第五十話 事情聴取と市場
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連れてこられたのはそこそこの大きさの建物で、中へ入ると結構な数の兵士らしき方たちが居た。
扉が開かれ中へ入ると、周囲の方たちからじっと見つめられ少々恥ずかしいので、手ぬぐいを取り出し頭を少々隠した。
「おい、何をやっているんだ」
「いえこう周りから、見つめられますと恥ずかしいのでちょっと」
「お前たち巡回にでも行ってろ」
そう言われると、詰所らしき場所に居た者たちは、一斉に外へと駆けて行った。
すまんな、人族は珍しくて皆が注目してしまったようだと言われ、そういう事でしたら仕方ありませんねとやり取りをすると、ソーさんがいつまでだらだらやってんだ、こっちは市場で仕入れが待ってんだとごねる。
そうしながら案内された個室らしき所へ三人で入ると、テーブルの中央に水晶球が設置されておれ周囲にいすが置いてあった。
勧められ席につくと、テーブルの上の水晶に手を乗せつつ質問に答えてほしいと言われ、言われたとおりにする。
最初の方の質問は、名前、細かく分けられた犯罪に成りそうな事柄をやったことが無いかを聞かれ、大丈夫そうだとなると最後に性別、種族、年齢(あまり言いたくなかった)を聞かれた。
すべてを何やら木版の様なものに書き留めていき、最後の年齢を聞いた際に物凄い反応をされた。
水晶は嘘か真実かを見抜く機能がついており、嘘だと黒く真実なら透明のままなのらしいが、年齢まですべてが真実と成って居たためだ。
「どう見ても子供だと思い、家出娘か間者か何かと思っていたが、年上とは」
「まあ、話していいんでしょうかソーさんどう思います」
「ここだけの話ってしてもらえればいいんじゃねえかこいつ自体は信用は出来るから」
「何か秘密でもあるのか、まあ黙っておくだけなら構わない」
そう言われたので、この服を見てもらえばわかると思ったけどと、ここまでの経緯を話す。
だんだんと、妙な汗をかき始め最後は口を大きく開けたまま魂が抜けかけたような状態で聞いていた。
もちろんずっと水晶に手を乗せて話していたが水晶が陰ることは無かった。
「真実だとすると、人族の初代と同じ時代から来たという事か」
「ええまあ、前後百年はあるかもしれませんがね」
「そうなるとそうだな、呪いか何かで若返っているとこれに追加して」
木版にいろいろとさらに書き込みをしていく。
「よし、これを持ってまず、商業ギルドに登録してくると良い」
商業ギルドってなんだろうと、あざとく顎に人差し指を当て、コテンと言った感じで首をかしげると、慌てて説明された。
商業ギルドとは、誰もが入れるわけではなく、その国でそれなりに信頼のおける人物の紹介が有る事、商品を扱わなくても良いが、商売をしたことが有るかして居る者であれば、登録試験を受けられそれを通過し面接の後に合格していた場合のみ、登録を許されるギルドとの事だった。
登録料などはかからず、年会費もないが身分証を発行されるため、そのために登録を目指す人も多い。
ただ殆どの者が紹介状が手に入らないか、試験で落ちるとの事だった。
因みにソーさんはギルド員とのことで、冒険者組合所属時代に店を始める資金と余裕が出来たので、引退をするときに、紹介状をギルドマスターからもらい挑み合格したとの事だった。
「ひとまずはその木札だけでも身分証にはなるが、サワダさんの状況を考えるにギルド員に成った方がいい」
「ユイでかまいませんよドゥリさん。それでなぜギルド員に」
「ギルド員に成るとな、色々と保護されるんだ。旅の際の護衛も無料で着くが、商売をした際に儲けの一割を納金の義務が出るがな」
「なるほど、人族の博物館まで行くとなるとという事ですね」
納得をしたのでお礼を言うと、気にしないで良いと言い、幾名かの巡回が戻ってきたので詰め所をそちらに任せ、ドゥリさんの案内で市場まで行き、そこで別れるとソーさんと色々と必要な食材を買い集めていく。
その場で収納にしまっていくが、そこそこに使える者がいるらしく特に驚かれることもなくどんどんと詰めていくと、途中からお嬢ちゃん一体どんだけの規模の収納持ちなんだいと言われてしまった。
普通はそこまで入らないとの事だったが、良く判りませんと答えておいた。
店で使う補充の必要のある物を一通り買った後に、今度は私が探す物は無いかと色々と、調味料の店を回ったが余りなかった。
