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第二十六話 コウサたちのその後

本日二話目です。


ブクマ評価ありがとうございます

 会議室での出来事から数日、二人の運営する商会は領主のお土産を見て活気づいていた。

 ミナス商会の方では、今までにない生地で汎用性が高く現状の衣服より頑丈で安価なものが作れるのではないかという意見と、貴族たちが喜びそうな衣装の案にそれらを実現できそうなくらいの技術者の存在、そしてもう一つの生地の寒い場合においての有用性についてだ。

 シープボアの毛は今までも、防寒具や毛布などに使われていたが、今回のはそれが柔らかく今までのよりも防寒性が高いと来ているし、もう一つの植物で作ったと言われる生地は、やや硬い物の頑丈で過酷な環境での使用に向いており長持ちしそうだという事がある。

 そして、領主様が実際に着て見せてもらったゴスロリという衣装だ、こちらは若い貴族女性の一部でもてはやされるに違いない、真っ黒い服だったが、フリルと言われる部分を減らし色を白やそれに近い色にすれば、さらに人気が出るであろうことが分かる。


「しかし会頭これ、俺たちが仕入れられるときに一体いくらに成るのかと、どれだけの量が手に入るかが予想がつきませんぜ」

「うるせぇ、そんなの判ってんだ。しかし貴族向けの方で派手に稼げるだろうが、こちらのウールとかいう生地と、モメンだかって生地の方だこっちの相場が読めねえ。安いなら良いんだがなんともな」


 そう言って頭を悩ませ続けるのであった。



 一方のソトラ商会では、さらにひどい騒ぎと成って居た、それはあのゴマアンマンを食べた時から思っていた事だった、流通が始まれば即座のあの元となった甘味を押さえなくてはならない事と、それがいくらに成るかという事が主だ。

 正直現在砂糖と塩は高い、今でもかなりの値段がする胡椒や一部地域のみで取れると言われる唐辛子も高いが、安定して量が出せるにもかかわらず砂糖と塩は高いのだ。

 ハーブなどは今では各自が家庭で趣味で栽培する程度に一般的になってはいるが、塩は岩塩と海からしか入手が出来ず、砂糖に至っては完全な地域限定特産となっており、そこからの輸出のみですべてが賄われている、殆どの国で砂糖の栽培に挑戦したが、気候が合わず結果的に国同士の約定の元そこから価格固定で輸入する形となっており、その土地から遠いほど値段が跳ね上がる仕組みに成る。

 なので、もしこの甘味が安定して供給されるのであれば、ゴマアンマンの様な甘味を大々的に扱いそれで更にのし上がることも可能だと思われたからだ。

 何せ土産と言い持って来ていた量は、自分たちがそれぞれ四つほど食べても余るほどの量であった。

 そこから推測するに、あちらではあの甘味は気軽に食べられるものとなるので、是が日にでも素材自体を仕入れられればと思っているためだ。

 さらに後日、招待されて振舞われた食事にも度肝を抜かれた、今までに味わったことのない味だが、それが素晴らしく美味しい事だ。

 ただ食べるほどに汗が出て大変だったことが有る、旨い辛いでも止められない、旨い苦いでも止められない、ただただこのような暴力的な旨さに蹂躙され、自分たちの料理とは違う新たな料理の道を見せられた。

 これだけ色々な料理でも多分ほんの一端にすぎないだろうと覚悟を決めて当日に臨もうと決意を固め、食べたことによる影響なのか、体の調子が普段よりも良い事にも驚きつつも仕入れのための資金調達を始めた。


「オヤジィなんかスゲーけどどうしたんだ」

「おう、バカ息子世界は広すぎるって実感しなおしたところだよ」

「そりゃ広いだろ親父だってようやく先日この大陸のすべてを回り切ったばかりじゃねえか」

「いや、まだ回り切ってないな、そこに行く準備でこれから忙しいからよ、商会の管理は任せるぞ」

「またかよ、今度はいくら必要になるんだ。城一つ分か」

「最悪そのぐらいかもしれんな。ただまあ見返りを考えれば安いもんだぞ」

「おいおい、冗談じゃねえぞ。この前だってやっとこさ用意した城一つ分吹っ飛ばしやがってからに」

「それはそれ、これはこれだ、あれはあくまで知識欲に駆られていただけだが、今回は違うぞ」

「又捕まって釈放金と旅行を繰り返して総額で城一つとかな阿保な事さえ起こさなければいいんだがな」

「がっはっは、ちげぇねぇそうならねぇように気を付けるよ、片道半月ぐらいらしいがな」



 コウサは帰還後溜まっていた書類仕事を始める前に、領主の館から急いで冒険者組合へと向かう。

 冒険者組合へ着くと真っ先に組合長を呼び出し、待つ間に現在発行されているクエストを調べていき、あちらへと関わりそうな部類を片っ端から剥がしていく。

 冒険者たちは見慣れた領主のいきなりの行動に困惑し、何が有ったんだ緊急動議かなどと皆静かに情勢を見守っていた。

 組合長がやってくると、剥がした依頼の撤廃と、代わりの新規依頼の発行を申請する。

 地図を広げ、森の一部地域を進入禁止区域とすることを伝え、それに伴った警備任務及び周辺生物の魔物以外の討伐禁止、例外として襲われた場合は捕縛ないし討伐は許可とする旨、等を発行していく。

