第二十八話 里が完成、だが街道は?
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それからやく半年が過ぎ浄化装置が廃止され、医療施設の中に浄化室として新たに配備された。
里の結界の方も広場に塔型のメンテナンスゴーレム配備の物を設置しなおし、アカレ子が手をかける必要もなくした。
そして教育や育成部門は、小さな学校といった形の物を作りそちらへとまとめられた。
焦点に関しては、里の広場に円形を描くように配置し、里の入り口となる場所の方から宿が立ち並ぶようになった。
各専門機関は里の入り口から中央広場に向かうように配備され、中央付近に両替所と冒険者組合の建物も建築した、中はまだ掃除が行き届いているだけでがらんどうである。
各店舗は既に、里の住民向けに解放され賃金なども発生させしっかりと金銭感覚も養わせておいた。
そして温泉は、里の入り口付近にある者とは別に、そこから管を引いて各家庭のお風呂を設置することとなり、共同温泉以外に、宿屋の温泉、各家庭にも温泉となった。
各家庭に温泉があっても、共同温泉を好き好んで使う物も多く、これは機能や備品の事もあるのではないかと思われる。
一応小物店で、石鹸とシャンプーとリンスは何とか開発し販売をしているが、少々割高に感じられるのか、自宅より無料で使える共同温泉でという者が後を絶えないともいえる。
共同温泉で汚れを落としたのち、自宅でゆっくりと心行くまで入る派もいるようで、入ってすぐに出てくる者も多い。
問題は街道であった二日前から冬夜が本気で頑張っているようだが、今日中に完成するか怪しい雰囲気が出始めている。
原因は、ここ数日のコウサからの通信である。
調子よくやっているタイミングに限って連絡をしてきて、相談事を持ち込まれる。
それを解決するために少し労力を割いてしまうと、一人でやっているためどうしようもなくなってしまい、結果的に遅れ始めているというところだ。
コウサはコウサの方で、それにより遅れていることに気付かず、会頭やお抱え達からまだかまだなのかとせっつかれている現状であった。
光る水晶を手に取り、コウサとの通話をつなぐと、街道はまだなのかと言う話であった。
仕方ないので、森の町側の方へと移動し、コウサを呼び出し、少し派手な事をやって良いかの確認をとった。
避難が必要かと聞かれたので、必要だと答えると急いで、手配をし森の中の警備をしていた冒険者たちも呼び戻し、街の中へと入らせた。
今ここに残っているのは、両会頭とお抱え冒険者たちとコウサと、離れた所に居る門番だけとなった。
門がしっかりと閉じられてそれ以外からは見れないようにしてもらったところで、冬夜は森のこちら側の繋ぐ予定地に立ち腰だめに日本刀を構えた。
「今から見せることは、真似しようとかは考えない方がいいほどの非常識だ。皆覚悟はいいか」
全員が、何事かと行きを飲み込みつつ頷いた。
瞬間冬夜がぶれて消えたと思えば、もう少しの所まで来ていた街道までを遮っていた木々が倒れ、その先に冬夜が立っていた。
あとから起こる木の倒れた音と振動にその場に居た者たちはまた息を飲み込む。
「あれもう、人やないわ、なんていうか別次元?人として存在しているように見える何かですわ」
「でもこの切り倒した起動するんですかね、確か明日からの予定でしたよね」
「あの収納でしまうんじゃないかね。それにしても切株が問題だが」
そう言っていると、冬夜が戻りながら次々と切り倒した木を収納していった、常識外だとは思っていたが、収納の方もそのようですべての木を楽々と収納しきっていた。
「さて、んじゃお次は、土木魔法得意なのは居ないか」
「あ、出来るよ。うちのチームだと一人は必須なんで私がやってるよ」
のんびりとした感じの眼鏡をかけた子がそう言った。
「んじゃ、サポートするからこの術式を頼みたい、ちょっと苦手でここまでつなぐだけでも苦労したんだ」
