第二十四話 コウサもやれば出来るらしい
出かける前に投下。
気絶していて結局何も食べていないのを思い出し、お土産の皮袋から食事を取り出すと、もらった時の状態そのままの物が出てきた、最初どう取り出したものかと思ったのだが、手を入れると頭に一覧が浮かび上がり、欲しい物を選ぶとそれが手に完食として伝わってきたのでそれを掴みだす。
「コウサ様それは一体」
「これは土産なのだ。皆がそろったらもっと驚くことにはなるが、朝以降何も食べてないので失礼するぞ」
その時丁度メイドが茶を入れてきたので、それを飲みつつ食事をしようと包みを開けたところ、食べ頃の時の温かさと香りが一気に広がり、嗅いだことのないおいしそうな香りに周囲の者たちの注目を浴びる。
向こうでの食事の度に使って居てやや慣れつつあったハシなるものを使い、少しずつ取り分けて食べていくと、先ほどまで呑んで食ってして居た者たちが興味津々によってきた。
「コウサさまぁ物凄く美味しそうなんですけど」
「んん…(ごくり)、ああこれは助けてもらったところで食べていたテンシンなるものらしい、赤いのは色の通り辛いのだが、これがまあ癖に成ってしまってな、食べてみるか」
「辛いのですか、ちょっと苦手化もだけど、おいしそうだからいってみたいです」
そういうので、少しだけ崩して食べさせてやると、一寸涙目に成りつつも美味しいですぅでも辛いですぅといって、ずっと味わいたくなったのかかみ続けていた。
結局その場に居た皆が少しずつと欲しがった結果自分では半分も食べられず、足りなかったので仕方なく又袋を漁り今度は、食後にと言われて渡された大きな包みを取り出した。
こちらもやはり暖かく、包みを開けると白いパンのようなものが沢山出てきた、確かゴマアンマンとか言われていた覚えがある甘いやつだ、少し癖があるがこれも美味しかったのを覚えている。
「皆が欲しがったから足りなくて一つだけ食べるのだ、残りはそろってから皆でな」
そう言ってやると、我慢して席に戻ってくれた。
それを食べ終わり、口元を直し一息ついたところで、残りの面子がそろった。
「皆の者、急な呼び出しにもかかわらず集まってくれてありがとう」
「死んだと思われていた領主様が戻って着ての招集です。駆けつけるのは当然でございます」
「へっミナスの言う通りだ。まったくどんな奇跡を持ち合わせているんだか領主様は」
「そういえばそうだ、あの大蛇に丸のみにされたとばかり思ってたってのに守り手でしたっけ」
「うむ、そのことなんだがな、アリッサ頼む」
アリッサは言わんとすることが理解できたのか、隔離結界を張った。
これにより、この部屋は外界と隔離される、結界の中に居る者以外には全く調べることが出来ず、もし調べるならば結界を破壊するしかないという代物だ。
「ん、大丈夫」
「まずの大蛇は驚くなよ、私達が驚いて逃げた後おいていった荷物をもって届けようとしていたそうだ」
「あの後あそこへ行ったら荷物が無かったんですがそれが原因ですかい」
それで、その荷物がここに有る、そういってコウサは袋に手を入れて、皆の荷物を床に並べていく。袋の口から考えると取り出せるサイズではあるが、深さから考えるとどう見ても入りきらない物が次々と並べられていく様を見て皆が唖然とする。
「それって、国の宝物庫に稀に存在するアーティファクトじゃないですか!」
「うむ、普通はそうだな、だがそこは置いておこう、どうせこれはこの時の為だけのもので、今後は使えるような代物ではない、何せばれた時点で戦争が起きかねんからな」
そう言った後、最も一般化すればそうでもないのだろうがと付け足した。
この袋自体はどうでもいいと言ってのけた領主に皆は唖然としたまま聞き返す、では本題は一体何なのですかと。
コウサは、大蛇から逃げた後の顛末を皆に語り、その里の事は今しばらくは内密にすることを厳命した。
「そしてこれが、向こうでもらったお土産で、あとは紙に書いたそれらの使い方だ」
そういって、土産として渡された色々なものを並べていく、使い方を書いた紙と生地などの衣料関係に興味を示したのは、アリッサと流石商人というべきか、ミナスだった。
