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アイビス!  作者: フユルト
第一章 囚われの少女
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ちょっぴり長い夜 

今回は、ネイルが少し事件に巻き込まれます…

(相手が少し可哀想な事に…)

「ここをこうして…よし、完成!!」



そう言って完成したのは盗賊から奪った…げふん、貰ったテントだった。



何故わざわざ立てたのかというと…ただの雰囲気作りの為としか言いようがない。



「ネイル、今日はこの辺でセーブして終わりにする?」


「そろそろ夕食の時間になりますからね」



そうして二人は、メニューを開いてログアウトしたのだった…。



現実世界:ネイルの自宅にて〜



「はぁ…さて、早く夕飯の準備を…ん?」


近くに置いていたスマホからピロンとメールが送られてきた。



「ヒイナ?えーと、『もうすぐ迎えが来るから早く着替えてね!!』ですか…一体どういう事でしょうか…」



そう思いながらお気に入りの灰色のパーカーとデニムパンツを着て外で待っていると、いかにもチャラそうな男二人組が話しかけてきた。



「ねぇ、そこの…」


「お断り致します」


「まだ何も言ってねぇよ…そんな事より俺達と…」


「馬鹿に用はありません」



速攻で拒絶されたにも関わらず、しつこく話しかける男達にネイルはイラつき始め、腰に隠していたモデルガンに手を伸ばしかけていた。



…そこに黒塗りの高級車が止まる。



「遅くなってごめんね?ネイル、待った?」


そう言って後部座席から降りるヒイナ。



「そこの変質者がナンパしてきてたので退屈しませんでしたよ」


「へぇ〜、うちのネイルをナンパ…ね」


「「ヒィ!?」」



ヒイナから滲み出る無言の圧力に、男達は冷や汗を流していた。



ヒイナは後ろ手でスマホを弄り、通話状態にする。



「おじさん達…名前と住所は?」


笑顔で聞いてくるヒイナに、男達は困惑していた。



「な、何で言わなきゃ…」


「いいから答えろ・・・おほん、答えてほしい…な?」



ヒイナの瞳から光が消え、脅すような声に変わったが、それも一瞬で、すぐに天使の様な笑顔と声色に戻る。



そんなヒイナの変わりように恐怖を覚えたのか、すぐに答えた。


「ふ〜ん…すぐに流して?」


「急に何言って…」


「貴方達には関係ないから」



そう言って男達の言葉を遮断するヒイナ。



「いい年した大人が女子高生にナンパして恥ずかしくないの?###さん、****さん?」


「う、うるせぇ!?」



それからしばらくの間、ヒイナは二人の男を煽る様に話しかけていたが、ここで爆弾発言をする。



「しかも、バレたら浮気になるんじゃないの?」


そう言って手を開くと、2つの指輪が音を立てて地面に落ちた。



「なッ、何でお前が持って…」


「そんな事より、いいの?奥さんに言い訳…弁解しなくても」



「「へ?」」



男達が振り返ると、そこには暗い笑顔を浮かべた二人の女性が仁王立ちしていた。



「何でここにいるのかって顔してるわね?」


「…マヌケ顔」



そう言う二人の後ろからひょっこりと顔を出すスーツ姿の女性…ティナが、「それはですね〜」と話し始めた。



遡ることしばらく――――――――――



「今日も残業なんて…ん?電話?」


そうして、電話に出ると…



『いい年した大人が女子高生にナンパして恥ずかしくないの?###さん、****さん?』


『う、うるせぇ!?』


「ッ!!」



(この声って…あたしの旦那じゃ…しかも名前まで)



しばらく呆然としていると、チャイムが鳴ったのを聞いたので、おぼつかない足取りで玄関へ向かった。



外に出ると、見覚えのない黒いスーツを着た細目の女性がいた。


「えっと…」


「いきなりですみませんが…旦那さんのいる場所に行きたいですか〜?」


「!?・・・えぇ、行くわ!!」


「分かりました〜それじゃあ、こちらの車にどうぞ〜」



(なにこの高級車!?…って後ろに乗ってるの)



「みゆきじゃない!!」


「…カナデ?」


――――――――――


「…と、言うわけですよ〜?」


「あ、あの時住所聞いたのは…!!」


「ここに連れてくるためだよ?」


満面の笑みを浮かべるヒイナにブチ切れた二人の男が、殴りかかって来た。



ヒイナは手始めに、最初に殴りかかった男の腕を掴み、後ろへ投げ飛ばした後、もう一人の男の顎を掬い上げる様に一発入れ、回し蹴りで家の塀に叩きつける。



後ろに飛ばされた男は、近くにいたネイルを襲おうと駆け出す。



ネイルは動じずに、腰に隠していたサイレンサー付きのハンドガンを取り出し、集中する。



その瞬間、ネイルの見ている世界がスローモーションのようになる。



(まずは…脚に一発)



脚の太もも当たりに狙いを定め、発泡。


射出された弾は、男の太ももに当たり…めり込んだ。



「ぎゃい!!て、てめぇ…!?」


反射的に伸ばした男の手に、もう一発入れる。



「ガアァ!!」


そしてそのまま二人仲良く気絶した。


しかし、その光景に不満そうな顔をしているティナ。


「あぁ、合法的に人をグチャグチャに出来るチャンスだったのに〜」


頬を赤く染め、片手を添えてそんな事を言うティナ。


「・・・ティナがやったら過剰防衛を通り越してただの一方的な虐殺だよ…」


よだれまで垂らし始めたティナに、ヒイナはため息をつくしかなかった。









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