレ」



クロエが拾いあげた結晶は、何故か少し脈打っていた。



「うわっ、気持ち悪っ!?」



クロエはその結晶を凄く嫌そうな顔で地面へ投げ捨てる。すると、結晶から黒い液体が染み出し始めた。



「あら、斬り損ねたのね…貴女、恐らくそれは本体みたいなものだと思うから、壊しておいてくれない?」




「りょーかい!!…って、うわわっ!?」



クロエは大剣を振り下ろして、その黒い結晶を叩き斬る。その瞬間、その結晶から黒い粘性のものが出現し、クロエの持つ大剣を包み込んだ。



「クロエ!?大丈夫?」



「うん、特には…」



クロエは突然の事態に驚き、大剣を手放した事で触れたりはしていないようだが、肝心の大剣は真っ黒に染まっていた。



〘深淵会敵(アビスエンゲージ)終了…〙



〘目標:【深淵:恐怖の使者《ストラフィア・アポストロス》】の討伐に成功しました〙 



………



……



…



〘一定基準を満たしたことにより、【称号システム】を開放…〙



〘称号【会敵:恐怖】を獲得〙



〘特殊シナリオ【深淵への招待状】を開放しました〙




「えっと…これ、触って大丈夫かな?」



「さぁ…?」



「ーーーソイツは、今の状態なら大丈夫だぜ?」



アナウンスが鳴ったのを聞いた後、クロエが恐る恐るその大剣を指先でちょんちょんと突いていると、何処からか声が掛かってきた…




称号【会敵:恐怖】

・深淵の第一の真理である恐怖又はその使者に遭遇し、戦闘を行なった者に与えられる称号。


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