第三十五話 到着した組合員たち
出発してから四日目の朝を迎えた冒険者組合員一行は、朝食も済ませ準備を整えると、早速集団転移で距離を縮めた。
今回は転移を行うのは四人、昨晩の打ち合わせでロンとカノッサは到着後すぐにでも準備を開始してもらうため体力や魔力は温存しようと言う話に成って居る。
今回は転移で馬の体力もかなり温存できているので、連続二回の転移の後は一気に駆け抜けて昼前には里につければいいと言う話に成って居る。
距離的には転移後に馬を走らせれば、そのぐらいに間に合うのではないかという話を、前日三日連続で夜に料理を届けてくれたスクナさんから説明された内容で予想できた。
「スクナさん、この先後どのぐらいで里につけますか」
「ああ、ロンちゃんそれなら外に出て説明した方がいいよね一寸おいで」
そういって外に案内されると、遠くの方で路が横に曲がっているのが見えるかいと言われたので見てみると、かなり距離はあるが先の方で道が曲がっているのか街灯が横にずれていた、遠視の魔法を使ってみたところ確かに曲がっており判ると答えたら、そこまでいけば里が見えると教えられたので、あそこまで飛べば後は馬でもお昼までに着くだろうと予想を付けた。
早速、昨日確認した曲がり角まで飛ぼうと言う話に成ったが、流石に二回分の転移だけではそこまで届かず、そこからは馬を急がせたところ、少し進んだたりでくだんの曲がり角についた。
そこから里が見えるとの事なので、一度馬を停め見てみたところ、馬どころか直接走っても昼頃には付けそうな距離だったので、そこからは馬なりで流すような感覚で里に向かった。
徐々に里の入り口が見えてくると、何やら入口の所に紐らしきものが有り、里の入り口の上には『終着点ようこそ森羅の里へ』という看板がでかでかと立っていた。
何ら問題はなっそうだったので紐の前に泊まり下りて近づくと、代表者らしき者からそのままこちらにお進みくださいと言われたので、紐にぶつかりながら入ると紐がぷつんと切れた。
それと同時に、そこに集まっていた者たちから『ゴオオオオオオル!ようこそ森羅の里へ』といわれ、歓待されたのだが、その展開に私たちはついていけず呆気に取られていると、人垣が二つに割れ冬夜と呼ばれた者と、何故かコウサ様がやってきた。
「やはりお前たちが一番乗りか、長旅ご苦労」
「はあ、なぜコウサ様が既にいらっしゃるので」
「それは、ここも私の領だからな。新規開拓里とはいえこういう時は出迎える者だろう」
「え、ここも領内だったんですか、聞いてませんけど」
そういうやり取りをしていると、先ほど出迎えた者たちの代表者らしき男性がやってきた。
「どうも初めまして、この里の長グレコモースと申します」
「初めまして、私はロンと申しまして、新設される冒険者組合の支部長をやらせていただく予定です」
二人は握手を交わし、領という話について確認をすると、そもそもがこの森自体を領として最初から賜っていること、そのために定期的に調査や討伐などを行っていたこと、そして里の方にそのことを事前に話した結果、法律や税などといったものが無いので、折角だからそちらに属しそちらの方式に習っていこうと言う話で落ち着いている事などを説明された。
それを聞いて私は、今までと同じやり方で問題が無い事に気付き助かったとホッとした。
到着後は、到着パレードとして里の中を一周させられ、あちこちで色々なものを頂いた。
とはいえ、食べ物などはなく、そちらは夜に宴を開くのでそこに来てほしいと言われる。
頂き物はすべて実用品であった、冒険者組合森羅の里支店へと全て運び込まれ、中の体裁が整っていく。
けち臭いやり方で申し訳ないとグレコが言っていたが、扱いに困るものをもらうよりもこうやって実用品がそろっていく方がよっぽどありがたいと答えておいた。
