第十九話 里も落ち着いて
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一月ぐらいが経つと、建築組は広場に集会場を完成させ、ひとまず独り者一同そこに住むこととなった。
最初は、共同生活を渋っていたのだが独り者の家を、里長の家のような土壁で作るという話をして、里長から住み心地を聞いたものたちは納得し受け入れた。
一月の間に、素早く収穫できる一部の野菜が一度収穫され、出来を見て合格をもらったものたちは、自分の家の横に畑を作り始めた。
服飾組は、機織り機の作りの説明を受けて、試行錯誤しながら試作第一号を完成させていた。
服飾組でも、糸となる植物を集め糸の生産をする組も、アカレ子に相談しつつ何とか糸車を完成させ、綿花らしき何かを糸にしていた。
糸車より前に機織りが完成してしまい、糸はまだかとワクワクしていた者が多かったのはご愛嬌だろうか。
機織りも糸車もまだ一台しかなく、ようやく糸もシーツ一枚分程度しか完成していないので皆で交代しながらやっているようだ。
ヨダとガズはほかの者たちと一緒に里の周囲の安全圏の中で、粘土を探すためにひたすら穴掘りをしていた。
土木工事に成れたガタイの良い守り人が徐々に出始めているのはご愛嬌だろうか。
粘土も見つかり、副産物と言っていいのかわからないが、鉄鉱石も見つかった。
最初そのあたりに投げ捨てられていた石だったのだが、アカレ子がそれを見て慌てて集めさせたという話で、最近では結構な量がたまっているとの事だった。
鉄鉱石の使い道は、料理組の嘆願により、現在の冬夜の調理器具と同じ作りの物を料理組の人数分は最低作りたいと言われ、里の中で相談した結果了承され、作る前にまずは手入れ方法をと冬夜が教えてから作成することに成った。
これだけ手入れを学んでくれたならと、冬夜が許可を出した途端、アカレ子がさっさと鉄鉱石を術式で一発改変してしまった。
使って洗い終わった後に持った状態で浄化とキーワードを唱えると浄化されるという無駄に手の込んだ魔工芸品としてだが。
お風呂の方は大人気なようで、皆最低でも一日に一度は入るようになっていた。
追い出されて避難部屋に飛ばされた人数は数知れずと成っているようだが、色々と問題が発生して、避難部屋は男女で分けられたのと、入浴中に不調や睡眠状態になった場合強制避難として脱衣所に飛ばされる機能が追加された。
あまりの気持ち良さに寝てしまう者や、上せるまで入ってしまう者が多発したからだ。
そう言った者たちはしばらく作業にも戻れなくなってしまうので、困るという事で措置が取られた。
措置が取られたものは、約一日ぐらいの間お風呂が利用できなくなるという機能も付いた。
このおかげでお風呂問題は大分解決されたようだ。
冬夜は、半端に開拓してしまった道を折角だから他の種族の所まで繋いでみようと言い出し、里の皆に呆れられながらもなんとか了承を得て、一人で徐々に開拓していった。
あと二月もすれば届くのではないだろうかというペースでなので、来月辺りには、森を突き抜けるつもりが有ればほかの種族との邂逅もできるだろう距離までは道が出来あがった。
術式と言っていたが、やはり魔法らしく土魔法に当たる術を使い道を整地しているおかげで、現在開拓が済んでいる所までなら、馬車が有れば問題なく通れるぐらいの状況となっている。
詩歌の散策はと言えば、ついに家畜に使えそうな魔物を連れ帰ってきた。
それは白い角の生えた馬だった、話を聞いてみたら喋れるらしく会話も成り立った。
いろいろ聞いてみたが、よくあるファンタジーのように乙女じゃないと嫌だとかそう言ったことはなく、ただ認められれば誰でも乗れるようで、里の皆はガズとヨダを除いて皆載せて貰えたそうな。
見つけてきた詩歌はといえば、馬よりもこっちがいいと言って結局フウガに乗っていた。
そういえば居ましたこの世界にもオーク、ただまぁ知能はない二足歩行でめっちゃ繁殖力が有るらしい程度しか判りませんでしたが。
群れで活動するらしく、雄が二足歩行で雌はまんま豚でした。
冬夜はアカレ子に習って新たに覚えた鑑定魔法で鑑定すると、オーク雄とオーク雌と出てきて性別などと言った物は一切なく、この世界の鑑定はわかりにくいなと思わされました。
たまたまはぐれた番のオークを見つけたので、冬夜は近づいて声をかけてみたが、全く理解されず襲ってきたのでそのまま討伐、里に持ち帰り皆でどうするか相談をしてみたところ、ひとまず食べてみようとなったので食べてみたがこれまたとてもおいしく、こちらに来てから食べた肉では一番の代物だった。
どの程度の強さだったのかを聞かれたので、片手で数える程度の量ならば倍の人数で協力すれば討伐できる程度だと言ったところ、見かけたら人数が居れば討伐しようという話に落ち着いていた。
ただし収納が扱える者と解体が行える者がいるときに限るとの事で。
私は走っていた、熟練の冒険者である仲間たちとともに、最近森の様子がおかしいと言われ調査のクエストを受けて森に入るも、特に問題もなく一週間ほどが経過した、そろそろ自分達だけでは危険と思われる領域が近くなったので、ここらで切り上げて報告をしようという話がまとまり、出立の準備を行っていた時にそれは起こった。
何者かの近接に気付き鳥たちが一斉に飛び立ったのだ、私達は斥候役の二人が様子を見に行く間に急いで準備をし始め、準備が整うかどうかといった辺りで物凄い速度で斥候役が戻ってきた。
「ヤバい、アレヤバい、何アレ荷物なんかいいから逃げよう」
「あれは逃げるしかない、むしろ全員ばらばらに逃げて誰か一人でも生き延びれればいい」
戻ってきた斥候達の意見を聞いて、荷物は既に背負ったもの以外を諦めて走り出す、皆別々の方向へと走り出した。
私は出遅れてしまい、どうせ助かるわけもないだろうしと来た方向とは逆へと走っていった。
暫く走り後ろを見るとソレは見えた大蛇だった。但し、私の身長よりも高い位置に目があるサイズの大蛇である。
息を飲み込み、これでもかというぐらい必死になって走った。
向こうはこちらに気付いたのか徐々に近寄って来るのが分かる、目の前に開けた場所が見えたので急いでそちらへと駆けていった。
そこは、物凄く開けた一本道だった、そもそもこちらの方には国も何もあるわけがなく、この辺りは私たちの国の誰一人として到達していない未開地域の筈だった。
呆気に取られていると後ろから木のなぎ倒される音が近づいてきていた、そうだったこのままだとどうしようもないと思い、ひとまずその道を走りはじめる。
暫く走ると、何故か突風に跳ね飛ばされ、後ろの方の大蛇に何かが当たるような音がすると、静寂が生まれた。
「あちゃー又やっちゃったよ」
そんな声が聞こえたところで、私は意識を手放した。




