流星と騎士は相対する
テスト、お前…本当に許さないからな…?
「ーーーヒイナさん、こっちです!!」
「ちょっ、何処にいくの!?」
カフェでネイル達と別れ、屋敷で食事や課題などを済ませて夜にログインしたヒイナは、嬉しそうに声を弾ませているミレアに手を引かれ、王都を出てとある街に向かっていた。
(キルシュガルドにも声をかけずに出てきちゃったけど…大丈夫かな?)
ヒイナがそう考えていると、ミレアが足を止めて振り返る。
「ここが私が管轄している街なんだ〜!!」
「え?」
「ほら、入って入って♪」
再度手を引かれてヒイナは歩みを進める。
「ここは、薬屋のお婆さんが切り盛りしてて…あ、こんばんわ〜♪」
「…」
ミレアは歩くたびに挨拶をしている。
「こっちは、新婚の夫婦の人がやってるレストランで、料理とか美味しいんだよ!!ほら、今も行列ができてるよ」
「ミレアちゃん…」
「あそこはーーー」
「ミレアちゃんッ!!」
突然大声を出したヒイナに、ミレアは驚いて振り返る。
「どうしたの?」
「ミレアちゃん、落ち着いて聞いてね…?」
「も〜、急に大きな声出すから子供が泣いちゃってるよ?ほら、謝らなきゃ…」
「…どこにいるの?」
「え?」
ヒイナは声を震わせて、勇気を出して言葉にした。
「ここには、誰もいないよ…?というか、この廃墟の街の何を管理してたの…?」
そう、この廃墟街にヒイナとミレアが入ってから、一度たりとも人と出会っていないのだ。ミレアはただ、誰もいない虚空に話しかけていた。
「ミレア、ちゃん…?」
「…あ、」
それを指摘した瞬間、ミレアからすっと表情が抜け落ち、先程まで浮かべていた笑みが消えて真顔になる。
「あああ…あああああアアァーーーッ!?!?!?」
顔を両手で覆い、突如として発狂しだしたミレアから飛び退いてヒイナは距離を取った。直後、ミレアから黒いエフェクトが溢れ、ヒイナの視界を染め上げた…
………
……
…
「相対したか…」
とある場所に封印されている女性…レイドは、水晶球に映し出されたヒイナとミレアを見る。
「さぁ、ソイツを殺すか?何もできないか?それとも…お前はどっちだ?」
この問いかけが、彼女に聞こえる筈がない。だが、ヒイナが十六夜を構えたのを見て、レイドは笑みを消してただ一言…
「…気張っていけよ」
彼女は玉座で頬杖をついたまま動かない。彼女がこの程度の困難で屈するなら、もうそれ以上先へは行けないだろう。そしてなにより…
…たとえ混沌と絶望の中でも、足掻いて希望を創り出すのは、今を生きる者達の義務なのだから。




