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第三十六話 組合に訪ねてきたのは

 出てみると、一人の女性が立っていた。


「こんにちは初めまして、レグアと申します。魔道具関連についてでお知らせがあって参りました」

「こんにちは、初めまして冒険者組合森羅の里支部長のロンです。それでお知らせとは」

「こちらで街の魔道具を使用する際に魔石を使わないように出来ますが如何致しましょうという話です」

「それは素晴らしいですが、何か問題はあるのでしょうか」

「私じゃないと出来ないので一度その魔道具はすべて解析させて頂く事に成ります」

「それですと一部はお願いできなくなりますが、そのまま魔石で使った場合はどうなるのです」

「使う時に入れて消費するタイプであれば良いのですが、常時入れたままで使うタイプですと過剰供給対策がされていない場合壊れます」

「ぐ、それはまずいですね。ひとまずこの通信水晶だけお願いできますか」

「はい、では少々お借りします」


 そういうと、レグアと言った女性は水晶を手に取り見つめた。

 数秒もするとそれをテーブルに置き、収納からペンとインクを取り出し水晶に何やら書き込み始める。

 書き込まれていく文字の色を見る限り何やら銀のような色合いをしていたので聞いてみると、銀と塩と樹液で作られた専用のインクだと答えられる。

 書き込みが終わると、呪文を唱え文字が光ったかと思うとすべて消えていた。


「はい、これでこのまま使えるようになりました、台座の方の魔石は全て外してから使って下さい」


 そう言われたので、台座から魔席を外してから起動してみると、全く問題なく起動が出来た。

 普通魔道具を作るとしたら数週間から数年かかると言う事実を、組合員たちは知らなかったので驚くことはなかった。

 早速、街の組合と連絡を取り到着の知らせと魔道具に関しての報告をすると、守秘義務を付けた上でやってもらう分には問題なしと判断された。

 なので、その辺りも含め説明しそれで問題が無いという事なので、お願いしたところ全ての魔道具を先ほどの水晶のようにしてもらえた。

 もしこの光景を魔道具作成を齧ったことが有る者たちが見れば卒倒するような内容である事には誰も気づいていなかった。

 お礼を言い、費用はと聞いたがこの程度であればそうですね、先ほどのインクを作るのに銀が必要なので出来れば銀を頂ければと言われたので、銀貨で問題ないかを聞いたところ問題はないと言うので、銀貨を百枚ほど渡したら、多すぎですと慌てられたので、加工してもらった備品が壊れた際の修理費を説明すると納得して受け取ってくれた。

 この魔道具は壊れた際の修理費が最低でも金貨一枚からかかる、なので壊れた際又同じようにしてもらう事を考えると、安い出費でしかないのだ。


「そちらの品や魔道具関連が壊れたら言って下さい、そちらの備品も含め修理から製作まで可能です」


 彼女はそう言って去って行った。


「支部長今の子修理から作成って言ってた」

「言ってたな、あれって確か作れる奴を育成中で、あと二十年は後継者育成にかかるって言ってたよな」


 カノッサとダウロがそう言ってきた、この里の魔道具の量は異常だった、案内された際に一般家庭も案内されたが、厠、風呂、台所にあった箱などを紹介されその性能に驚かされた、そしてこちらもその箱、冷蔵庫と冷凍庫を購入したが安かった。

 この二つは街でもあるらしいが、一部の貴族と商会と高級料理店位にしかないという噂の物である。

 それがここの里限定とはいえ、簡単に購入できてしまう価格であるのに驚かされた。


「ここの里学校が有りましたわね」

「読み書き算術を教えてる小さな子供向けと、専門技術を研究したり教えている所が有るらしいね」

「この里の認識を改めないといけないかもしれませんね。内務職員として雇うなら下手をすれば里の子供たちの方が有能かも知れません」


 皆でそういった話をしたり途中で昼食がてら里の中央で色々と食べ歩きを済ませた後、ようやくすべての準備が整ったので、夕方に成ってしまったが冒険者組合を開き受付を開始した。

 開始すると皆順次入れ替えるようにやってきて、里の者全員が冒険者登録を済ませた。

 事前からそうなることを聞いていたので、プレートは里の者たち全員よりかなり多めに持ち込んでいる。

 皆自分用のプレートが出来上がるとお互いに見せ合ったり、早速お金をプレートに入れたりしていった。

 全員の登録が終わったところで、冬夜がやってきて組合の建物内の倉庫についての相談を持ち掛けられた。


「この倉庫、里で使っている倉庫と同じ方式にでもしておくかい」

「里の倉庫が分からないので何ともですがどんなものです」

「時空間倉庫って方式で中に入れた物は完全に時が止まるんだが、休憩所の風呂みたいに広げたりもできる、中に入って作業するには専用の腕輪を付けておかないと中に入った途端時間が止まる事に成るんで、盗賊とかも腕輪が無い限り入っても動けなくなるだけって代物だ」

「防犯性などを考えればよさそうですが、中で止まった者が居た場合はどうなるのです」

「外に出せばその時点から時間が動き出すんで、本人は何が起きたかわからないだけだよ」

「なるほど、お願いするとして一体幾らに成るんですかね、拡張技術は物凄い価格だと思いましたが」

「なに、腕輪代で一つ金貨一枚以外は拡張はただでいいよ、広さも先に言ってもらえればそれに合わせる」

「待ってください、広さ自由で無料って普通は広さに合わせて安くても金貨数千枚とかの価格ですよ」

「いやほら、これから里でやって行く人たちへのサービスさ、大した労力もないからね」

「そんな馬鹿な」

「まあ気にしなさんな、この里でこの程度の事で動揺したらきりがないぞ」

「では、広さはこの位で、腕輪は固有化は出来ますか?出来るのでしたら私達用に六つと、登録の魔道具と言うのが有るのでそれと併用できるものが作れるのでしたらそちらを四つほど」

「固有化はすぐできるけど、そっちのやつは別のに頼む事に成るな、まあ金貨十枚で」


 では此方をと金貨十枚を渡すと、まず腕輪をそれぞれに渡された。

 既に登録は済んだから、それをそのまま使ってくれと言われ、倉庫に向かい中に入っていき五分ほどすると出てきた。

 出来とるよと言ったので、さっそく私が確認しに行くと指定通りの物が出来上がっていた、ダウロが腕輪を収納にしまったままやってきてどうなんですかいと言いながら入ろうとしたが、『どうなんで』辺りで全身が中に入ったのか完全に固まって動かなくなっていた。

 彼は大きいので、ロンと、モロウの二人係で何とか運び出すと、『すかい』といって周りを見て慌てていた。

 これは素晴らしいと言う感想しかなくお礼を言おうとしたら、カノッサからすでに彼は帰ったと言われた。

 そうして赴任一日目が終わり、本日だけは組合を閉じ宴の誘いに参加した後、翌日以降のシフトを決めてから風呂に入り解散した。

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