幸いだったのは、醤油そのものと、味噌っぽいペーストが見つかったことだろうか。
他にごま油が有るならと探したら胡麻と大豆と米も見つかったのでその辺りもほしいと頼み、それぞれ十キロずつ購入した。
幸せだったことは、調味料などがファンタジーな世界だとよく高騰していることが多いが、この世界は初代である旅人たちがしっかりとその辺りの製法や育成法を過去へと文献で残し研究を行った結果、だれでも手に入れられる程度の価格に成って居た事だ。
流石にいくつかは失伝されているらしく、完全なものは少ないが醤油と味噌が有ればなんとか他のジャンは其処からアレンジで作れなくはない、なのでひとまずはこれで満足しておくこととした。
自分の方でほしかった、ソーさんが買わなかったスパイスも一通り買ってもらえた。
それともう一つ、驚いたのは私の収納の中は劣化を防ぐ効果があるようだった。
普通は時間が進んで中で腐ったりするそうなのだが、氷を作ってしまって置きいつでも出せれば便利と言ったところ、氷溶けるぞと言われ暫くしてから取り出したが、しまった時のままの状態で出てきて二人で首をかしげたことにより分かった。
「ソーさんソーさんあの屋台美味しそうですよ」
「おいおい、よりによって焼き串かよ、まあいいけどよ」
そう言って美味しそうなのになぜか客の居ない焼き串の屋台に連れていかれ、お互いに一本ずつという事で買ってもらった物を齧ると、香りは良いのだが、何かこう惹かれる物に欠けていた。
「ユイどうよ、なんか足りないんだろ」
「そうなんですよね、ああ!そうです」
思いついたことが有り、屋台の店主と交渉し、空の壺を一つ許可を得て借りて少し後ろ側の場所も借りる。
壺の中に先ほど買ったなかから、醤油、ワイン、砂糖、蜂蜜を取り出して入れ、自分用に買った鉄の菜箸を入れかき混ぜていく、少ししたら箸の先に着火のごく弱い物を使い壺の中身を沸騰させないように加熱しながら混ぜていき、目当ての状況に成るまでかきまぜたところで、今度は冷却をし人肌程度に冷ましておく。
次に、まな板と小瓶を借りスパイスを幾らか取り出し、それらを刻んで混ぜて七味の様なものを作った。
これで準備は完成、先ほど買った肉串をたれに漬け込み、余り滴らなくなった所で着火で炙り焦げない程度に加熱したら再度壺に漬け込み炙る。
幾度か繰り返すと、良い香りが漂い、店主は既に作業を止め此方を向いていた。
それも気にせずまずは一口、うんいい感じに焼き鳥風になった、そこで小瓶から七味擬きを少し摘まみ全体にパラパラとかけて味わえば、昼間だというのにお酒が飲みたくなるいい味になってしまう。
飲むわけにはいかないので、コップを借りて流水で水を入れ、残りを食べながら水を飲んで満足すると、ずっと見ていたソーさんが俺にもやってくれというのでそうやってやった。
店主にまで頼まれたのでそちらもやってあげると、二人してこれはうめえ売れる!と言われてしまい、壺と小瓶の中身の話、作り方と焼き方などを教えてあげると、嬉しそうにしながら壺と小瓶を屋台に設置していた。
お品書きにも手を加え、焼き串、焼き串タレ、スパイス付き焼き串となっており、値段が横に行く毎に二倍三倍と成って居た。
あんなんで売れるのかしらと思っていたが、先ほどのたれの香ばしさで人が集まり、私達のやり取りを見て気に成った人々がメニューに追加されたそれを見た瞬間注文していった。
屋台の人は、焼き台の三分の一をタレを付けて炙る場所にして、元に成る串焼きを作る場所を確保したうえで商売をしていたが、あれよあれよという間に串が完売してしまい、並んでいた皆に謝りを入れた後店じまいをした。
普段だと、夜遅くまでやって売れ残ったのは、自分たちの食事にしていたという話で、ありがとうとお礼を言われ、金銭を渡そうとしてきたので断ろうとしたが、ソーさんが貰えというので頂いておいた。
明日からは量を増やすと言っていたので、アドバイスと称して両側に飲み物の屋台片方はお酒の屋台を交渉して引っ張ってくれば更に良いですと教えておいた。
それを聞いた少し離れた所に居た屋台の親父が走ってきて、串焼き屋台の店主と交渉をしていた。
お互いに笑顔でやり取りをしていたのでそこをあとにし、買い物も済んでいたので店へと戻って行った。
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