第四十二話 ある日のシルヴァイル君
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呼び出されて彼がやってきた、呼び出しを頼んだのはレグア先生だった。
「呼び出された理由はわかりますか」
「いえ全く思い当たりません」
「では此方の個人指導室へ来てくださいその辺も説明します」
そう言われ、個人指導室(完全防音中の様子は外からは見れないし聴こえない)へと連れていかれる。
扉を閉めると、何やら困った顔をしながらいきなり謝られた。
「君に問題は一切なくて、私が聞きたいことと、メリーからの相談もあったから呼ばせてもらったわ」
「姉ちゃんからの相談ですか。それで聞きたいこととは」
「先日から君に冬夜様の加護がついているわよねそのことよ」
「み、見れるんですか」
「あたしは見れますよ。その発現しかかっているウェポンマイスターもですが」
仕方ないので観念し、先日あったことを語り、前世の記憶が有る事も話す。
「なるほど、ではあちらの知識はかなり持っているという事ですか」
「まあ、建築関連ならそれなりに、後は一般的な品と工具類だけですが、一部を除いては詳細な仕組みに成るとさっぱりですけどね」
「そこで相談です、私の助手に成りませんか」
「助手ですか、まだ九歳の子供ですよこっち」
「助手と言うか、何か作るときに知識を貸して欲しいのですが、きちんと報酬も払いますよ」
「あまり時間がかからないのと、前もって知らせてくれるなら構いませんよ」
そういうと彼女はそれでもいいので是非と、抱き寄せられた待ってくれ刺激が強すぎる、こう見えて中身はおっさんだ。
正直色々と辛い、と言うか子供の体のせいか、鼻から一筋の何かが出てくる。
慌てて離れて、説明すると、苦笑いをしながらそうでしたねと言われる。
自分の中身の年齢からすると、半分ぐらいの子だ正直色々とぐっと来てしまう。
姉ちゃんだともう慣れてしまったので、こういう事をされても結構平気だが、流石に他人となると話は別だ、非常に色々なものがキてしまう。
その辺りの話が終わると、姉ちゃんからの相談事と言うのだが、そちらは最近砂糖組と朝練に参加していることなどの心配を相談されたとの事で、加護が有るから安全だと私は判るけどそれを私が言って良いのかもわからないので、その辺りは家に帰ったらきちんと話しておくようにと釘を刺された。
前世云々は言わないで、アカレ子さんに連れられて家に招待されたときに、将来的に有望な素質があるから、安全を考えて加護を与えられて、何が有っても良いように今の内から身を守れるようにするために訓練に参加している事と言う辺りで誤魔化すことに成った。
姉ちゃんに説明してから暫くたつと武器製作能力の練習にと頼まれ、砂糖組の武器が一新された。
皆がアダマンツリーの枝から作られた武器を握っている。
おかげで、全員の武器の好みや癖などもわかってきて、模擬戦の方でもそれが活かせる様になってきた。
それとは別に趣味で作っている木刀なのだが、問題が発生している。
土産物屋の所に、森羅の里と刻み込まれたそれが、そこそこ上質なロングソードより高い値段で売られているのだが、入荷するたびに完売しているというのだ。
何故そんな事に成って居るのだろうと小首をかしげていたのだが、買っていく冒険者の一人にに質問をしてみた。
「おじさん、そんな強そうな剣を持っているのになぜその棒を買うの」
「まだおじさんじゃ無いからな坊主。この木刀に命を救われたって連中の噂とな、こいつの汎用性の凄さを聞いた連中がこぞって買ってるんだ。俺もその一人だがな」
「汎用性ってどんなのなの」
「ああこれは木刀だけどな、何故か剣技と杖技両方が使えるんだ。それに折れないって話でな、どちらかか両方の技を扱える奴が、いざと言う時の予備武器として好んで使うように成ってるらしく、街の冒険者の中ではこれを持っているってだけで、生存率が違うって言って欲しがる奴が増えててな、転売まで始まってる状況だ」
「ふうん、ありがとうお兄さんまたねー」
