ちょっぴり長い夜
今回は、ネイルが少し事件に巻き込まれます…
(相手が少し可哀想な事に…)
「ここをこうして…よし、完成!!」
そう言って完成したのは盗賊から奪った…げふん、貰ったテントだった。
何故わざわざ立てたのかというと…ただの雰囲気作りの為としか言いようがない。
「ネイル、今日はこの辺でセーブして終わりにする?」
「そろそろ夕食の時間になりますからね」
そうして二人は、メニューを開いてログアウトしたのだった…。
現実世界:ネイルの自宅にて〜
「はぁ…さて、早く夕飯の準備を…ん?」
近くに置いていたスマホからピロンとメールが送られてきた。
「ヒイナ?えーと、『もうすぐ迎えが来るから早く着替えてね!!』ですか…一体どういう事でしょうか…」
そう思いながらお気に入りの灰色のパーカーとデニムパンツを着て外で待っていると、いかにもチャラそうな男二人組が話しかけてきた。
「ねぇ、そこの…」
「お断り致します」
「まだ何も言ってねぇよ…そんな事より俺達と…」
「馬鹿に用はありません」
速攻で拒絶されたにも関わらず、しつこく話しかける男達にネイルはイラつき始め、腰に隠していたモデルガンに手を伸ばしかけていた。
…そこに黒塗りの高級車が止まる。
「遅くなってごめんね?ネイル、待った?」
そう言って後部座席から降りるヒイナ。
「そこの変質者がナンパしてきてたので退屈しませんでしたよ」
「へぇ〜、うちのネイルをナンパ…ね」
「「ヒィ!?」」
ヒイナから滲み出る無言の圧力に、男達は冷や汗を流していた。
ヒイナは後ろ手でスマホを弄り、通話状態にする。
「おじさん達…名前と住所は?」
笑顔で聞いてくるヒイナに、男達は困惑していた。
「な、何で言わなきゃ…」
「いいから答えろ・・・おほん、答えてほしい…な?」
ヒイナの瞳から光が消え、脅すような声に変わったが、それも一瞬で、すぐに天使の様な笑顔と声色に戻る。
そんなヒイナの変わりように恐怖を覚えたのか、すぐに答えた。
「ふ〜ん…すぐに流して?」
「急に何言って…」
「貴方達には関係ないから」
そう言って男達の言葉を遮断するヒイナ。
「いい年した大人が女子高生にナンパして恥ずかしくないの?###さん、****さん?」
「う、うるせぇ!?」
それからしばらくの間、ヒイナは二人の男を煽る様に話しかけていたが、ここで爆弾発言をする。
「しかも、バレたら浮気になるんじゃないの?」
そう言って手を開くと、2つの指輪が音を立てて地面に落ちた。
「なッ、何でお前が持って…」
「そんな事より、いいの?奥さんに言い訳…弁解しなくても」
「「へ?」」
男達が振り返ると、そこには暗い笑顔を浮かべた二人の女性が仁王立ちしていた。
「何でここにいるのかって顔してるわね?」
「…マヌケ顔」
そう言う二人の後ろからひょっこりと顔を出すスーツ姿の女性…ティナが、「それはですね〜」と話し始めた。
遡ることしばらく――――――――――
「今日も残業なんて…ん?電話?」
そうして、電話に出ると…
『いい年した大人が女子高生にナンパして恥ずかしくないの?###さん、****さん?』
『う、うるせぇ!?』
「ッ!!」
(この声って…あたしの旦那じゃ…しかも名前まで)
しばらく呆然としていると、チャイムが鳴ったのを聞いたので、おぼつかない足取りで玄関へ向かった。
外に出ると、見覚えのない黒いスーツを着た細目の女性がいた。
「えっと…」
「いきなりですみませんが…旦那さんのいる場所に行きたいですか〜?」
「!?・・・えぇ、行くわ!!」
「分かりました〜それじゃあ、こちらの車にどうぞ〜」
(なにこの高級車!?…って後ろに乗ってるの)
「みゆきじゃない!!」
「…カナデ?」
――――――――――
「…と、言うわけですよ〜?」
「あ、あの時住所聞いたのは…!!」
「ここに連れてくるためだよ?」
満面の笑みを浮かべるヒイナにブチ切れた二人の男が、殴りかかって来た。
ヒイナは手始めに、最初に殴りかかった男の腕を掴み、後ろへ投げ飛ばした後、もう一人の男の顎を掬い上げる様に一発入れ、回し蹴りで家の塀に叩きつける。
後ろに飛ばされた男は、近くにいたネイルを襲おうと駆け出す。
ネイルは動じずに、腰に隠していたサイレンサー付きのハンドガンを取り出し、集中する。
その瞬間、ネイルの見ている世界がスローモーションのようになる。
(まずは…脚に一発)
脚の太もも当たりに狙いを定め、発泡。
射出された弾は、男の太ももに当たり…めり込んだ。
「ぎゃい!!て、てめぇ…!?」
反射的に伸ばした男の手に、もう一発入れる。
「ガアァ!!」
そしてそのまま二人仲良く気絶した。
しかし、その光景に不満そうな顔をしているティナ。
「あぁ、合法的に人をグチャグチャに出来るチャンスだったのに〜」
頬を赤く染め、片手を添えてそんな事を言うティナ。
「・・・ティナがやったら過剰防衛を通り越してただの一方的な虐殺だよ…」
よだれまで垂らし始めたティナに、ヒイナはため息をつくしかなかった。




