第二十三話 帰るコウサ
何とか書きあがりました。
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冬夜はマジックバックと言ったが、見た感じ新品の口を縛るだけの皮袋にしか見えない、だがそこにどんどんと私たちの荷物がしまわれていく、やや膨らんでいるようだが、常識的に考えても入り切ることはない。
「マジックバックって言ったか、そんなものは王宮の宝物庫に稀にある程度の品だぞ」
「え、マジでそれはまずいけど、まあばれなきゃいいんで隠しといて」
「あ、ああ。それぐらいは誤魔化すのは出来るだろうが」
「じゃ、そういう事で」
そういって冬夜はすべてを詰め込み終わり、袋を渡されたが重さはその袋にそこそこ詰めた程度しかなかった。
気に成ったので、これはどのぐらい入るのかを聞いたところ、あまり大きくてないから後せいぜいタンス一個分ぐらいと言われた。
「あまり大きくしてないって、作ったのか!いつ作ったのだ!」
「ん、今荷物突っ込みながら作ったけど」
「お前は一体何も…ああ神だったな。もう何か馴れ馴れしくするのに慣れてしまったが」
「そのことは内緒な、友人だと思っていたが、違ったら悲しいところだぞ」
そう目の前で荷物を詰めていたのは神だったことを失念していた、どうやって作っているのかを聞いてみると、本来だと付与魔法の最上位刻印魔法と、収納魔法の発展の空間魔法の最上位時空間魔法を習得し、それを応用したうえで希少な材料を用意し、大量の魔力を使うことで何とか作れるそうなのだが、そもそも面倒なので神力でちょいちょいとやっているとの事だった。
「流石賢き神というところなのか」
「いんや、流石アカレ子って事なんだな、ぶっちゃけ教えてくれたのはアカレ子だし」
「ああ、あの子かアカシックレコードが人として降り立ったという、研究者の最終目標が、アカシックレコードに到達し閲覧することだというのに、それがすぐその辺を歩いているなんて知ったら、卒倒するぞ」
それは確かにと、二人で嗤いあった後、外に出るとすでにイシアが待機していた。
『遅いではないか、これだから人間は』
「荷物詰めるのに時間がかかったんだよ結構あったからな」
私が帰るという事で、里の皆が色々と持って来てくれた、生地が複数、その生地を使ったところどころにフリルをあしらったゴスロリというらしい服、お弁当、調味料、そして幾つかの、ここで摂れたという野菜に、肉類、生ものは傷みが早いから危ないと言ったのだが、その袋なら大丈夫だからと冬夜に言われ、そのまましまう事にした。
『別れも準備もいいなら行くぞまずは乗れ』
鞍らしきものが有るのでそれに乗ると、皆に足から膝を固定され、寝てしがみ付くような感じにと言われたのでそうすると今度は体を縛られた、解き方も教えられてなんだろうと思うと、イシアの行くぞという言葉と共に思い知りつつ気を失った。
どのぐらい気絶していたのかはわからないが、イシアに起こされ気が付くと、周りは真っ暗で私の街の明かりが辛うじて見える距離と成って居た。
ここからはゆっくり行くぞという事なので、ひとまず固定用の拘束を解いて、普通に乗るとゆっくりと走り出した、普通の馬程度の速度なのでそのまま乗って居られたが、門の方から此方が見える程度の所でイシアが停まった。
『これ以上行くと騒ぎに成るだろうからここまでだな』
「ありがとう、またいつか会おう」
そう言って私は、降りるとイシアが鞍とかも持って行けというので、その辺りの物も袋にしまい、軽くお礼の感覚で撫でた後そのまま徒歩で門へと向かった。
一度振り向いてお礼を言いなおそうと思ったが、振り向くとすでにイシアの姿はなかった。
とぼとぼと歩いていくと、兵士が慌てて駆け込んできた、白い一角獣とはいえ魔物かも知れない者から降りてきたのだ、来なかったら門の前でしかりつけるところだ。
「あ、あぁああああああコウサ様っ!ご無事でしたか」
「よい、無事だ心配なら門での検査もしようではないか」
「それは勿論させていただきます。ですがよくご無事で、他の冒険者が全員戻ってきて、コウサ様は俺たちを逃がすために森の奥へと巨大な魔物を引き付けていったと」
「ああ、それも問題はない、あの蛇は魔物ではなく森の守り手だ」
門まで着くと、入る前に身分提示なのだがここで取り出すのもあれなので、水晶での確認のみで済まさせてもらった。
「コウサ・デ・オーラリア、オーラリア領領主、確かに間違いございませんお帰りなさいませ領主様」
そのまま、街へと入ると酒場へと向かい、ベルシーカーの面々を探すと、皆ぐでんぐでんに酔っぱらっていた。
「ようお前ら、景気悪い顔してるじゃないか。そんなに荷物を失ったのが悲しいか」
そう言ってやると、怒りを覚えたのか凄い顔で此方を睨もうとして、呆気に取られていた。
そのうちの一人で一番近くに居た、魔法師のアリッサがコウサアァァァアと言い泣きながら抱き着いてきた。
「ははは、ココの払いはこちらでするから、ちょっと皆でうちまで来てくれないか」
そういって、店主に話を済ませ、自宅へと案内していく。
ベルシーカーは私のお抱え冒険者集団の一つで、探索調査を主にやってもらっている者たちだ。他に戦闘を主にやってもらう者たちと、裏での調査専門の者たちもいる。
自宅へと向かい歩いていると、夜だと言うのに通りで私を見かけた者たちが騒ぎ始め、結果的に中央広場へ着いたところで一度人が多く集まり過ぎた為足止めとなってしまった。
「皆の者、心配かけてすまない!私は見ての通り無事だ。そこであれだ今から明日一日は祝いたいと言うのであれば、一人銀貨一枚を後日あてがう形で好きに騒いでくれ但し!金銭の確実性をとるために店主と客両方で何に使ったのかを控えておいてくれ、それを後日確認が取れた毎に店主に払うそういう事でよろしく頼む」
そう言ってやると、中央に集まっていた者たちは、歓喜し解散していった。
この街だけで考えれば一人銀貨一枚としても一万人は居なかった筈なので、金貨百枚もかからない。
今回の土産だけでもお釣りが帰ってきてしまうかも知れない物に成りそうなのだ。
銀貨一枚で何が出来るかの前に貨幣価値で言うなら鉄貨、銅貨、銀貨、金貨と割符が存在する。
昔は白金貨という物が有ったのだが、そこに使うよりは宝飾品に使おうという事で廃止された。
割符は特殊で、領主と商人のみが扱えるものとなり、管理もなかなかに面倒な事に成って居る。
それぞれ百枚で一つ上の単位に上がるが、銀貨と言えば、一度治る病気に成った際に、完治するまでにかかる治療および諸費用ぐらいなものだ。
「これで静かになったな、あとはミナス商会とソトラ商会の会頭を呼んで来てくれ至急でだ」
それを聞いたベルシーカーのリーダーと副リーダーがそれぞれに向かっていき、私達は自宅へと向かい戻っていった。
門番に挨拶をすると、喜ばれ家に入れば執事が涙し、祖父が駆け込んできて抱き着いて泣きだした。
無事だからと落ち着かせ、会議室へ移動し、あとから来る者たち以外の人払いを頼み円卓にて座して待った。
コウサは領主でした、皆を逃がすために引き付けて誘導したと周りには思われていたようですが、出遅れたから逆に走っただけです。




