第十二話 探す詩歌さん
評価ブクマありがとうございます。
アカレ子ちゃんに言われた方向へと、樹を避けつつひたすら走っていた。
これだけ走り回っても息が切れないし、あの斧を持った時にも思ったけど、神と付いた称号は色々規格外すぎるようだ。
お昼までには戻ろうと思っていたから、いくら遠くてもそんなに走らないで済むと思ったがそうでもないらしく、だんだんと服があちこちに引っかかり破れたり汚れ始めた。
ひとまず一息つこうと思い近くに川の流れる音がしたのでそちらへと移動する。
里からは大分離れたが、きれいな川が流れていた。
魔素とかいうのも川の周りだけは感じられないので何かしらあるんだろうなと思いながら、川べりで靴を脱いでそのまま素足で入っていく。
「くうぅぅぅぅぅつっめたーい」
誰もいないのに思わず口から出てしまう。
そのままさっと顔を洗い手酌で水を飲んでみる、物凄く美味しかった。
ぜひ里まで引いてきて飲料水にしたいと思ったが、井戸の水も同レベルだったなと思いだしここに来た時の楽しみにしておこうと思った。
あちこちひっかけてしまい傷んだり汚れた衣服を治そうと思ったらすでにきれいになっていた。自動浄化凄い便利!
川から上がり足をふいて靴を履いた後、周囲を見渡してみると例の虎の子供らしき物が視界に見えた。
何かにおわれているのか、後ろを気にしながら此方へと走ってくる。
親子まとめてじゃないと、いけないんだからと親を探してみると、子供の後方から木のへし折れる音とともに親虎が飛んできた。
かなり傷ついている手当てしないといけない感じはある。
それを追いかけるように、ドスドスという音と共に巨大なトカゲと言うかイグアナ?のようなものがやってきた。
飛ばされなかった方の親虎が、あまり逃げていない子虎咥えて離れる。
飛ばされた親虎は、逃げろとばかりに吠えると、子供を咥えたままどこかへと走っていった。
「むー欲しいのは家族なんだから、片方でも取られちゃ困るんだよ」
そういってあたしは斧を取り出し、イグアナっぽい何かの目の前に投げつけた。
襲い掛かろうとしていたイグアナはそれに気づいたのか、止まり地面に刺さるのを確認すると此方へと意識を向けた。
「へいへーい、逃げるなら今のうちだよー逃げないなら晩のおかずだ!」
そういって挑発してみたら、理解されなかったのか小さいので脅威ではないと思われたのか、此方へと突撃してきた。
先ほど投げ飛ばした斧を手元へと呼び戻し、逆さまにし刃の半分を地面に突き立てその突撃を止める。
刃の部分だけでも大体私の両手を広げたサイズ位はあるので、杭としては十分に使えるだろうと思っていた。
現状を説明すると立てた角度が悪かったらしく、突撃されたらそのまま真上に投げ出されて絶賛今空中浮遊中である。
斧は掴んだままだったので、斧技と言われるものの上空から叩きつける技を使い、無理やり姿勢を整えて着地しようとした。
運がいいのか悪いのかイグアナは上の方を見ずに周囲をぎょろりとした目で見て私を探していたため、その頭に叩きつけるように着地するに至った。
至ったというか…うん、着地したのは地面だったと言いますか、絶賛イグアナの頭の中身にまみれております。
高さが威力につながる技だったのと、そもそも斧自体が凄まじい性能だったのか、頭に斧が触れるとそのまま豆腐でも切るように地面へと吸い込まれて行ってしまったのだ。
これ以上塗れるのは嫌なので、さっさと斧とイグアナを空間収納へとしまう。
中身ぐちゃぐちゃにならないのかなと心配をしてみたが今は気にしない。
負神の力を使って汚れる前に自分をまき戻して、急いでぼろぼろになった虎の方へと向かっていく。
いきなり起きた事態に追いついて無いようではあるが、イグアナっぽいのを簡単に倒したであろうこちらへの警戒を解いていない。
「いい子だからじっとしてねー治すから」
仕方ないので、力を放って怯えさせてみたところ、敵わないと諦めたのか気を失った。
