第十七話 続・三日目
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この里において、きれいな採寸というのはほぼ無理に等しい。
朝食が終わり各自作業に別れると、ヨダは大量に用意された丸太に、目分量で測り印をつけていく。
『ヨダよ、これは何をやっているのだ』
そう問いかけたのは、一人の森霊だった。
「ええと、家を作るのにまずは同じ長さ太さに木材を調節するんでさ、そんでまずは、大雑把に目印をつけて切ってそっからは、微調整で合わせていくんでさ。そして出来上がったものを組み上げてみてから、合わなきゃ合うように調整しなおしを繰り返すっス」
『すると、長さがまったく変わらない何かで、印をつければいいのではないか』
「そんな便利な紐でもあれば使いたいっすが、蔦じゃどうやっても日によってずれるっス。なんでこのやり方なんでさ」
『ふむ、それならいいものが有るではないか。ちょっと待っておるが良い』
そういうと、森霊はどこかへと行き暫くすると何やら持って戻ってきた。
『ちと重いかも知れんが、これなら問題なく使えるであろう』
重かったのか、さっさと地面に投げるとどさりとなかなかに重量のある音がした。
置かれた物の色を見る限り、アダマンツリーが柔らかい紐状に成って居るようだった。
「これは、アダマンツリーでやしたっけ、あれから作ったので?」
森霊は首を縦に振ると、長さなどは一切影響を受けず固定されたままだろうし、重ささえ気にしなければ使える紐ではないかと言った。
「これなら確かに、炭で色付けもできるみたいですしありがてえ」
しかしもらった紐を使い気に印をつけようとしたが、塊は持てなかった。
仕方なく、ガズを呼んで運んでもらい、紐の先端かられぞれの辺に合わせた印をつけていき、そのしるしに合わせて木に印をどんどんと付けていく。
「えーと森霊の誰でしたっけ『フォボラだ』なるほど、フォボラさんっすね。これって切れたりするっスか」
『割れならば分割は可能だ』
「なら長さを指定するんで刻んでもらえると助かるっス」
『よろしい』
一番長いサイズよりやや長めにとって紐を刻んでもらい、同じ距離にすべてしるしを書いていった。
印も定着できるがと言われしてもらい結果二十本ほどのひもが出来上がり、塊では無くなった紐は誰でも持てる程度の重量となった。
ヨダはそれを木材刻み組を二十に分けて一組に一本渡していき使い方を教えた。
結果的に刻む方に関しては、ヨダもガズも手掛ける必要がなくなり作業効率も改善した。
手が空いたヨダは、ガズと共に組み立て組へと向かっていく、いくらきちんと切ったとはいえ、手作業である分のずれがどうしても生じてしまう。
組み立てている家のそう言った部分にヨダは切れ端などを使い埋めていき隙間を減らす。
それでもどうしても隙間が出来てしまうので何かいいものはないかと悩む。
暫くすると、仕込みをすべて終えたのか冬夜がやってきた。
「ヨダさんや何を悩んでいるんだい」
「ああ冬夜さんこの隙間をどう埋めたもんかと悩んでたんでさあ」
「うーん、昔の家だと此方では土壁で作っていたが、あれはそもそも木の組み方が違うし粘土と干し草がなあ」
「へえ、土でですか粘土でとはいえ、すぐに崩れたりしないので」
「ああ、粘土に干し草を混ぜ込んでそれを目の粗い網目状に組んだ木に塗り付けていくんだ、それが乾くと結構頑丈な土壁に成るし、隙間風とかはあまり入らなくなるね」
「ほうほうほう、成程粘土ですか、こないだ掘ったのは使っちまいましたし、一寸考えて見るっス」
『ようは、他のものと混ぜて乾くと固まって溶けなければいいのか』
「まあそうだけど何かあるかい」
『樹液でも大丈夫ならあるぞ』
「樹液でやすか、どんな樹液で」
『まあ、見た方が早いだろう、ついて参れ』