 そして冒険者たちに説明をしようとしたところ、それは大蛇がらみですかと質問が飛んできたので、大蛇についての説明をし、驚いて攻撃などをしないようにと徹底を促した。

 里の此方とは逆に移住したそうなので大丈夫だとは思うが年のための措置だった。

 そのご、館に戻ると即時森への進入禁止区域についての案件を即時発布し、町全体へと浸透させるように立札を建て、説明させるために兵たちを動員させた。

 その後ようやく、書類仕事を始めそこから数日間はひたすら館に引篭り疲れるとゴマアンマンの残りを食べ何とか癒されつつ過ごしていった。



 そうこうして一月ぐらいが経過したところで、昼少し前に冬夜からの通信が入った。


『今そちらへ行って大丈夫か』

「ああ、今なら平気だぞようやくそちらに居た間の書類と今後についての手続きも一段落した」

「それは大変なこって、こっちも今は危うく過労で逝くんじゃないかと思っている最中だよ」


 いきなり現れた事には気にせず、メイドを呼びメイドに驚かれつつもお茶の用意をさせようとしたのだが、それより先に冬夜がお茶も茶菓子も持ってきた、一緒にどうだいお嬢さんとメイド長に声をかけた。

 お嬢さんと言われたことに一寸嬉しそうにしながらも、私にどうすればいいかと目で伺いを立てるので、頷いて許可を出すと、嬉しそうに此方へとやってきた。


「む、今度の茶は飲んだことが無い香りだな」

「そうだなこれは、烏龍茶という物で、一部では砂糖を入れたりもするが、何も入れないで飲む方が俺は好きだ」

「あとは、あのゴマアンマンか、これは嬉しいな」


 並んだゴマアンマンらしき物の天辺には、赤い点が無いものと、点が一つの物と、三つの物があった。

 胡麻餡まん、肉まん、あんまんというらしい、それがセイロという物に入っていた。


「まあ、ひとまずは食べてからにしようか、冷めると悲しいだろう」

「うむ、いただくとしよう」

「はい、頂きます」


 メイド長は、初めて食べたらしく、最初の肉まんで驚き、四分の一ほど食べるとそれをしまい、次のへと順に味わっていき、烏龍茶を飲んでほっとしたようで、顔をほころばせつつとても美味しゅうございました。残りは頂いて他の者たちと食べさせていただきたく存じますと言った。

 折角だからと、烏龍茶の茶葉も少し包んで渡して、冷める前に皆と食べて飲むといいと言ってやった。

 コウサもそうするが良いと言ったおかげで、メイド長はそのまま頭を下げると、部屋を出て行きメイドたちの元へと向かっていった、暫くするとそちらの方が騒がしかったが、きっと満足してくれたのだろうと思う事にした。


「ふぅ、美味しかった、この肉まんというのもいいな、あんまんはどうもさっぱりしすぎてゴマアンマンの方が好みな味だ。しかし本当に砂糖が潤沢なのだな、此方では高価だと言うのに」

「ほお、なら砂糖は主力として据えておいた方がいいか、それはそうとだ、此方の街中で活動をしたい、主に冒険者として素材を売りたいだけなんだが、なので身分証が欲しいので何とかしてもらえないかと相談に来た」

「素材って、魔物のか、又とんでもない物とかではないよな」

「ん、詩歌がうっかり倒しちゃった地龍」


 その言葉を聞いて声を失った、地龍と言ったな今多分あの地龍なんだろうけど、それをあの小柄な奥方が一人でうっかりで倒したと。


「いやまて、そんな物をいきなり冒険者ギルドで売りに出したら、買い取れないどころか騒ぎに成るぞ」

「うーん、困ったな。実は里の商店の釣銭用に貨幣価値を調べるついででと、此方のお金を手に入れたくて相談に来たんだ」

「ぐぬぬ、判った通行証は何とかしよう、あと地龍もギルドではなく此方で買い取ろうではないか、もちろん公平を期すためにギルド立会いの下で鑑定し、その上で解体は済んでいるのか?」

「解体は、倒してほぼ時間を置かず血抜きしてやったから残っているのは肉以外全部だな」

「ちょっと待て、ああいやもういい判った、規格外すぎるのはわかっていたが、しかし肉が無いのか、食べてみたかったのだがな残念だ」

「今喰ったじゃん、肉まんそれにはいっとったよ」

「うえええええ、待ってくれあの肉まんに入っていた肉がそうなら、あれ一個で金貨一枚はかかるぞ」

「なん、だと。そんなもんとは知らないで皆で食って今のが最後だったんだが」

「もういい、考えないでおこう」


 そのまま、ついて来いと言って、館からでていった。

 急に見知らぬ男が館から出てきたことに衛兵は驚くが、領主が共にあり彼は友であり何ら問題ないと言うので、納得は行かないが納得して仕事を継続した。

休みだったので調子よくやってしまいました。

常にこのペース位で書けたらいいのですが、そうもいかないのはご容赦ください。

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