急いで傷を治し、暫く気が付くまでモフモフを堪能してみたが、残念なことに魔物化の影響か物凄くゴワゴワして硬かった。
虎は気が付くと自分の体が癒えていたことと、こちらには敵わないという諦めからか、ぐるぅと一泣きしただけで眠るような体制で丸まった。
暫くすると、その声を聞いて逃げた方の虎も戻ってきて、そのまま寄り添って丸まった。
「此方の言葉は理解できる?できたら頭を縦に一回ふって」
そういうと頭を縦に振ったので、君たちを飼いたい事、魔物に成る前の状態に戻したいこと、安全は保障することを伝えたところ、仰向けに成っておなかを見せてきた。
戻りは面倒なので背中に乗せてもらい移動していたが、里の結界のところで急に止まる。
どうしたのかと聞いても、首をいやいやと振り続けるだけだった。
魔物除けの効果でもあるのだろうかと思い、三匹を魔物化する前の状態へと戻してみたところ、それが原因だったようで、ホワイトタイガーに成るとすんなりと入っていった。
魔物化する前から比べると大分小さくなったものの、親虎ならまだ乗っていても平気そうなサイズではあったので、小さくなってふかふかでモフモフな子虎を抱えながら乗らせてもらい里へと戻った。
「たっだいまー」
戻ってきた詩歌と言うか、詩歌が跨っていた虎とその一家を見て、里の皆は悲鳴を上げて逃げていったり、持っていた斧を構えて警戒しだした。
『お母さん戻ってくるの早すぎやしませんか、近くに地龍が居たと思いますが、襲われそうになって慌てて逃げたとか?』
「あのイグアナっぽいの地龍って言うの?でっかいだけですぐ死んじゃったけど」
『すぐ死んじゃったって、お母さん地龍は普通何十人もの人が犠牲を出して何とか退治するような生き物なんですが、逃げきって来れると思って教えただけなのにまさか倒すとは』
地龍を倒したと聞いて、里の皆は騒ぎ出した、昔討伐しようとして大打撃を食らったというあの地龍か、まさか倒せる筈が無い、信じられないという騒ぎが起きていた。
「あのイグアナは、この子たちのご飯と皆の夕飯にするんでどうでもいいから、おひるー出来てるー?」
まだ準備中と言われると、アダマンツリー伐るとか言われていたのを思い出し、虎から降りてのんびりとそちらに向かった、虎一家はそれに大人しくついていく。
「冬夜君ただいまーアダマンツリーもう伐っちゃった?」
「お帰り詩歌さん、ガズとガズの斧じゃ全く歯が立たないみたいだよこれ」
そういわれ見てみると、武骨な斧が刃がかけた状態で立てかけて有り、その横でガズが疲れたのか幹に寄りかかって休んでいた。
「おーこれ丁度いいから残そうよ、さっきプチってしちゃった地龍ぶら下げて血抜きするのに」
「プチってしちゃった地龍って、そもそも詩歌さんその虎は何だい」
「うん、この子達欲しくて捕まえに行ったら邪魔するから、事故でついプチって」
「よし分かった、考えないようにするからとりあえずその地龍ここに出そう」
「いいけどグロいよ、あとでっかいから吊るすにしても相当頑丈なワイヤーとか欲しいかも」
切り倒す予定の方向が広々と伐採も済んで広がっていたのでそちら側に地龍を空間収納から出す。
ズズンと言った感じの音がしたがあまり気にしないようにした。
絶賛頭を中心から真っ二つにされて、どろどろとした血が流れる地龍が現れる。
冬夜が言うにはこれは吊るすのに耐えられるものがないので無理だから、立てかけるしかないかと言ったところ、森霊が吊るすだけでいいなら何とかなると言い出す。
頼んでみたところ、アダマンツリーから枝が伸びていき、地龍の尾を貫通させ巻きつくように掴むと、そのまま吊るし上げるように持ち上げた。
さすがファンタジー何でもありだなぁと言うと、森霊ならこのぐらいは容易い事と言っていた。
木がこのままでも色々と利用できそうだという事で、伐るのは中止にして食事にすることとなった。
続きは出来れば今日中に上げたい所ですが、時間が取れればと言った感じです。
今後も宜しくお願いします。