現在里の方では、量産体制を整えるべく準備していることを伝えると、専売契約が出来ればなどとのたまって居た。
そうした後に、今度は一度は出すが、生ものはなるべく早くにしまうと前置きをしたうえで、まずは調味料などを並べていき、肉類や野菜類などの生もの系を取り出して並べた、此方をまじまじと見ていたのは食べるの大好き、ベルシーカーのリーダーのドングと、食料品を主に扱うトラングだった。
「姐さん、この肉ちょいといっていいですか」
トラングがそう聞いてきたので、許可をするとひとつまみほど生のまま切り取り、簡易魔法の着火で炙り口に含みかみしめた。
「こいつは、何ですかシープボアみたいな感じですが何かが違う、ここまで柔らかくないはずだ」
「魔物に成る前のシープボアの肉らしいぞ、始めてみたが凄く愛嬌があり触り心地も柔らかかった」
魔物に成る前ってどういうことだ、シープボアっていえば俺たちが皆でかかれば倒せる程度のあれだよな、等といった話が上がる。
これらも今は飼育して繁殖させてみようと試みているらしいので、成果はしばらく先に成りそうだが期待は出来そうだと伝え、さらに生地に関しては柔らかく温かみのある生地の方がシープボアで、肌触りはそこそこだが頑丈そうな生地のほうが植物から作られていると伝えた。
野菜の方も一通り摘まんだらしく、トラングが途中で辛さに苦しんでいたがそっとしておき、さっさと生鮮類をかたずけた。
調味料の方は、このまま食べると辛すぎて卒倒したり、味が特殊なので美味しくないと伝えたところ、皆が引いていた。
この報告会が終わったら、メイドに頼んでレシピ通りにいろいろ造らせる予定だと言ったところ皆が喜んでいた。
一通りの見せるべきものを見せたのち片付けてから、先ほど一部の者たちに我慢をさせたゴマアンマンの包みを取り出しテーブルに広げた。
「先ほども思いましたがその袋は一体何なのです、噂に聞いた限り王国の宝物庫にあるものでも、中身は時とともに変質していたはずですが」
「うむ、良く判らんのだがな、これを作った本人曰く面倒なのでパパッとやったとの事なのだ」
「パパッとやったでこんなものを作られたら、世の中の魔道具作成に関わる者はすべて廃業しますな」
そんな事より、冷める前に食べたかったので続きは食べてからにしようと言って、皆で食べると美味しいけど、こんなに甘味を使っている時点で一体いくらかけているのだなどと騒いでいた。
確かにそうだ、だからこそ色々と秘密にしておいてという事なのだろう。
食べ終わり一息つけたところで会話を再開した。
「まあ、袋に関してはもう作ることはないだろうがな」
「それはどういう意味でです」
「まず頼んでも作るのは気まぐれだろうし、脅したところで…そもそも脅せるのかアレは」
「脅せないとはどういう事で」
「いやまずな、もしもの話だあの里は百人いるかどうかなのだが、そこに百万の兵で行くだろう」
「百人に百万ですか、それなら瞬間的につぶれるのではないですか」
「そこだな、瞬間的に百万が消し飛ぶと思うのだ、お前たちも見ただろうあの大蛇をうっかりで気絶させるようなものが居るのだぞ、それと同等と思われる妻と子供もいるし、何より里の民は森霊と森の守り人なのだ友好にいきたいではないか」
森霊と森の守り人と聞いて皆が驚いた、おとぎ話にしか出てこないようなものたちが現存していた事、そしてその辺りは魔素が濃すぎて普通にはいけない事を聞いて納得した。
そしてその上で更に、驚愕の事実をもたらしてやった、ゴブリンとは森の守り人が魔素の呪いにより変質してそのまま里から出でて生活した結果完全な魔物に成り果てた者たちだという事を。
ではゴブリンは討伐しないのがいいのでと聞かれたが、里で確認したところ完全な魔物に成ってしまっているので、救えないので普通に討伐してしまって問題はないとの事を語る。
一通り話が終わった後に、彼らがいつ来てもいいようにしつつ、何とか直接の道が出来る前から交易を始めたいと言われたので、どうしたものかと悩んでいると袋から急に音が鳴りはじめる。
『じりりーんじりりーんコウサさん袋から水晶を取り出してください』
続きは帰ってきてから次の話として書き上げますが、今日中に間に合わないかもしれません。