そう言って離れていった。
木刀っていうとついつい想像していたのが、ヤンキー漫画とかにあるアレと、木刀で剣技をぶっぱするアレとか、何でそこまでやっても折れないんだっていうアレが頭に浮かんだんで、その辺を想像しながら作っていたのだが、そのせいで破壊不可属性、剣技使用可能、杖技使用可能がついているらしい。
本当なのかどうかが気に成り、レグア先生の所に手伝いに行くときに一本作って持って行って調べてもらったところ、森羅の里木刀というユニークウェポンで先ほど言った特殊効果までしっかりついているという事が分かったが、あくまで鑑定程度のレベルだと森羅の里木刀までしか判らなく、追加効果は隠された性能と成って居るとの事だった。
帰りに冬夜に相談したところ、良いんじゃね里の名物ってことで売れるなら里も潤うし。
などと言われてしまい、どうせ魔木が切れたら店じまいだと思っていたが、一生使っても使い切れないほどの魔木を、冬夜に渡されそれを収納にしまって帰ることとなった。
どう処分しようかと困っていたから処分先が見つかって助かった。
そう冬夜が言い出して、ふざけんなと思わず掴みかかったが撃退されたのはいい話だろう。
最近発覚したことだが、収納の中に入れた物も収納の中で直接加工できるように成って居た。
非常に精神的に疲れるところを見ると、魔力かなんかを消費してやっているようで、手作りしている時の十倍程度の量が一日に作れた。
これをやったら気絶してしまったのだが、翌日には作れる量に少し余裕が出来たり、作れる数が増えたりしたので、寝る前に布団の中で限界まで作成しておいている。
これが後々どのような結果に成るなどとは全く気付かないフリをしたままでだが。
暫く繰り返していると、作れる量も初期に比べると十倍以上となり、一生かかると思われていた木刀製作が終わり、ついにウェポンマイスターの称号が付いた。
ついた記念に、休日に冬夜に頼んで初めて鍛冶場に連れて行ってもらい、一本の刀を打たせてもらった。
周囲の連中が、こんなガキにできるわけがねぇと侮られていたが、見た目は子供だが、砂糖組との訓練のおかげで体力も力もついているので、冬夜がそこで一番の腕を持つ人に相槌を頼み準備をして一発目の槌を落とした所で完全に周囲が静まり返った。
黙々と完成形を想像しながら打ち込み、折り込みそしてまた打ち込み伸ばしていく、冬夜に前もって聞いていたところ、今使っている日本刀より長い野太刀を希望されたので、そこを目指し熱し叩き伸ばし折り込み冷やしを繰り返す。
朝から始めてそろそろ夕方に成るだろうか、飲まず食わずでひたすら続けていたがようやく後は砥ぎと言う段階まで行きついた。
そこもしっかりと仕上げると、前もって作っておいた白木の鞘に一度しまう。
刀には真打と影打と呼ばれるものが有るらしいが、流石に体力的な問題と間も空いてしまうからという事で今回は一本だけで済まさせてもらった。
白木の鞘を受け取った冬夜は、一度見据えるとアダマンツリーの枝を取り出し、固定するとそれに向かってかまえ鯉口をきると居合を放った。
その一刀だけで柄が砕けてしまったようだが、アダマンツリーは固定から外すと綺麗に切れていた。
冬夜に素晴らしい一刀だと言われ、アダマンツリーで作ってある本命用の鞘と柄を取り出し、それらに全てを換装すると、再度冬夜へと渡した。
「初めて打った刀が御神刀に成るってのも、変な気分だが受け取ってくれ」
「有りがたく使わせてもらうよ」
その後相槌を打ってくれたおっさんにお礼を言ったら、弟子にしてくれと言われ、親方がそんな事を等と騒ぎに成ったり、打ち上げと称した呑み会に拉致され、危うく酒を飲まされそうになったり、必死に断るのが大変だっりなど一日だけで色々な目にあったとだけ語っておく。
予想よりも早く覚醒した称号の扱いに困りつつ、今後も訓練だけは続けていこうと心に誓った。
何せ翌日は、物凄い筋肉痛に襲われて結局訓練と学校を休んでしまったからだ。
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