第006話 猫と魚と情報収集
「まずは情報収集にゃ!」
そう言うと、タマは冒険者ギルドに向けて、先頭切って堂々と歩き出した。
その手には、しっかりと焼き魚の串が握られていた。
「……にゃ?」
「にゃ?」
クロ、ミケ、シロの視線が、タマの手元に集中する。
「タマ、それ」
「なにが」
「その串」
「これは……その、現地調査の一環にゃ」
「串焼きのにゃ?」
「露店の物価も、大事な情報にゃ」
タマは目を逸らしながら、焼き魚を一口かじった。尻尾がわずかに揺れている。満足そうに。
「にゃにゃにゃ! タマだけずるいにゃ! 俺たちにも情報収集させろにゃ!」
「そ、そうにゃ! 平等に、にゃ!」
「魚も、任務のうち、にゃ……」
「ダメにゃ! 今は先を急ぐにゃ!」
串を齧りながら、タマは早足でギルドへと向かう。文句を言いながらも、結局全員がそのままついていった。誰も本気で怒ってはいなかった。
やがて一行の前に、大きな看板を掲げた立派な建物が見えてきた。
「王都冒険者ギルド」
田舎の小さなギルドしか知らない四匹にとって、その規模は想像を絶するものだった。
「にゃ……でかいにゃ……」
「うちのギルド、何個入るにゃこれ」
タマが串の最後の一切れを飲み込み、パンパンと手を払った。
「よし、ここでワンチュールの情報を集めるにゃ。……あ、コレ食べるにゃ」
タマがそう言いながら.三本の串焼きを仲間に差し出す。
「さすがタマにゃ、食べるにゃ!」
「にゃ、俺も!」
「結局分けるにゃ!」
情報収集は、思いのほか和やかな雰囲気で始まった。