その後、グレコたち皆が去った後に偉く太った男性がやってきて、内装担当のヨダっす宜しくっすと言った者から必要なものが有れば、此方の紙に左端を名称、その横のこの枠に数を記入したリストにして渡して欲しいっスと言われたので、足りない家具や、気に成って居たそろばんなど必要なものをリストというのが分からなかったが書き込み一覧を作り渡すと、そこに単価と総額が書き込まれて行き、この位の価格に成るが構わないかと確認された。
その値段を見て驚く、森の中だし棚などの木製製品はこちらの街での価格よりは安いのではと思っていたが、半額以下で、気に成って居たそろばんだが、こちらはインクを買う程度の値段で済んでしまうようだった。
カップなどの日用品も木製と瀬戸物とガラスが有るがどちらがいいかと聞かれたので、金属はないのかと言ってみると、金属で食器は作っていないので見た目なら瀬戸物、中が見えるのがいいならガラス、頑丈さなら木製と言われた。
それぞれを一度見せてもらってから決めたいと伝えると、サンプルとして収納から取り出して見せてくれる。
それを見てそれぞれに欲しい数を伝えていった。
そして何より一番驚いたのは建物内部に最初から、休憩所にあった厠が複数と数人が使えるお風呂がついていた事、二階建てに成っており、二階に職員用の部屋が用意されていた事だ。
魔道具という事を思い出し心配に成って、一日にどの程度の魔石を使うのかを確認したところ、一切の消費が無いと言われて驚き、ではこれを街の方にもつけることは出来るかと聞いたところ、付けることは可能だが街の方だと魔素が足りないので魔石を消費することに成ると言われる。
どの程度必要かを聞いて、やめた方がいいという結論に至った、何せ一日使うだけでも、街の組合に集まる三日分の平均魔石量を消費することが発覚したからだ。
この辺りは、魔素がものすごく濃いため、それを結界で防いでいる事、結界は修復するためのゴーレムが複数おり相互修復もできるため、相当な無茶でもしない限りは破壊不可能なこと、そして里の外側の魔素は発生し続けるためそれらを消費して里の中の魔道具全てを動かしていることを説明された。
なので組合内の品も盗難はほぼ不可能なつくりに成って居るが、盗難したところで外では魔石が無い限り全く使えないから、出来てもせいぜい技術を盗むぐらいしかやれることが無いとの事だった。
説明を聞き終わった後、注文書の品の代金を払うと、太った男ヨダは配置を聞きながらそこへ収納からどんどんと品を取り出し並べていく。
私を含めた組合員たちはその作業に呆気に取られてしまう、何せ収納という物はそこまでの物が入らないはずだからだ、なぜそんなに容量が有るのかと聞いたところ、沢山しまえたら沢山食べ物が入れられるんでさあ、いつでも好きなものが食べられるようにしたいんで頑張ったっすと説明され、収納だと冷めませんかと聞いたが、作り立てそのまま取っておけるっスよと答えが返ってきた、それは収納じゃなくて最上位スキルの時空間収納じゃないですかっ!と声を荒げて行ってしまった。
そういえばそんな事言ってたっすね、最初は冷めちゃって悲しかったけど色々頑張ってたら冷めなくなったっスよ。と答えが返ってきた。
この里の人たちは何かがずれているんじゃないかと思い始めたのは言うまでもない。
彼は会話しながらも全ての物を並べ終わらせ、じゃあこれで大丈夫っすね。と聞いてきたので肯定した。
「じゃあ毎度有りっス、なんか足りないものが有れば里の入り口からこの辺りまで続く職人通りで、食事関係は里の入り口付近の宿か広場の屋台街で済ませばいいと思うっス。自炊するならそっちの調理場を使うと良いっす。」
といって去って行った。
早速入り口を閉じて、皆で持ち込んだ備品を棚に詰めたり、受付カウンターなどの準備を済ませる。
一通りが済んで、通信水晶を設置したあたりで、扉が叩かれた。
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