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第三十七話 頼まれたレグアさん

 歓迎の宴の最中に冬夜からの呼び出しが有った。

 里の者がほぼ全て集まる中を抜け出しての呼び出しだったので、少し期待していたが残念ながらそんなことはなかった。

 冬夜からの話は先ほど言った冒険者組合向けの依頼だった。


「それで、如何すればいいんですか」


 ややあきれ気味にそう聞くと、冒険者組合にある登録の魔道具なるものを併用できる登録型の倉庫用の腕輪が欲しいとの事だった。

 また面倒なものをと思ったが、そもそもその登録の魔道具自体は、既に解析が済んでいるので、作ることもできるし、腕輪の方もそれの波長に合わせた上で、登録型を作ればいいのでそこまでの手間はかからないと気付く。

 明日の夕方辺りに作って持っていけばいいかを確認し、問題ないとの事なので造ったら微調整が必要になるかもしれないので、直接行きますと伝えた。

 その後はやけ食いして居たら詩歌に声をかけられたので、説明したら起こりながら冬夜の元へといった。

 しばらくしたら、冬夜がやってきて勘違いさせたようですまなかったと謝罪された、瘤が出来ていたようなのできっと何かあったのだろうが、折角謝罪してきたので気にしてませんからと流しておいた。


 翌日は少し飲み過ぎたのか朝はしばらく二日酔いで苦しんでしまい、朝食は仕方ないので学校の調理研究部門の方でおかゆを食べさせてもらった。

 やや癖のあるおかゆだったが食べ終わり少ししたら、二日酔いも治り午後までの授業は問題なくこなせた。

 子供たちの発想は凄い、冷蔵庫の逆を作れないかと質問してきたので、何に使いたいのかを聞いたところ、家族が忙しくてご飯を作りおきし凍らせているが、食べるときに囲炉裏で温めるとどうも燻されて美味しくないので臭いを付けずに温めたいとの事だった。

 料理を作り置きして凍らせておけば、食べたいときに温めるだけで済む、収納が使えない人たちにとっては、かなり便利かもしれない。

 それにその子はよく見れば親友の弟だった、確かシルヴァイルとか言ったはずだ。

 賢いと散々自慢されたのを覚えているが、確かに賢いが冷凍させた夕飯ってあの子どれだけ仕事漬けなのよと思ってしまったのは言うまでもない。

 普段なら算術を教える授業ではあったが、早めに切り上げて課外授業と言う形で、魔道具政策室に向かい、冷蔵庫と冷凍庫の仕組みと、それらを構築する魔術回路の仕組みと組み方を教えた。

 生徒に教えて一日二日で終わる内容ではないのでこの内容を詳しく知りたい場合は専門課程に入ったときに選択するようにと伝え授業を終了する。

 そのまま教師たちの集まる部屋に行き、どんな内容を行ったとか、生徒たちのなかで受けがいい物悪い物や、今後の事も兼ねてどの辺りが苦手そうか得意そうかなどの話をする。


「どうしたんですか、ため息なんかついて。流石に子供相手は疲れますか」


 そう聞かれたのは、魔道具の授業を受け持つマレーナだった。


「ああ、マレーナ先生そうじゃないんですよ。冬夜がまあ謝ってくれたのですが…」


 昨日の出来事を話し、この後魔道具の製作とかが有る事、そして生徒から出た凍らせてある食事を食べ頃に暖める魔道具の話をし、試しに作ってみるべきかを悩んでいる所だと話した。


「ああ、確かにあると便利そうですね。私収納使えませんからもしできるなら凍らせて持って来て、学校の冷凍庫に入れて置いて食事時に食べ頃に温められればお昼がだいぶ浮きますね」


 なるほど、学校にも食堂はあるがそこで毎回食べていては結構な費用に成る、生徒たちで混み合いもするので、タイミングが悪いと授業に差し支える者も出そうだ。

 一度作ってみることにしますとその場で話し、午後は授業が無いのでそのまま教師用の魔道具製作室へと篭り、冬夜の依頼の品を作りながら、どうやって温めるかを考える。

 材質は金属で作るしかないとして、どのぐらいの温度にすればいいか、常にその温度を維持にするか、箱の中自体をその温度にするのか、対象だけをその温度にするのかなどを考える。