そういって、フォボラは冬夜とヨダを桶を持たせて案内していき、一本の木の前で止まる。
この木に傷を付けてみよと言い、傷を付けるとさらさらとした水のような樹液が少し勢いよく出始める。
それを慌てて桶に受けると少し桶に半分ほどたまった時点で樹液が止まる、その木を見ると樹液が既に固まり止まっていた。
此方も固まったのではと思い見ると桶の方はいまだに水の様なままだった。
『それをその木の隙間に、木くずでも入れてから塗ってみると良い、すぐ乾き雨等でも溶けはしないぞ』
「何この瞬間接着剤みたいな性能、さすがファンタジーだな」
「瞬間接着剤?なんのことでさ、でもなるほど、接着剤ですか。これは接着樹液と言いやしょう」
早速、戻ると組み上中の一軒の隙間にその辺にある木くずを詰め込み接着樹液を塗り付けというか、手に付けて振りかけてみる。
様子を見守ると、結構すぐに乾き触ってみるとしっかりと接着されていた。
これはいけそうだと次は木片を隙間に埋めてそこに振りかける、こちらもやはり木同士がしっかりと接着された。
あの樹液は、たくさん取っても平気なのかを確認したところ、一本につき一日一回ぐらいにしないとどんどん弱ってしまうと言われ、ただし同じ木ならこの辺りに数本あるので使い終わったら次の木に取りに行く程度なら何とかなるんじゃないかと言われた。
皆が慣れて建築速度が上がれば、足りなくなるかもしれないとの事で、樹液も桶一杯に貯めたら冬夜の空間収納に入れて、毎日貯めて行こうという話に落ち着いた。
誰かほかに建築側で空間収納が使えないと不便だなと冬夜が言い出し、適性があるものはいないかと探してみた結果、ここに居る中で適性があるものが二人だけ存在した。
一人はヨダで、成功したときは、出来た出来たっス!これでうまい物入れて取っておけるっスと喜んでいたが、ひとまず接着樹液の桶をストックするように頼んだところ、本人は少し残念そうにしながら、これも家が全部建つまでの間っすと納得し引き受けてくれた。
もう一人はフォボラで手に入れた能力を試しに自分の畑や、その辺にある樹木に使っていた。
なぜか森霊ゆえか、生えたままや植えたままの物を収納していた、冬夜がまねしようとしたところやはりできなかった、称号の影響なのかもしれない。
「まあ解決したようだしそろそろ食事の仕上げでもしてくらあ」
暫くすると、そろそろ夕飯にしようと冬夜が呼びに来た。
皆一度、冬夜に言われて井戸に寄って汚れを落としてから広場へと向かう。
戻ると先に戻っていた子守り組が、ほっこりした様子だったので聞くと温泉出たからお風呂作ったとの事で、冬夜達が話し合った結果、夕食後雑談などして一休みした後の一番は、女性陣と子供たちで、その後に男性陣が入るという事に成った。
皆紳士なのか覗きに行こうという物は無く、幾つか有るたき火に集まり火を絶やさない様にしつつ雑談をしていた。
女性陣が皆戻って、交代すると皆風呂というものが分からないらしく、まずは冬夜に習いながら体を洗い流し汚れを落とした後に湯船に入る。
やはりというか、疲れていたのか皆濁ったようなああぁぁ~といった声を上げていた。
あまりに気持ち良かったのか寝てしまい溺れそうな者や、上せてしまう者が発生し、ガズや冬夜が片っ端から脱衣所へと移動させ、先に上がった者たちが解放していた。
全員が入り終わり外に出ると、入り口は混浴と成って居た。
「この混浴ってのはなんでさ」
そうヨダが聞いてきたので説明すると、一部男性陣は盛り上がっていた。
どうせ男性しか利用しないんだろうなと思っていたのだが、翌朝聞いてみたところ男性よりも女性の方が多かったということと、既婚者女性の子供が居る者がとくに多かったという話だった。
母は強し!ではなくて、子供のいるお母さんは疲れているので休ませてあげてください。