「ん~ん?んんんん?いやこの術式、私じゃ力不足で無理だよう」
「そこはサポートするんで、相性のいい奴が遣ってくれた方が早いから」
「こんな術式だと、失敗したときが怖すぎるんだけど、下手すれば私死ぬし」
「ああ、サポートするから失敗『だけ』はないんで安心してくれ」
「なら失敗しても知らないけどやるよ」
そういって眼鏡の子は詠唱を始めるだいたい三分ぐらいが経過したところで脂汗を流し始めたが、ふと冬夜が肩に手をかけるとそれが治まって行き、驚愕しながらも詠唱を続けた。
きっかり五分ほどが経過したところで、術式が完成したのか発動される、結果的に言えば成功した。
何せ目の前の切株だらけだった道が、その先につながる道と同じように、きれいに整地され出来上がっていたからだ。
「ひいいいい、もう二度とやりたくない気がする術式だったよ、補助無かったら私死んでたね」
「そうか、筋はよさそうだったから、次は自力で出来そうな感じがしたぞ」
そう言われて、何やらわたわたとしながら急いでどこかへと走っていき、暫くすると目を輝かせながら戻ってきた。
「ほんとだよう、ほんとに階位が上がってたよ。私でも普通だったらあと五十年はかかりそうな階位まで上がっちゃったよ」
その言葉にその場にいた全員が驚愕した、さらにその子が言い出した事実で二度目の驚愕をすることとなった。
「階位は上がってたけど、さっきの術式はやっぱりまだ使えないよ。やってみようとしたけどあと最低でも二階位位上げないと無理そうな感触だった」
「そもそも、ルセアの土の階位ってどこら辺だっけ」
「ああ、モスっち、さっきまでは第八階位だったよ」
眼鏡の子はルセアというらしい、声かけた方はモスと言われていたがきっと同じ集団なのだろう。
「それが今はいくつまで上がったんだい」
アリッサが問いかけたところ、驚きを通り越す事実が語られた。
「んん、今は第十三階位に成ってるよ」
「それで足りないってことは第十五階位だから、神域の術式と言われる領域じゃないか」
「そうみたい、良く生きてたよね私、ふつう唱えている途中でさっきみたいになったまま暴走か気絶か死んじゃうよね」
「それを平然とやらせてこなさせてしまうこのお兄さんは一体何者なんだか」
「しがない旅人の料理人ですよ」
全員がそんなわけないからと言い出したがスルーしておいた。
暫くすると反対側からアカレ子とウォンドラ結界を張ったりしながらやってきた。
「お父さんは一体何やってたりやらせてたりしてますかね」
「おうアカレ子いいところに、俺土苦手だからさ、得意な人にやってもらったんだけどダメだったのか」
「お父さんの苦手は、一般的に言うところなら神レベルの技術ですからね、そもそもあれを一般人に扱わせようとすること自体が間違っていたはずなのですが…ふむ」
「このこがあなたの娘なの?見た目的におかしくないかなあ」
「これでも生後一年ぐらいか?で急成長したからなあ」
そう言われて全員が驚愕した、もうどうとでもなれと言った雰囲気が醸し出された。
ひとまず完成もしたし、あとは任せたといって冬夜の転移で森霊を含め三人が帰って行った。
「完成と言ってましたし、早速行ってみますかね」
ミナスのその一言に促されて、領主は門を開かせ街道が通じ新しい交流が生まれることを街の中央で知らしめた。
既に準備が終わっていた両商会は回答が先陣に立って早速馬車で旅立っていった、もちろんその護衛としてベルシーカー以外のお抱えがついていったのは言うまでもない事であった。
ベルシーカーは領主とともに、その後から追い越すように早馬で駆け抜けていく。
しっかりと例の皮袋に食料を詰め込み準備万端にしておいたようで見事なほどの軽装であった、それに派遣予定の両替商と資金運び役、冒険者組合の係員数名が並走していった。
ようやく里と街がつながりました。
真っ先につくのは一体誰に成るのやら。
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