 とっくに依頼の品は完成していたが、そのまま思考に耽ってしまい、温度は調節が効いた方がいいのか等と、どうするべきか悩んでいるとドアがノックされた。


「開いているのでどうぞー」

「レグアできてるかい、にしてもそれはないんじゃないか」


 そう言われてふと気づくと、自分の周りに大量の紙が散乱していることに気付く。

 その一枚を冬夜が拾い、電子レンジみたいなものか。と言った言葉に私は食いついた。


「冬夜電子レンジってなんです。あと腕輪はそこにあるやつです。きちんと組合の魔道具の波長に合わせてますから、そのまますぐにでも使える筈です。もし微調整が必要な場合はお任せします」


 本当は組合に行って確認したかったが、この加熱箱の案をまとめたかったので、思わず丸投げしてしまった。


「ああ、仕事早いなあ。それで電子レンジっていうのは前に話したっけか、物を暖めたり冷やしたりすると中の微細な粒の動きが速くなったり遅くなるって」


 前に教えられたことなので記憶にあり首を縦に振る。


「それに外部から干渉して、温める方法で中の対象物だけをその加速させるための力に晒して、加速させて温度を暖める機械だな」

「なるほど、魔法的にするなら箱の中に物を入れてそこの中身にだけ加熱効果の魔法を当てるような感じですか」

「大体はそんな感じかな、こっちのは照射時間で温度を調節する感じだが」

「魔道具で再現するなら温度を指定させて加熱すれば大丈夫ですかね」

「そんな感じだろうけど、入れ物まで熱くなるからそっちをどうするかだな」

「そこは、耐熱術式組んだ食器でも用意すればいいでしょう」

「そうかさすがファンタジーだが、それってこの里でしか使えないよな」

「そうでもないですね、最近見つけた式を使えばたき火に投げ込んでほっておいても常温を保つ器程度なら、どこでも使える永続化付与型の術式が出来ますから」

「なるほど、そうしたら加熱箱は温度の調節と加熱開始を組み込んで、対象の加熱終了時に自動で停止するようにすればいいんじゃないかな」

「ふむ、なるほど暇な時に作ってみます」


 じゃあこれお駄賃と言って冬夜は金貨四枚を置いて去って行った。

 お駄賃と言うレベルじゃないのを理解してくれないなあと苦笑しつつ回収しておいた。

 どうせ加熱箱を作ろうとしていればこの位の金額は無くなってしまうだろうと思ったからだ。


 翌日冒険者組合の組合長が、学校に挨拶に来ていたがその時に呼び出されお礼を言われた。

 どこであれだけの技術を身に着けたのかと言われたが、アカレ子ちゃんの事は内緒なので、色々と文献を漁り試行錯誤を繰り返しましたからと答えて誤魔化しておいた。


 実際この里で作られている魔道具は、基礎編、応用編、実践編、それぞれの魔道具毎に、文献としてまとめてあり、生徒ならだれでも閲覧ができる。

 基礎編は、現在この世界で一般的に知られている魔道具の製作方法、応用編はこの里でやっている特殊な作り方の基礎が収められている。

 実践編は応用編を基にした魔道具の作り方が収められており、この里限定での使い方しかできない物の作り方となっている。

 魔道具毎の方は、外に持ち出す際の魔石補充式の作り方も書いてあり、魔素が濃い場所向けの場合何処の部分を排除してあるか等の解説もつけて、基本は魔素が濃い場所向けの作り方となっている。

 後半の物に成るほど応用編でしか書かれていないが、素材に関しては樹液だけが問題となり他は正直なところ何処でもほぼ手に入るものとなっている。

 樹液は、前提として魔素が濃い場所に生えてくる特殊な木の為採取できるものが限られてしまうのだが、基本的には、基礎編の材料のどれに当たるかは、応用編ですべて語られているので、作ろうとさえ思えば材料の難はあるものの、一般的なものに置き換えて製作が可能である。


 ぜひその文献を見せていただきたいと言われたが、学園長に許可をとって下さい、そろそろ授業が始まりますのでといってその場から逃げておいた。

 実際には授業は無く加熱箱の試作品の作成だったがそこはどうでもいい事だろう。

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